雪と氷のQ&A
タグ:チンダル像
チンダル像について
チンダル像は、溶質が混ざった水溶液を凍らせた氷でも作ることができますか?その理由も教えてください。(K.Cさん / 福井県・14歳)
チンダル像とは、氷の単結晶に光を当てると、”結晶の内側”から解けだしてできる、円盤や六角の樹枝状の形をした像のことを言います。氷が融けることでできるので、像の内部は液体の水で満たされています。チンダル像を作る時に使う氷の単結晶は、通常は純水を凍らせて作ります。では、純水ではなく溶質が混ざった水溶液を凍らせて作った氷を使った時でも、同じようなチンダル像を作ることができるかというのが今回のご質問です。
答えは、純水で作成した氷でも水溶液から作った氷でも、同じようにチンダル像を作ることができます。すなわち、たとえ水溶液から氷を作っても、出来上がった氷は純水を凍らせて作る氷と全く同じ性質をもつからです。これは、水溶液が凍るときは水分子だけが結晶に取り込まれて、溶質の成分は氷の結晶からは吐き出されてしまうからです。このため、出来上がった氷の結晶には溶質成分が含まれないため、もともと純水から作った氷と完全に同じものになります。
では、水溶液を凍らせて氷を作る時に、どんなことが起きているのかをもう少しだけ詳しく説明しましょう。容器に水溶液を入れて、それを冷やしていくと氷が発生します。氷の結晶は成長とともに溶質の成分を吐き出しますので、その成分は水溶液の中に取り残されます。こうして、氷の成長とともに、残った水溶液の中の溶質の濃度はだんだん高くなるということになります。やがて、水溶液全体が凍ると、溶質成分は氷と氷の隙間などに取り残されてしまいます。
例えば、色のついたジュースなどを冷凍庫で凍らせると、一見一様な色のついた氷になっているように見えます。しかし、拡大して観察すると無色透明な氷の部分とその隙間に濃縮されてジュースの成分に別れているのが分かります。凍ったジュースを口に入れると、最初の液体の時より甘く感じると思いますが、それはジュースの成分が濃縮されて残っているからです。
最後に宿題です。冷凍庫の中で、自分で水道水を使って氷を作ると、できた氷の中心部分に真っ白な部分ができることがあります。このような白い部分造ができる理由も、実は上に説明したことと関係しています。その理由をぜひ考えてみてください。お答えをお待ちしています。
(回答掲載日:2026年6月16日)
氷 #チンダル像#氷の不思議氷の中に雪の結晶はできますか
こどもたちが氷の中に雪の結晶のようなものを見つけたのですが、氷の中に結晶ができることってあるのですか?(ゆりぐみさん / 静岡県・4歳)
ゆりぐみのみなさんへ
とてもおもしろいものを、みつけましたね!すきとおったこおりなかにできているので、ちょっとみえにくいですね。でも、ちゅういして、かんさつしてくれたので、みつけられたのだとおもいます。かんしんしました。
みなさんがみつけた、ゆきのけっしょうのようなものは、こおりのなかで、こおりがとけてできたものです。なまえは、「チンダルぞう」と、いいます。こおりに、たいようのひかりがあたると、あたためられて、こおりがとけます。こおりはすきとおっているので、なかでとけだすようすも、みえるのですね。そのとき、ゆきのけっしょうとおなじように、ふしぎと、ろっかくのかたちができるのです。これは、こおりのなかにできるので、「こおりのなかにあな」ができたということになりますね。このあなのなかには、こおりがとけてできたみずが、たまっています。
こおりがとけてできたあなが、そらからふってくるゆきのけっしょうとおなじように、ろっかくのかたちをしているのは、とてもふしぎですね。これは、ふわふわのゆきのけっしょうと、かたいかたまりのこおりが、じっさいはおなじもの、で、できているからなのです。
みなさんのまわりにあるしぜんのなかには、おもしろいことがたくさんかくれています。これからも、ちゅういして、おもしろいことをさがしてみてくださいね。きっと、まだまだ たくさんみつかるとおもいます。みつけたら、またおしえてください。
先生がたへ
子どもたちが、とても面白いことをみつけましたね。氷に太陽の光が当たると、表面から融け出すだけではなく、氷の内部にまで射し込んだ光のために、内部でも融け出すことがあります。すなわち、氷の中にできた穴ということになりますが、内部は液体の水で満たされています。これは、一般にチンダル像とよばれるものです。(チンダルとは、19世紀に活躍したイギリスの有名の物理学者の名前で、この現象の発見者です)雪の結晶も氷ですので、チンダル像も同じように六角の形を作って融けていきます。この六角というのは、氷の持っている結晶としての性質を反映しています。また、雪の結晶は、その外形の内側が氷(固体)ですが、このチンダル像では、内部が水で外部が氷(固体)です。すなわち、両者は、正と負の関係になっています。このためチンダル像のことを、「負の結晶」と呼ぶこともあります。また、このチンダル像の中には、必ず丸い円盤のようなものがあります。これは気泡ですが、中身は水蒸気だけで満たされたています。このため、蒸気泡と呼んだりします。氷は融けて水になると、体積が減少します。(氷が水に浮かぶのも同じ理由ですね)この体積が減った分が空隙として残りますので、このような気泡ができるのです。
この現象は、氷に光があたって融けていく過程では、しばしば起きます。しかしながら、氷の中の水の詰まった穴ですので、氷と水の区別がつきにくく、とても見えにくいですね。このため、実際にこの現象に気づく人は意外と少なくて、見過ごされがちです。子どもたちが、そんな現象を見つけたということに、とても驚かされました。これは、先生がたが子どもたちの自然への興味をうまく引き出していらっしゃるからであろうと想像し、大変感銘を受けました。
最後に、チンダル像を実際に作ることができるかですが、今回質問にいただいたタライに入れた水を凍らせて氷を作るというのは、実はとても良い方法です。水面に張った氷を取り出し、それに強い光(太陽光や電球の光など、手をかざすと暖かい光が最適。最新のLEDライトの光は、適当ではありません)を当てて氷を融かすと、チンダル像が現れて、だんだん大きくなる様子が見えるはずです。見えにくい時は、以下のような工夫をすると見やすくなるかも知れません。氷を底が平らで透明なガラス皿に入れて、皿の下に少し隙間を開けて白紙をおきます。この氷に光を当てて融かすと、氷の中にできたチンダル像が影絵となって白紙に映るので、見えやすくなります。試してみて下さい。また、中谷宇吉郎雪の科学館では、来館者への体験実験のなかでこのチンダル像を紹介しています。機会がありましたら、ぜひお立ち寄りください。
(回答掲載日:2023年2月23日)

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