宇吉郎の没後50年

宇吉郎の没後50年

今年は加賀市出身の雪博士・中谷宇吉郎(1900‐62年)の没後50周年にあたる。

4月14日、アビオシティホールでシンポジウムを開催した。 宇吉郎にゆかりの5名のパネラー、そして宇吉郎の長女咲子さん、二女の芙二子さんにも壇上でお話しいただいた。 さらに、2日後の16日に東京で、28日には札幌で講演会があり、どの会場も予想を上回る参加で盛り上った。

宇吉郎は、世界初の人工雪作りに成功し、結晶の形と気温・湿度の関係を明らかにした。 「雪は天から送られた手紙である」は、研究の意味を詩的に表した名言である。

では、雪の研究を行った動機は何か。様々な背景が考えられるが、飛行機が上空で凍結する問題、 即ち着氷の克服も目標の一つであった。戦時中、ニセコの山頂で着氷の実験を行ったが、 その内容を語った『着氷』は、戦争末期の混乱から出版中止になっていた。 それを今回、友の会の協力でよみがえらせることができた。

親友・高野與作との交流を紹介した企画展では、 高野家から寄贈された掛け軸の一つが宇吉郎の名言の初出であるとの発見が話題になった。 企画展で、宇吉郎が凍上、水害、水資源など、時代に即した問題解決のための研究、 即ち〈役に立つ研究〉に取り組み、どんな成果を上げたかも紹介した。

「大切なのは役に立つことだよ」と教え、宇吉郎に大きな影響を与えたのが恩師・寺田寅彦である。 没後50周年の後半の企画として、10月から、宇吉郎と寅彦の交流を紹介するため、準備を進めている。

北國新聞夕刊「舞台」(2012.6.20)