雪の科学と文化による交流
「雪は天から送られた手紙である」。宇吉郎のこの言葉は、雪の研究のエッセンスを述べたものだが、文学的なひびきから、雪へのロマンも感じさせてくれる。
宇吉郎は、研究のかたわら雪の美しさやデザインを楽しんだ。それをヒントに、加賀市と館は、雪をモチーフにしたデザイン作品の公募事業 「雪のデザイン賞」を実施し、現在、第四回の入選作品展を開催している。
今回は、これまでで最多の419点の応募があった。そのうち22点はヨーロッパのラトビアからで、ラトビアのバイバ・リテーレさんの作品 が銀賞に選ばれた。バイバさんが表彰式に出席するため来日し、市民や関係者らとの思いがけない国際交流の機会が生まれた。
「雪のデザイン賞」は、科学と文化の交流の場でもありたいと思っている。近年、館ではチンダル像、ダイヤモンドダスト、氷のペンダント、 人工雪など、雪氷のふしぎや美しさを入館者に体験してもらえるように努めてきた。
私は、デザイン賞に取り組む人達に、館の実験や自然の雪なども観察して欲しいと提案しているが、こうした提案が新鮮に受け止められることも少なくない。一方、デザイン作品が自然のある側面をうまくとらえて、科学の側へのよい刺激になる例も生まれている。
雪の科学と文化の交流、入館者と館職員の交流、雪でつながる諸外国との交流など、行きかう流れを更に豊かなものにしたいと思う。幅広く活 躍した宇吉郎の館なのだから。
北國新聞夕刊「舞台」(2007.12.12)
