湿雪の種類

 一般的な意味での含水率とは、ある物質に含まれる水分の割合を示します。通常は、その物質の重量に対して含まれる水分の重量の比率で表示されます。例えば、よく使われる土壌の含水率などは、土壌を構成する土の成分の量に対する水分の量ということになります。すなわち、水とはまったく異なる物質の中に含まれる水分の量を表します。

 さて、雪(積雪)の含水率というのは、この定義からは少し外れていることに注意が必要です。と言うのも、積雪というのは、固体である氷の部分と液体である水の部分の混合物であると言うことです。氷も水も物質としては同じですので、積雪の含水率というのは、ある重量の積雪に含まれる氷と水の重量比ということになります。すなわち、同じ積雪の重量であっても、氷が溶けて水に変わると含水率は上がり、水が凍って氷が多くなると含水率は下がります。

 では、この含水率というのは、どのようにすれば測定できるかを考えてみましょう。最初に述べた土壌のようなものであれば、最初に水分を含む土壌の重量を測り、その土壌をカラカラに乾燥させて再度重量を測れば、その差額から含水率を決めることができます。土壌の中の土の成分の重量は、含まれる水分量とは関係なく一定であるからです。しかし、積雪の場合は、それを構成する氷と水の重量は連動して変化しますので、、この方法で含水率を決めることはできません。もちろん、積雪の含水率の測定方法は、古くからさまざまな方法が提案されていますが、かなり特別な方法で簡単ではありません。さらには、同じ積雪であっても、周囲の温度が少しでも変動すると、内部の氷と水の重量比(すなわち、含水率)はすぐに変化してしまいます。測定条件をよほど一定に保たないと、測定値には意味がなくなってしまいます。このようなことから、積雪の状態によって含水率がどのような値になるのかを具体的に答えることは、困難です。

 最後に、湿雪か乾雪(水分が0%、あるいはごくわずか)かの区別だけは、その積雪の温度を測るだけでも比較的簡単に判断できることを紹介しておきます。すなわち、湿雪では、氷と水が共存している状態ですので、その温度は0℃ですが、乾雪では水分は含まれず氷のみで構成されるので、その温度は0℃以下のはずです。積雪の温度を測定するだけで、湿雪か乾雪かの判断基準として使えそうです。

(回答掲載日:2024年5月20日)