教えて館長!雪と氷のQ&A

皆さまから寄せられた雪や氷の質問・疑問に、古川館長がお答えしました!

古川義純先生

古川 義純(ふるかわ よしのり)先生

中谷宇吉郎雪の科学館 館長 / 北海道大学 名誉教授


日本結晶成長学会の会長や、北海道大学の低温科学研究所の所長などを歴任し、国際宇宙ステーション「きぼう」で氷の成長の宇宙実験を行ったことでも知られています。


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Q54

打ち水

小学3年生の娘に打ち水をすると何故冷えるのか質問されました。回答をお願いいたします。(kikuoさん / 石川県・32歳)

 夏の暑い日に打ち水をすると、確かに冷えて涼しくなりますね。これは、まいた水が蒸発して水蒸気になる時に、周りの熱を吸収するので冷えるのです。と言っても、ありきたりの回答ですので、一つ実験をしてみてください。最初にタオルを水で濡らして、固く絞ります。そのタオルを手のひらでつかんで大体の冷たさを覚えておいてください。次に、そのタオルの端を手に持って、ぐるぐる勢いよく回します。10回ぐらい回したら、タオルをもう一度つかんでください。さあどうなっているでしょう。

 答えは、最初につかんだときより少し冷たくなっているはずです。これは、タオルに含まれていた水がぐるぐる回すことで蒸発し、そのときに熱を吸収したからです。打ち水で涼しくなると言うのも、その原理はこれと同じです。

 さて、ここから少しだけ難しいお話になります。水が蒸発するとなぜ熱を吸収するのかですが、これは水を作っている水の分子がどれだけ活発に動き回っているかによります。液体の水では、水分子は容器の中収まっていますが、これが気体の水蒸気になると空気中を水分子が自由に飛び回っている状態になります。これは、液体の中の水分子よりも水蒸気の状態の水分子のほうがより活発に動き回っていることを示しています。この水分子動きの激しさは、熱によってもたらされます。水が蒸発して水蒸気になるには、水分子の動きを活発にするための熱が必要ということになります。このため、水分の蒸発に伴って周囲の熱が吸収されるので、周囲は冷えて冷たくなるのです。

(回答掲載日:2022年9月1日)

#打ち水#水の不思議
Q53

過冷却水

家の冷凍庫で何度か挑戦したけど上手く出来ませんでした。成功のコツを教えてください。(かえでさん / 石川県・10歳)

 水を冷やすと0℃以下になっても凍らずに液体のままでいるのは、とても不思議ですね。しかし、0℃以下では、水は本来氷になっているのが普通ですので、過冷却した水は今にも凍ってしまうのをギリギリの状態で耐えていると言うことができます。このため、少しでも過冷却した水の容器を振動させたりすると、すぐに氷ができてしまいます。また、水を入れた容器の表面に細かな傷がついていたり、水中にゴミなどが含まれていたりすると、そこからも氷ができてしまいます。こうして、あっという間に水全体が凍ってしまい、過冷却の状態を保つことが難しくなります。

 家庭の冷凍庫で水を冷やして過冷却水を上手に作ることは、そう簡単ではありません。なぜなら、ドアを開け閉めするだけでもかなり大きなショックが加わりますし、そもそも冷凍庫は常に振動しています。このため、過冷却の状態を保つことが難しくなるのです。さらに、水を入れる容器も大事です。ガラスコップなどは、ガラスの表面に目に見えない細かな傷がたくさんついていることが多いので、そこから氷が発生してしまいます。一方、ペットボトルなどは、内側はかなりきれいで細かな傷も少なく、ガラスの容器よりは過冷却水を作りやすいようです。また、冷やす水もできるだけきれいな水を使うことも大事です。

 家庭の冷凍庫で過冷却水を簡単に作れたら、楽しいですね。上に述べた注意点を参考にして、もう一度チャレンジしてみてください。

(過冷却水についての説明は、Q18Q23Q43の回答にもあります。参考にしてください)

(回答掲載日:2022年9月1日)

その他の現象 #過冷却水#雹#水の不思議
Q52

雹が冷凍庫で溶けてしまった理由

先日、家の周りで雹が降り、大きめだったので何個か集めて冷凍庫で取っておきたい!と入れておきました。そしたら2、3日後には全て溶けて無くなってしまいました。雹は氷なので、冷凍庫なら溶けないと思っていたのですが、もっと低い温度じゃないと溶けてしまうものですか?(まっちゃさん / 千葉県・10歳)

 雹は氷ですので、普通の氷と同じように0℃で溶けてしまいます。冷凍庫に入れておけば、温度が0℃以上になることはまずありませんので、溶け水になって流れていってしまうことはありません。

 しかし、“冷凍庫に中に雹を入れておいたら、全て溶けて無くなっていた”というのは、冷凍庫の中で雹をどのようにして保管しておいたのかが関係しているように思えます。すなわち、雹をビニール袋などの密閉した容器に入れておけば、まんいち雹が溶けても溶け水はその容器の中に残っているはずです。一方、冷凍庫に中に雹を裸で入れておくと、雹は溶けなくてもその表面からどんどん蒸発して小さくなってしまいます。蒸発して水蒸気になった水分は、冷凍庫の他の部分に霜としてついたか、あるいは冷凍庫の開閉とともに外に逃げ出したりします。このため、雹はやがて冷凍庫の中から消えてしまうことになります。

 ご質問にあるように、もっと低い温度が必要なのではなくて、雹を密閉した状態に置くなどの工夫をすることで、長い期間保存ができるようになると思います。

(冷凍庫に置いた氷の蒸発に関しては、Q46の回答も参照してください)

(回答掲載日:2022年9月1日)

その他の現象 #雹
Q51

水質

世界には軟水や硬水などありますが、氷になる時間や硬さは変わるのでしょうか?氷の舌触りや氷の溶ける速さなどは変わるのでしょうか?(お水大好きさん / 石川県・49歳)

 軟水と硬水の違いは、主にカルシウムやマグネシウムなどの含有物の量によって分けられます。WHO(世界保健機構)の基準では、硬度(水1リットルに含まれるカルシウムやマグネシウムの量)が120mg/L未満を軟水、それ以上を硬水と分けています。(※)この含有物の量は非常に少ないので、水が氷に変わっても氷の硬さにはほとんど影響はありません。また、含有物に量は、水が凍る温度を下げる働きがあるのですが(モル凝固点降下と言います。Q43を参照してください)、これも含有量が少ないのでほとんど影響はなく、氷になる時間にも変化はありません。

 含有物を含む水としては、海水を思い浮かべます。海水には、主として塩化ナトリウムが含まれていて、その濃度はおおよそ30g/Lです。この濃度は、軟水や硬水の含有物の濃度の300倍前後になります。このくらいの量になると、海水の凍る温度はマイナス1℃程度まで低下し、できた氷の隙間にも塩分が入り込むので、結果として氷もやわらかくなります。

(※WHOの基準は、実際にはもう少し細かく区分けされています)

(回答掲載日:2022年9月1日)

#硬水#軟水#水質#水の不思議
Q50

液体

凍らない液体はありますか(ねこねこさん / 栃木県・12歳)

 物質は、圧力と温度の条件によって、液体であったり固体(結晶)であったり、気体であったりします。例えば、水は0℃以上では液体ですが、0℃以下になると固体である氷にかわります。一方、液体の水は蒸発して、気体である水蒸気にも変わります。固体の氷の表面からも蒸発は起こり、水蒸気に変わります。(この変化は、特に昇華と呼ばれます)この変化は、どんな物質にも共通ですので、凍らない液体というのはありません。(※)

 しかし、非常にネバネバした液体では、温度が低下すると凍る前にネバネバが強くなって非常に固くなり、凍るということが起こらないままで温度が下がってしまう場合があります。その典型的なものが、ガラスです。ガラスは、非常に硬いですが、実は凍っていない液体ということができます。ネバネバがとても強くて、一見固体のように見えているのです。しかし、このネバネバの液体も、長い時間が経過すると固体である結晶になることがあります。何百年も前に作られた古いガラスの中には、固体であるガラスの結晶が生まれているのを観察できることもあります。

(※家庭にある液体というと、油などがすぐに思いつきます。しかし、家庭で使う油は、冷やしてもどこで凍ったのかがはっきりしません。これは、油はいろいろな種類の成分が混じり合ってできているからです。それぞれの成分ごとに見ると凍る温度は決まっているのですが、これが混じり合うとはっきり凍る温度が決まらなくなってしまいます)

(回答掲載日:2022年9月1日)

#液体#水の不思議
Q49

体積の膨張

氷に関する初歩的な質問をいたします。水が氷ると体積が膨張(9%程度)しますが、氷を冷やし続けたときに膨張は止まって一定を保持すると考えてよろしいのでしょうか。(トシさん / 神奈川県・67歳)

 ご質問には、二つの異なる現象が含まれています。まず、「水が氷ると体積が膨張(9%程度)します」は、液体の水と固体の氷の体積の違いを示しています。一方、後半の「氷を冷やし続けたときに膨張」は、固体である氷の体積が温度により変化する現象です。したがって、二つは分けて考えなければなりません。

 まず、前者は、水が氷に変わるときに体積が9%増加することで、氷のほうが水よりも軽くなります。一般に、ある物質が液体から固体に変わると体積は小さくなります(固体は液体に沈む)ので、この性質は氷に特有なものです。氷山や流氷が海に浮かんでいるのはこのためです。この性質は、地球の気候や生命に進化などにも深く関わっています。

 一方、後者は、どんな物質であっても、その固体は温度の上昇とともに膨張します。例えば、線路のレールは、真夏の暑い日は膨張して長さが伸びるのはよく知られていますが、まさにこの現象です。氷も同様で、温度の上昇とともに同じことが起こり、膨張します(逆に言えば、温度の低下とともに収縮します)。長野県の諏訪湖などで観察される御神渡りと呼ばれる現象は、湖面に張った氷が寒気で収縮して割れ目が入り、そこにできた薄い氷が気温上昇で膨張して割れて、氷がせり上がるためと考えられています。しかし、この膨張(収縮)の割合は、水が氷の変わるときの体積の増加に比べれば極めて小さい量です。(温度の変化が1℃に対して、体積は0.016%変化)したがって、氷を冷やし続けたときの体積の変化は、ほとんど起こらないように見えるのだと思います。

(回答掲載日:2022年7月1日)

#体積#氷の不思議
Q48

冷凍庫の霜

冷凍庫に霜がつくのはなぜですか?霜とは何なのか知りたいです。また、霜ができる冷凍庫と、霜ができない冷凍庫の違いはなんですか?(るり葉さん / 千葉県・11歳)

 冷凍庫を開けると、真っ白な霜がついていることが多いですね。この霜の話に入る前に、空気中に含まれる水蒸気の量から話をはじめましょう。

 毎日の天気予報を見ると、今日は湿度が低くからっとした天気とか、湿度が高く蒸し暑い天気というような説明がありますね。これは、空気には水蒸気が含まれているためで、空気が含むことができる最大の水蒸気の量(飽和水蒸気量と言います)に対して、実際に空気に含まれる水蒸気の量をパーセントで表したものが湿度です。たとえば、湿度50%というのは、最大の水蒸気量のちょうど半分の水蒸気が空気に含まれることになります。 

 この空気に含まれる最大の水蒸気の量は、温度が下がるとだんだん少なくなります。このため、ある一定の量の水蒸気を含む空気を冷やしていくと、湿度が上がってやがて100%になります。この温度よりさらに冷やすと、空気中の水蒸気は小さな水滴として出てくることになります。上空の白い雲は、こうしてできたたくさんの水滴からできているのですね。真夏に、コップに冷たい飲み物を入れると表面に水滴がついてくもりますが、これも冷たいコップの表面が周りの空気を冷やして、水蒸気が水滴として現れるからです。

 さて、冷凍庫の中に戻りましょう。冷凍庫の中の温度は、コップの表面の温度よりずっと低く0℃以下になっています。このため、空気中の水蒸気は、もはや水滴ではなく氷の小さな粒となって現れることになります。このような氷の粒の集まりを、霜と呼びます。すなわち、霜は空気中の水蒸気が直接氷の粒として出現したもので、上空の雲の中でできる雪の結晶と同じできかたです。冷凍庫は、食品の出し入れでしょっちゅう開け締めをしますので、そのたびに外の空気が流れ込みます。このため、水蒸気もどんどん入ってきて、この水蒸気が霜となって現れるのです。

 最後に、「霜ができない冷凍庫」といっても、実際は霜ができないわけではありません。冷やし方をくふうしたり空気を循環させたりして、じつは目に見えない所に霜ができるように作られているだけなのです。見えない所にできた霜は、自動的にときどきヒーターで溶かしてしまうなどのくふうもされていて、冷凍庫を便利に使えるようにしているのですね。

その他の現象 #冷凍庫#霜
Q47

ファミリーレストランの氷

ファミリーレストランの飲み物に入っている氷が大きくくぼんでいるのはなぜですか?(伸一郎さん / 石川県・10歳)

 確かに、レストランなどで飲み物に入っている氷には、不思議なくぼみがあるものが多いですね。この氷には、もう一つ大きな特徴がありますが気がつきましたか?その特徴は、家庭の冷凍庫で作った氷とくらべると、とても透明できれいであることです。氷にできたくぼみは、じつはこのことと関係があります。

 はじめに、家庭の冷凍庫で作った氷を見てみましょう。この氷は、白っぽくてあまり透明ではありません。家庭の冷凍庫では、容器に入れた水をそのままで静かにおいて凍らせます。このときに、水に溶け込んでいた空気が細かな泡となって出てきて、氷の中に閉じ込められてしまいます。このため、できた氷は白っぽく透明ではなくなってしまいます。

 では、レストランなどで使われる氷にもどりましょう。この氷は、水を凍らせるときに出てきた泡を、上手に逃してあげることができるくふうをして、作っています。そのくふうとは、氷を作る容器に最初から水を入れておくのではなく、ノズルの先端から吹き出る水を容器に吹きかけながら凍らせるのです。こうすると、水が凍りついて泡が発生しても、水の流れのために泡が吹き飛ばされてしまい、泡を含まない透明な氷ができるのです。このような氷の作り方では、容器が氷で埋められてくると、ノズルからの水で泡を吹き飛ばす効果が弱くなり、最後はどうしても空気の泡が氷に取り込まれてしまいます。このため、容器が完全に氷で埋めつくされる前に、まだくぼみが残っているときに凍らせることをやめます。このため、氷にくぼみが残ってしまうのです。くぼみが残るというのが、透明な氷を作るための秘密なのです。

(回答掲載日:2022年6月7日)

#氷の不思議
Q46

冷凍庫の氷

氷屋さんから買った氷を2ヶ月冷凍庫に入れて置いたら小さくなってしまいました。なぜですか。(康二さん / 岐阜県・10歳)

 私たちの良く知っている水は、普通は液体の状態ですね。しかし、水は液体の状態だけではなく、氷点下の温度になると固体の氷に変わりますし、空気の中には気体の水蒸気として水分が含まれています。このように、水というのは、液体であったり、固体であったり、気体であったりと、その時の条件によっていろいろな状態に変化します。

では初めに、液体の水をコップに入れて、ふたをしないでそのままおいておくと、どうなるかを考えてみましょう。コップの水の量は、時間がたつとだんだん少なくなって、やがて消えてしまうはずです。これは、液体の水が“蒸発(じょうはつ)”して、水蒸気となって空気中に逃げていったからですね。これと同じように、冷凍庫の中に氷の固まりを入れておいても、氷の表面からは水分が水蒸気として空気中に逃げていきます。このため、氷の固まりは、融けることがなくても、だんだん小さくなってしまうのです。水分が、液体の水から気体の水蒸気になることを、蒸発と言いましたが、固体である氷から直接気体の水蒸気に変化することを、“昇華(しょうか)”と呼んで、区別しています。

この昇華という現象は、ドライアイスでも観察されます。ドライアイスは、二酸化炭素の固体ですが、室温においておくと融けることなく気体の二酸化炭素にもどり、やがて消えてしまいます。冷凍庫においた氷と、同じことが起きているのですね。

(回答掲載日:2022年3月8日)

#氷の不思議
Q45

人工の雪と自然の雪の違い

10歳の娘の質問です。人工の雪と自然の雪って何が違うか教えてください。(まきママさん / 福井県・38歳)

 雪が不足したスキー場などで、人工雪でゲレンデを整備したという話はよく聞きますね。どうやって作っているのか、そして自然に降り積もった雪とどう異なるのでしょう。

 まず、自然の雪というのは、空から降り落ちた雪の結晶が降り積もってできることは、説明するまでもありません。枝がたくさんのびて複雑な形をした雪の結晶が降り積もるので、自然の雪はふわふわの状態で、とても軽いものです。特に気温の低い高山や北海道などでは、本当に羽毛のようにふわふわの雪になって、パウダースノーなどと呼ばれることもあり、スキーヤーやスノーボーダーのあこがれです。

 一方、人工の雪は、見た目は自然の雪のように真っ白ですが、その作りかたは全く異なります。いくつかの方法がありますが、ひとつは氷屋さんで売っているような硬い氷の固まりを砕いて小さな氷の粒を作り、それを撒きちらすことで積もらせるものです。つまり、大量のかき氷を作って敷き詰めたようなものですね。もう一つは、大気が冷え込んで気温が氷点下になったときに、水をノズルから霧状に噴射させる方法です。噴射された水は小さな水滴となり、冷えた大気で急激に冷やされます。すると、水滴が地面に落下するまでの間に凍りついて、球形の氷の粒となって地面に降り積もります。(注)

 このいずれの方法でも、降り積もっているのは氷の小さな粒ですので、積もった雪は自然の雪のようにふわふわにはなりません。したがって、人工の雪は、できた最初からかなり固い雪になっています。自然の雪のような、軽くてふわふわな状態は作ることができません。

この人工の雪は、スキー場などでまだ自然の雪が十分降り積もっていないときなどに使われて、スキーヤーには喜ばれます。しかし、人工の雪を作るには大量の水や電力が必要ですので、環境に優しいとは言えませんね。スキーは、本来自然に積もったふわふわの雪の上を、さっそうと滑って楽しむスポーツですので、少し考えさせられますね。

(回答掲載日:2022年3月8日)

(注:ちなみに、スキー場などの人工雪では、氷を砕く方法の装置を人工造雪機、水を噴霧する方式の装置を人工降雪機と呼んで、区別しているようです。)

#人工雪#雪の不思議
Q44

氷の食感と溶け具合

美味しい氷は?溶けやすい氷と溶けにくい氷ってあるの?(まささん / 栃木県)

 氷を融かすには、熱が必要です。その熱の量は、融解熱と呼ばれるもので、氷の量に応じて決まります。したがって、融かす氷が、固まりであっても、ふわふわのかき氷であっても、氷の量が同じであれば必要な熱の量は同じです。にもかかわらず、実際にはふわふわのかき氷のほうが、固まりの氷よりも早く融けてしまうのはよく経験することです。これは、氷そのものが融けやすい、あるいは融けにくいということではなく、氷を融かすのに必要な熱がいかに早く氷に届くかの違いです。実際、同じ氷の固まりを二つ用意して、フライパンにのせて火にかけた場合と、そのまま室内に放置した場合を較べると、当然前者のほうが早く融けてしまいますね。これは、同じ形の氷の固まりであっても、それが融けきるのに必要な熱が、フライパンにのせたほうがすばやく氷に伝わるからです。すなわち、氷自体に融けやすい氷や融けにくい氷の区別があるのではありません。同じ量の氷に、素早く熱が加わって急速に融けるのか、逆に熱が伝わりにくくてなかなか融けないのかの違いを、このように表現しているのだと思われます。

 また、氷の形状や融け方が食感にも関連することは確かでしょう。しかし、同じ氷であっても、ふわふわのかき氷が好きな人もいれば、少しザラザラしたかき氷の方が好きな人もいるはずです。美味しいと感じるのは人それぞれですので、一概にこれということは困難です。

(回答掲載日:2022年3月8日)

#氷の不思議
Q43

凝固点降下と過冷却

過冷却と凝固点降下について教えてください。過冷却は凍るとき核となる何かきっかけがあって凍り始めるのであれば、なぜ不純物(核?)がたくさん溶けている水は0度以下ですぐ凍り出さないのでしょうか?過冷却の核と不純物は違うのでしょうか?凝固点降下の状態の方が過冷却より起こりやすい現象なのでしょうか?(ゆきまるさん / 富山県・18歳)

  過冷却も凝固点降下も液体が凍る温度(凝固点、注参照)に関連するので、混乱しますね。しかし、この2つは、全く別の現象です。また、これらの現象はどのような液体でも起きるのですが、ここでは質問にあるように液体として水を考えます。

 まず、過冷却から考えてみましょう。過冷却とは、液体の水をゆっくり冷やしていったとき、水の凝固点(0℃)になっても凍結を開始せず、凝固点以下の温度でも液体のままで存在する現象です。したがって、水の凝固点自体には、変化はありません。過冷却の状態にある水は、本来はその温度では固体の氷になっている方が安定なので、何かきっかけがあれば凍りたがっている状態といえます。このきっかけは、過冷却水中にある大きさをもった氷の固まり(すなわち、「氷の核」)ができることで、核生成と呼ばれる現象です。過冷却水中にこの氷の核が1個でもできると、一気に全体が凍り始めるのです。

 さて、ここで「氷の核」と言いましたが、過冷却水中にいきなり氷の核が発生するのはとても困難なことです。しかしながら、水中に細かな粒子が含まれていたり、容器の表面に傷があったりすると、この氷の核ができやすくなるという性質を持っています。氷の核の生成を助けるような粒子などを、氷晶核や凍結核などと“核”をつけて呼ぶことも多いですが、これはいわゆる「氷の核」そのものではないことに注意が必要です。

 一方、凝固点降下というのは、水に不純物が“溶け込んでいる”状態、すなわち水溶液になっている場合に、凝固点そのものが下がる現象です。通常は、モル凝固点降下と呼ばれていて、水中に溶けた不純物をモル濃度で表示すると、それに比例して凝固点が降下します。例えば、海水には塩が含まれていますので、凝固点は−1.9℃程度になります。したがって、0℃と−1.9℃の間の温度では、海水は決して過冷却状態ではないことになります。

 最後に、この海水の温度をもっと下げていくと、どうなるかを考えてみましょう。海水の凝固点である−1.9℃までは、もちろん液体のままですが、もっと温度が低くなると、過冷却状態となり、やはり液体のままで存在できます。過冷却の大きさ(過冷却度と言います)は、凝固点からどれだけ温度が低下しているかで定義しますので、同じ温度の過冷却状態であっても、過冷却度は純水のほうが大きいということになります。過冷却した海水が凍り始めるときも、純水と同じく氷の核が必要です。水に溶けている不純物の分子はあまりにも小さいので、氷の核の生成を助けるものには、ならないのです。

(注:この説明では、液体が固体に変わる温度として、“凝固点”という語を使いました。しかし、逆に固体が液体に変わるときには、“融点”という語を使います。両者は、全く同一の温度ですので、どちらを使っても構いません。)

(回答掲載日:2022年3月8日)

#過冷却水#凝固点降下
Q42

太陽の熱

太陽が出て屋根雪が融けるのを見て思ったのですが、太陽の熱は地球までどうやってとどくのですか?(ひなたさん / 富山県・10歳)

  雲間から太陽が顔を出して、日差しが戻ってくると急に暖かく感じます。太陽は地球からはものすごく離れたところにあるのに、太陽の熱が地球までどうやって届いているのか、不思議ですね。

 太陽の話の前に、もう少し身近にあることを考えてみましょう。例えば、バーベキューをするときの炭火や台所のガスコンロの火は、もし直接触ったらとても熱くてやけどをしてしまいます。しかし、直接触るのではなく、少し離れたところからでも手のひらをかざすだけで暖かさを感じます。これは、電磁波と呼ばれる波によって熱が伝わる現象で、放射(あるいは、輻射)と呼ばれます。電磁波という言い方は少しむずかしいですが、光は電磁波の一部ですし、テレビやラジオなどの放送に使う電波も電磁波です。すなわち、電磁波というのは、空中を伝わる電気の波と考えても良いでしょう。光や電波のちがいは、この波の一つ分の長さ(波長と言います)によります。電波は、波長が非常に長い波ですし、光は逆にものすごく波長の短い波になります。この電磁波で、特に熱を伝える性質が強い波長の部分を赤外線と呼びます。赤外線の波長は、私達の目に見える光(可視光と言います)の波長よりもかなり長めで、目で見ることはできません。しかし、炭火やガスコンロの火は、この赤外線をたくさん出しているので、手をかざすだけ暖かく感じるのです。

 さて、太陽に戻りましょう。太陽は地球からは遠く離れた位置にありますが、表面の温度は非常に高く、およそ6000度にもなっています。この太陽からは、可視光とともに大量の赤外線がでていて、宇宙空間を放射によって伝わり、地球に届くのです。このため、太陽が見える昼間はとても明るくなりますし、同様に大量の赤外線も届いています。このため、遠くにある太陽からでも十分な暖かさを感じることができ、屋根の雪も融かしてしまうのです。太陽が雲にかくれると急に気温が下がるのは、光と同じように地表に届く赤外線の量も減ってしまうからです。

(回答掲載日:2022年2月28日)

その他の現象 #電磁波#熱#放射#太陽
Q41

霜はどこからおりてきますか?

寒い朝、地面が白くなっていました。おかあさんに霜がおりたからと教えてもらいましたが、霜はどこからおりて来たのかわからないので教えてください。(孝太郎さん / 富山県・10歳)

  晴れわたった冬の寒い朝には、あたり一面が真っ白になっていることがあります。たしかに、これを「霜がおりる」と表現しますが、とても素敵な言い方ですね。では、はじめに霜はどのようにしてできるのかを考えてみましょう。

 霜は、地面や地表にあるさまざまな物体にできた氷の結晶です。氷の結晶ができるためには、原料になる水分が必要です。こう考えると、地面にできた水たまりのようなところに霜ができそうですが、じっさいには水たまりには透明な氷ができるだけで霜はついていません。霜は、かえって水たまりなどがないところにできていることに気がつきます。

 では、霜の原料である水分はどこからくるのでしょう。この水分は、じつは空気中に含まれる水蒸気なのです。この水蒸気は、空気が冷やされるともう空気中にはとどまることができずに、液体の水や固体の氷として現れるという性質をもっています。たとえば、コップに氷を入れると、コップの外側がくもります。これは、冷えたコップのガラスのすぐ外側の空気も冷やされるため、空気中にあった水蒸気が細かな水滴としてくっついたからです。同じように、冷凍庫でキンキンに冷やしたコップを外に出すと、こんどはコップの表面にうすいまくが張るように氷ができて、真っ白になると思います。これが、水蒸気からできた氷で、霜と同じものなのです。

 もともと気温の低い冬の季節には、風もなく晴れていると夜間に地面が急に冷やされて、氷点下になることがあります。このようなときには、地面に近い空気も冷やされますので、その中に含まれていた水蒸気が地面に氷となって現れます。これが霜のできるしくみです。ちなみに、霜は空気中の水蒸気を原料としてできるのですが、空から降ってくる雪の結晶も同じように水蒸気からできます。霜と雪はでき方が同じということになりますので、霜を虫眼鏡で見てみると雪の結晶と同じようなきれいな枝が見えることもあります。

 このように、霜は晴れた寒い朝にどこからともなく現れますので、「霜がおりる」という言い方をするようになったのではと思います。ブルッとするほどの寒い朝に、あたり一面が真っ白になっているというようすを、とても良く表現していると思いませんか?

(回答掲載日:2022年2月28日)

その他の現象 #霜#自然現象
Q40

つららの不思議

つららの表面がデコボコしているのは凍ったり融けたりして出来るからですか。教えてください。(ボーゲンさん / 長野県・10歳)

 軒先にぶら下がったつららは、ときには1m以上の長さにもなり、晴天をバックにするととてもきれいですね。つららの表面は確かにデコボコしていて、奇妙な形をしています。このデコボコのできる理由は、つららのでき方に関係するかなり難しいしくみを考えないといけません。

 もし今度、つららを見つけたら、その表面のデコボコの特徴をもう一度よく見てみましょう。すると、つららの長さや太さとは関係なく、デコボコのデコとデコの間隔がどれもほとんど同じであることに気がつくと思います。この間隔はおよそ1cmであることが知られています。

 このデコボコができるしくみを考える前に、つららがどのようにして大きくなるか(成長するか)を説明しましょう。つららは、建物の屋根に雪が積もっているときに、その軒先から伸びていることが多いと思います。建物の内部は暖房が入っていますので、屋根から熱が伝わり、積もった雪を下(屋根の側)からゆっくり融かします。すると、融け水は、屋根の傾きのために軒先に向かって流れていき、軒先で外気にさらされると再び冷やされて凍り始めます。こうして、小さな氷のかたまりが軒先にぶら下がります。軒先には屋根からつぎつぎと融け水が流れてきますので、この水は軒先の氷のかたまりの表面に薄い水の膜を作りながら流れ落ち、最後にかたまりの下からしたたり落ちます。この膜を作って流れる水は、氷点下の外気で冷やされますので、水の膜の内側(氷の側)から凍りついて、中の氷をゆっくり太らせます。さらには、かたまりの先からも凍っていきます。こうして、氷のかたまりはだんだん太さを増すとともに長さも長くなっていき、つららになります。

つまり、つららが大きくなるときには、必ずその表面に薄い水の膜ができていなければなりません。このときには、表面のデコボコのデコの部分にもボコの部分にも、同じように水の膜ができているはずですので、どちらの部分でも少しずつ凍りついて、氷が太くなっていきます。決して、凍ったり融けたりしているわけではなく、つららの表面ではどこも凍っていくばかりで、融けるところはないことに注意してください。では、デコボコはどうしてできるのかですが、デコの部分とボコの部分ではほんの少しだけ水の膜の厚みが違います。デコの部分が水の膜が少し薄いので、外気で冷やされやすく、凍るのが速くなります。こうして時間がたつと、つららの表面にはデコボコの模様ができてしまうのです。

 最後に、デコボコの間隔がおよそ1cmであるというのは、つららの表面にある水の膜の中での流れや外気からの冷やされ方などを考えると、うまく説明できることが明らかになっています。つららについては、参考に上げたコラムにも説明があります。

参考 http://www.lowtem.hokudai.ac.jp/publish/11oriori36.pdf 

(回答掲載日:2022年2月28日)

その他の現象 #つらら#自然現象
Q39

ひょうやあられが降る条件

ひょうやあられは、どういう時に降るものですか?(怜さん / 長野県)

 ひょう(雹)やあられ(霰)は、よくひとくくりで呼ばれますが、その特徴や成因はかなり異なります。それぞれについて、違いを見てみましょう。

雪の結晶は、大量に浮かんだ雲粒(直径が0.01ミリ以下の大きさの水滴)の中に発生した氷の粒が、時間とともに周囲の水蒸気をもとに大きく成長することで作られます。雪の結晶は、成長するとともに重さが増すので落下速度も大きくなります。すると、結晶の周りの空気の流れにより、結晶に雲粒が衝突して粒のままで凍りつく場合があります。このような雪の結晶は、雪の結晶の分類表にもある「雲粒付きの雪結晶」ということになります。このとき、雲が非常に濃い(雲粒の数が非常に多い状態)場合には、雲粒がつぎつぎと衝突して凍りつきます。最後には、もとの雪の結晶はもはや見えなくなり、凍りついた雲粒の塊になってしまいます。これが、「霰」と呼ばれるものです。実際に降り落ちた霰を拾い上げて、凍りついた雲粒を丁寧に外していくと、最後には元になった雪の結晶が残っているのを確かめることができます。

 一方、雹は、白い霰とは異なり、透明な氷の塊として降ってきます。これは、霰ができるときよりも、もっと大量に雲粒が衝突すると、衝突した雲粒はもはやその場で凍りつくことができず、氷の表面を水の膜で覆ってしまうほどになります。雹は、この水の膜が凍ることで、透明な氷の塊としてだんだん大きく成長することで生成されるのです。したがって、氷の塊である雹は非常に重く、雲の中を高速で落下することになります。雹が大きく成長するためには、雹の落下速度に匹敵するような強い上昇気流があることが重要です。これによって、雹は長い時間雲の中に滞在することができ、大きな塊に成長できます。このような強力な上昇気流が生じるには、極端に発達した積乱雲が必要で、竜巻などを引き起こすこともまれではありません。雹は、竜巻などの発生と合わせて観測されることが多いのは、このためです。雹といっても、大きさはせいぜい直径で1センチ程度のものがふつうですが、場合によってはゴルフボール程度の大きさになることもあります。また、まれに直径が10センチを超えるものが観察されたという記録もあります。さらに、雹は必ずしも冬の季節に特有なわけではなく、積乱雲の発達しやすい夏の猛暑のときに降ることも少なくありません。落下速度があまりに大きいため、上昇気流から抜け出すとあっという間に地面に到達してしまうので、真夏の気温でも融けて水にもどるひまがないからです。

(回答掲載日:2022年2月17日)

その他の現象 #霰#雹#自然現象
Q38

飛行機の上空で窓に雪の結晶のようなものが?

国際線の飛行機に搭乗したとき、上空で窓に雪の結晶のようなものが張り付いていましたが、あれはどのような現象だったのか教えて下さい。(雪男さん / 石川県・40歳)

 飛行機の窓は、アクリル樹脂の板でできていて、3層の構造になっています。国際線の飛行機は、高度が10キロメートル以上を飛行するので、外気の気温は−50℃以下にもなります。このため、外気に直接触れている一番外側の窓板は、急激に冷やされた状態になっていて、3層の窓板の隙間にある大気に含まれる水蒸気が氷として凍りつくことがあります。これが、雪の結晶のようなものが張り付いたものの正体で、窓霜と呼ばれるものです。窓霜は、北海道などの寒冷な地域では窓ガラスの表面にできるものとして知られていますが、断熱の行き届いた建物ではめったに見かけなくなりました。飛行機の窓で見られるというのは、快適な機内と外気との温度差がいかに大きいのかを物語っています。飛行機が空港にいるときやそれほど高度の大きくない国内線での飛行では、外気温はそれほど下がりませんので、このような現象が見られる機会は少ないと思います。窓霜についての詳しい説明は、本Q&AのQ35の回答を御覧ください。

 ちなみに、飛行機の窓は3層になっているというお話をしました。これは機内の気圧を保つために十分な強度を持つ窓とすることが主な役割ですが、この窓霜の発生をできるだけ抑えるという工夫もあります。窓板を注意深く見ると、どこかに小さな穴があけてあるのに気がつくと思います。この穴は、3層の窓の中間の窓板にあいていて,窓板と窓板の隙間の空気を出し入れする役割をもっています。飛行機の機内の空気は、非常に乾いた状態にあるので、この空気が出入りすることで窓霜の発生を抑制することができるのです。

(回答掲載日:2022年2月4日)

その他の現象 #窓霜#自然現象
Q37

雪の溶け方

大雪が降った後の二日後に見かけたものです。誰も踏まれていない路面の雪が溶け、泡泡のようなとてもかわいい形になっています。指で突くと、とても薄くてすぐに破れました。なんで雪が溶けると、こんな形になるんでしょうか?(ナナハチさん / 東京都)

 最初に、氷屋さんで売っているような透明な氷の塊を急いで溶(融)かしたいときにどうするかを考えてみましょう。塊のままでおいておくとなかなか溶けませんが、塊を砕いて小さな粒にすると早く溶けます。これは、氷が溶けるときには必ず塊の表面から溶けるからで、同じ氷の量で較べると粒が小さいほど表面がたくさんあるので、早く溶けることになります。さらに、最初はギザギザした形の氷の塊を溶かすと、溶けるとともに全体に丸みを帯びてくるということもよく経験することです。これは、粒の尖ったところほど溶けやすいという性質があるからです。

 さて、ご質問にある積雪は、雪の結晶が降り積もったものですので、小さな氷の粒でできています。したがって、積もったあとで気温が0℃以上になると、表面から溶け出すことになります。表面ほど溶けやすいはずですので、小さな雪の粒は更に小さくなっていきます。また、雪が溶けない氷点下の気温であっても、小さな氷の粒は直接水蒸気へと蒸発(科学的には、“昇華”と呼ぶのが正しいのですが、ここでは分かりやすく蒸発を使います)し、溶ける場合と同じように表面が多いほど蒸発しやすくなります。こうして、積もった雪の粒は、時間とともに小さくなり、やがて消えていくのです。このような過程で、泡が重なったようなかわいらしい形が現れたと考えられます。さらに、溶けたり蒸発したりすることで、雪粒どうしの結びつきが弱くなるので、指でつつくと簡単に壊れてしまうのです。

(回答掲載日:2022年1月31日)

#自然現象#雪の不思議
Q36

雪の気配

明日は雪が降るよ、という予報が流れた日は、あたりがしんと静まり返っていて、誰もいないような気がします。雪には気配というものはあるのでしょうか?(hiraさん / 東京都)

「気配」という言葉は、科学の世界では使いませんので、「予兆(あるいは、前兆)」などで置き換えて考えてみましょう。最近では、地震の発生や火山の噴火などの自然現象が起きる時に、予兆があるかどうかが議論されたりしますので、ときどき耳にする言葉かと思います。さて、ご質問の「雪が降る」という現象にもこのような予兆があるかと言うと、その可能性は小さいと思われます。天気予報も、地球の大気の動きなどを予測して、未来の天気の変化を予報するもので、予兆とは異なります。しかし、東京のように一冬に一、二度しか雪が降らない地域では、普段は現れない特別な気象条件になっていることが多いかと思います。すなわち、少なくとも雪が降るには気温が氷点下、あるいはプラスでも0℃に非常に近い状態になっている必要がありますし、天候の悪化に向けて気圧が急に下がるなどということもあると思います。このような急激な気象変化があると、体調の変化を感じたり、普段とはどこか違うという感覚を持つ方もいます。

 この質問に回答するにあたり、東京や加賀市に住む何人かの人に、雪が降る前になにか普段と違う感じがするかどうか聞いてみました。多くに皆さんは、あまりそのような感じはしないということでした。しかし中には、「「雪が降る」という予報がでるのは東京ではかなり珍しいので、なんとなく周囲もそわそわして「早く帰らなきゃ」という雰囲気になったり、帰り道でいつもとは段違いの冷え込みと静けさを感じた記憶があります。」と回答をくださった方がいます。質問者の方が感じられたことも、おそらくこのような感覚ではないかと思います。

 一方、雪が積もってしまうと、あたりがとても静かになった感じがするというのは多くの方が経験されることと思います。これは、積もった雪が音の伝わりや反射を弱めるためと考えられます。詳しい説明は、Q30の回答を参照してください。

(回答掲載日:2022年1月31日)

#雪と音#自然現象#雪の不思議
Q35

窓霜

窓霜の模様は何種類ありますか。教えてください。(まどしもさん / 秋田県・12歳)

 窓霜とは、外気で冷やされた窓ガラスの表面にできる霜のことです。最近では、建物の断熱性能も上がり、めったに見ることができなくなりましたね。

 窓霜の模様については、雪の結晶の分類表のようなものはありません。しかし、窓ガラスの表面にできた氷には、実は2つの種類があることを説明したいと思います。一つは、窓ガラスの表面に水蒸気(気体)から直接氷の結晶が生成したものです。冬の寒い朝などに、地表にあるさまざまな物体の上にできる霜とでき方が同じですので、窓霜と呼びます。一方、窓ガラスの表面に氷ではなく水滴ができ、ガラス表面全体が水の膜で覆われた状態になることがあります。その水の膜が、更に冷却されて凍ると、氷の薄い膜ができる場合があります。これは、窓氷と呼ばれるもので、窓霜とは異なります。窓霜と同じように、やはり複雑な模様ができます。両者は、成因が違いますので本来区別しないといけないのですが、同じよう模様をひと目で区別するのはなかなか難しいこともあり、区別せずにどちらも窓霜(あるいは窓氷)と呼んでいる場合も少なくありません。

 ところで、窓霜は気体である水蒸気から生成されると説明しましたが、このしくみは実はエピタキシャル成長と呼ばれる最先端の結晶成長法と関連します。エピタキシャル成長とは、基板となる結晶の上にさらに薄膜上の結晶を作る方法のことで、半導体結晶の生成などで広く使われる重要な先端技術です。この薄膜結晶の方位や特性は、基板の結晶の特性で大きく変わります。氷の場合でも、ガラスではなくヨウ化銀(AgI)やコベリン(CuS)などの結晶表面で水蒸気から氷結晶を成長させると、方位が決まった氷の薄膜結晶ができることが知られています。身近な窓霜の生成のしくみが、最先端の半導体技術と共通点があることは驚きですね。

(回答掲載日:2022年1月7日)

その他の現象 #窓霜#自然現象