雪と氷のQ&A
カテゴリー:その他の現象

Q82

雪の結晶と霜の模様について

僕は雪の結晶がきれいだなと思って雪が降ると観察しています。この間、ガラスに霜がついてきれいな模様ができていました。大きさは違うけれど、雪の結晶と形がすごく似ていました。なぜ雪の結晶と霜の模様は形が似ているのですか?霜の模様は雪の結晶の仲間ですか、それとも違うものですか?(さときちさん / 北海道・9歳)

 北海道などでは、寒い朝に窓ガラスにきれいな模様の氷がついていることがありますね。このQ&Aの中のQ.35Q.38にも、関連する質問がありますので、その回答も参考にしてください。

 ガラスについた氷には、窓霜と窓氷と呼ばれる2つの種類があります。窓霜は、雪の結晶と同じように、ガラス窓周辺の水蒸気が直接結晶に変わったものです。これに対して、窓氷は、水蒸気がいったん液体の水として凝結し、その水の膜が冷却されて凍ったものです。雪の結晶と似た模様として観察されたのは、窓霜のほうであったと考えられます。雪の結晶も窓霜も、水蒸気から直接結晶ができるので、基本的なでき方は同じです。この意味では、仲間どうしと言えます。雪の結晶ができるときは、結晶は空中に浮かんでいるので、周りから均等に水蒸気を集めます。このため、とても対称的な形になります。しかし、窓霜の方は、ガラス窓の表面という少し特別な場所でできていますので、水蒸気を均等に集めることが難しくなります。このため、雪の結晶に比べると、かなり歪んだ形になっていることが多くなります。また、ガラスの表面に対して、結晶のできる向きが少し斜めになっていると、丸みを帯びた枝が伸びることもあります。また、ガラスの表面の性質によっても、その上にできる窓霜の形などが異なることも知られています。

(回答掲載日:2024年1月26日)

その他の現象 #窓氷#雪#霜#窓霜
Q79

雪雲

雪雲が出来る高さはどれくらいですか?(嘉彦さん / 石川県・10歳)

 私達の住む地球の大気では、雲の高さは最大でも10000メートル(10キロメートル)が限界です。旅客機は地上から約10キロメートルの上空を飛びますが、これはもう雲が存在しないような高さを飛びたいからですね。

 さて、実際に雪を降らせる雲(雪雲)は、この最大の高さよりは低く、だいたい2000メートルから3000メートルの高さと言われています。富士山の高さはおよそ3700メートルですので、それよりも低いところということになります。

 このような雪雲の中でできた氷の粒は、雲の中を落下しながら周囲の水蒸気を集めて、だんだん大きくなります。粒の大きさが大きくなると落下する速度も増してきますので、だいたい1時間ぐらいをかけて地上に落ちてきます。これが雪の結晶ですね。地上に達したときには、結晶の大きさは最大で10ミリ程度です。これは雲の中で成長できる時間が1時間程度しかないためで、どんなにがんばってもこれ以上には大きくなれません。

 スキーなどで山に行くと、きれいな結晶が見えやすくなりますね。これは、山の高さのために、雪雲の中でできた雪の結晶が、すぐに私達の目の前に降り落ちてくるためです。今度スキー場に行くことがあったら、雪の結晶を観察して、この結晶がどれくらいの高さから落ちてきたのかを想像してみてください。

(回答掲載日:2023年8月29日)

その他の現象 #雪雲#雪#雲
Q76

雪や雲について

雲(特に積乱雲)が発生する仕組みや雪が発生する仕組みを利用した、科学技術はなにかありますでしょうか。例えば、雲が発生する仕組みを利用して砂漠で水を生み出せるとか…(しししさん / 千葉県・19歳)

 ご質問のご質問の意図は、気象現象のメカニズムを解明することで、気象を制御するための技術として活用できるかどうかということであると思います。この視点でいうと、これは極めて困難であると思います。たとえ雲の発生機構が解明されても、気象を人工的に改変することはできません。質問で指摘されているような砂漠地帯では、そもそも大気中での水分の存在量が少ないので、そこに新たに水分を生み出すことはできません。さらに、気象現象は、ある狭い領域で単独で起きるように見えても、実際は地球全体の大気の運動と連動して起きるものです。すなわち、どこかの砂漠地帯に大量に雨を降らせたとしたら、その反動で他の地域では本来降るべきであった雨が降らないということが起きてしまうでしょう。したがって、仮に地球の大気中で起きる様々な気象現象を改変する技術が生まれても、それを安易に使うことはできません。

 (回答掲載日:2023年7月27日)

その他の現象 #雪#雲#雪の不思議
Q63

結晶について

日常だったらどうやって作れますか。( まーさん / 石川県・12歳)

  雪の科学館では、雪や氷の結晶のことを皆さんに紹介していますが、私達の身の回りを見渡してみると、雪や氷以外にもいろいろな種類の結晶があります。例えば、台所にある塩も結晶です。塩の結晶は、虫眼鏡で見てみると簡単に観察することができます。また、濃い塩水を作ってお皿に入れてそのまま何日か置いておくと、水面に小さな塩の結晶ができるのを観察することもできます。これは、水分が蒸発して塩水の濃さがまして、塩が結晶として出てくるからです。

 さらに身の回りのものでは、氷砂糖なども結晶です。おやつに食べるチョコレートも結晶でできているのですよ。粉末の薬なども、小さな結晶の粒でできているものがたくさんあります。また、お母さんの持っている宝石なども、自然の中で作られた鉱物の結晶をきれいに削ったものでできています。さらには、テレビとかスマートフォンなどの電子機器には、いろいろな半導体と呼ばれる結晶が使われています。

 このように、私たちの身の回りには、さまざまな種類の結晶がありますが、これらを作るのは簡単ではありません。冷凍庫で水を冷やすだけで作れる氷の結晶は、実はもっとも簡単に作れる結晶なのです。

(回答掲載日:2023年2月14日)

その他の現象 #結晶#雪#氷
Q60

永久凍土の中の微生物について

冷凍庫の中で微生物が活動しにくくなるという実験をしました。そこで気になったのが、氷点下の中に長いこといる微生物は死滅しているのでしょうか?それとも活動停止しているだけなのでしょうか?何万年もの間、永久凍土の中に閉じ込められている微生物たちが、温暖化により永久凍土が溶けた時に再活動するのか教えてください。( 氷博士になりたいにゃーこさん / 栃木県・13歳)

 大多数の微生物は、氷点下の環境におくと、その生命機能を停止して休眠の状態になるか、徐々に死滅していくかのいずれかになると考えられます。しかし、中には氷点下の環境でも、生き残ることができるものがいることも知られています。それらの微生物は、低温に耐える特別なしくみを持っていると予想されます。

 では、永久凍土の中はどうでしょう。永久凍土は、出来てから何万年もの間凍りついたままですので、その中に含まれていた微生物は、すでに死に絶えたものが多いと思われます。しかし、近年では永久凍土が融けたときに発生するメタンを生成する微生物(メタン生成菌)が発見されるなど、凍土の中に含まれる微生物の研究が盛んに行われるようになっています。しかし、その発見は容易ではありません。死んだ微生物からも検出できるDNAを分析し、永久凍土の中に昔どんな微生物がいたかを探るような研究も行われています。

 とは言っても、永久凍土に閉じ込められていた微生物が、温暖化により永久凍土が融けたときに、再活動を始めるものがいるかどうかは、まだ十分には解明されていません。もし、永久凍土が融けて復活を遂げる微生物がいるとすると、それらは人間にとって重大な危機をもたらす可能性も捨てきれません。これから温暖化がますます進行し、永久凍土がさらに融け出す事態になったとき、このような微生物に対する備えを整えておくこともとても重要ですね。

 最後に、このような低温の環境で生き延びることができる生物(微生物だけに限りませんが)の生命の仕組みを知ることは、地球以外の惑星や衛星にも類似の生物が存在するかどうかという興味深い問題にも関係しています。このような惑星や衛星は、地球よりも太陽から遠いので表面の温度も低く、もし生物がいるとすると、低温の環境で生き延びていることになるからです。

 また、おもしろい実験の結果を教えて下さいね。

(回答掲載日:2023年1月6日)

その他の現象 #地球温暖化#永久凍土#冷凍庫#実験
Q56

南極は息が白くならないって本当ですか?

小学3年生の娘に南極は息を吐いても白くならないのは何故と質問されましたが上手く説明できませんでした。息が白く見える理由と南極は本当に白くならないのですか、教えて下さい。(kazu さん / 福井県・33歳、小3)

 私は、残念ながら南極には行ったことがないのですが、南極では吐く息はあまり白くならないという話は、確かに聞いたことがあります。吐く息に限らず、水蒸気をたっぷり含んだ空気が急に冷やされると、水蒸気は小さな水の粒として現れます。一つ一つの粒は小さいのですが、それが集団になると、光が乱反射されて白く見えるのです。上空の雲や霧なども、全く同様です。では、空気が冷やされたときに水蒸気が水の粒として現れるのはどうしてなのかを、はじめに考えてみましょう。

 水の粒が現れるためには、2つの重要な条件がそろわないといけません。まず1つ目は、空気中に水蒸気が過剰に含まれることです。ある一定の体積の空気が含むことのできる最大の水蒸気の量(飽和水蒸気量と呼びます)は、決まっています。この限界まで水蒸気を含んだ空気は、湿度100%ということになります。飽和水蒸気量は、気温によって大きく変化します。たとえば、1立方メートル当たりの空気に含まれる飽和水蒸気量は、気温が40℃ではおよそ50gですが、10℃になると10g程度まで減少します。湿度が100%より低い空気であっても、その空気を冷やしていくと、ある気温で湿度100%に達することになります。その温度よりさらに冷やすと、空気中には飽和水蒸気量以上に水蒸気を含むことになります。この過剰に含まれる水蒸気量が、水の粒を作る原料となります。

 一方、原料である過剰な水蒸気があっても、そう簡単には水の粒に変わることができません。水の粒を作るには、水蒸気が凝結するための核となる微細な粒子が必要なのです。このような粒子が空気中に存在することが、2つ目の条件になります。

 このことをもとにして、吐く息の問題を考えてみましょう。肺から吐き出されたばかりの空気は、体温に近い温度になっていて、水蒸気もたっぷり含まれています。この空気が周囲の冷たい空気と混じり合うと、温度が急に下がります。このため、混じり合った空気中の水蒸気は、その温度での飽和水蒸気量よりも過剰になる場合があります。上に述べた1つ目の条件は、これでクリアされます。さらに、私たちが住む地域では、空気中に地面から飛び出す土の粒子や人間の活動により排出される微粒子、さらには海洋などから出る細かな塩分の粒子などが多量に含まれていて、水の粒を作るための核となります。こうして、2つ目の条件も満たされると、水の粒が発生して息が白く見えるようになるのです。

 では、南極ではどうでしょう。南極の気温は、私たちの住む地域よりはるかに低いので、1つ目の条件はすぐに達成されるでしょう。しかしながら、南極では、空気中に核となる微粒子があまり含まれていません。それは、全体が氷で覆われているため地面が露出していないことや、人が住んでいないこと、さらには巨大な大陸で海から遠いことなど、微粒子を発生させる要因がないためです。すなわち、南極の空気は非常にきれいで、水の粒を作るための2つ目の条件が満たされないので、息が白くなりにくいと考えられます。「南極では吐く息が白くならない」というのは、南極の空気がいかに清浄であるかの証ともなっているのですね。

(回答掲載日:2022年10月29日)

その他の現象 #水蒸気#南極
Q53

過冷却水

家の冷凍庫で何度か挑戦したけど上手く出来ませんでした。成功のコツを教えてください。(かえでさん / 石川県・10歳)

 水を冷やすと0℃以下になっても凍らずに液体のままでいるのは、とても不思議ですね。しかし、0℃以下では、水は本来氷になっているのが普通ですので、過冷却した水は今にも凍ってしまうのをギリギリの状態で耐えていると言うことができます。このため、少しでも過冷却した水の容器を振動させたりすると、すぐに氷ができてしまいます。また、水を入れた容器の表面に細かな傷がついていたり、水中にゴミなどが含まれていたりすると、そこからも氷ができてしまいます。こうして、あっという間に水全体が凍ってしまい、過冷却の状態を保つことが難しくなります。

 家庭の冷凍庫で水を冷やして過冷却水を上手に作ることは、そう簡単ではありません。なぜなら、ドアを開け閉めするだけでもかなり大きなショックが加わりますし、そもそも冷凍庫は常に振動しています。このため、過冷却の状態を保つことが難しくなるのです。さらに、水を入れる容器も大事です。ガラスコップなどは、ガラスの表面に目に見えない細かな傷がたくさんついていることが多いので、そこから氷が発生してしまいます。一方、ペットボトルなどは、内側はかなりきれいで細かな傷も少なく、ガラスの容器よりは過冷却水を作りやすいようです。また、冷やす水もできるだけきれいな水を使うことも大事です。

 家庭の冷凍庫で過冷却水を簡単に作れたら、楽しいですね。上に述べた注意点を参考にして、もう一度チャレンジしてみてください。

(過冷却水についての説明は、Q18Q23Q43の回答にもあります。参考にしてください)

(回答掲載日:2022年9月1日)

その他の現象 #過冷却水#雹#水の不思議
Q52

雹が冷凍庫で溶けてしまった理由

先日、家の周りで雹が降り、大きめだったので何個か集めて冷凍庫で取っておきたい!と入れておきました。そしたら2、3日後には全て溶けて無くなってしまいました。雹は氷なので、冷凍庫なら溶けないと思っていたのですが、もっと低い温度じゃないと溶けてしまうものですか?(まっちゃさん / 千葉県・10歳)

 雹は氷ですので、普通の氷と同じように0℃で溶けてしまいます。冷凍庫に入れておけば、温度が0℃以上になることはまずありませんので、溶け水になって流れていってしまうことはありません。

 しかし、“冷凍庫に中に雹を入れておいたら、全て溶けて無くなっていた”というのは、冷凍庫の中で雹をどのようにして保管しておいたのかが関係しているように思えます。すなわち、雹をビニール袋などの密閉した容器に入れておけば、まんいち雹が溶けても溶け水はその容器の中に残っているはずです。一方、冷凍庫に中に雹を裸で入れておくと、雹は溶けなくてもその表面からどんどん蒸発して小さくなってしまいます。蒸発して水蒸気になった水分は、冷凍庫の他の部分に霜としてついたか、あるいは冷凍庫の開閉とともに外に逃げ出したりします。このため、雹はやがて冷凍庫の中から消えてしまうことになります。

 ご質問にあるように、もっと低い温度が必要なのではなくて、雹を密閉した状態に置くなどの工夫をすることで、長い期間保存ができるようになると思います。

(冷凍庫に置いた氷の蒸発に関しては、Q46の回答も参照してください)

(回答掲載日:2022年9月1日)

その他の現象 #雹
Q48

冷凍庫の霜

冷凍庫に霜がつくのはなぜですか?霜とは何なのか知りたいです。また、霜ができる冷凍庫と、霜ができない冷凍庫の違いはなんですか?(るり葉さん / 千葉県・11歳)

 冷凍庫を開けると、真っ白な霜がついていることが多いですね。この霜の話に入る前に、空気中に含まれる水蒸気の量から話をはじめましょう。

 毎日の天気予報を見ると、今日は湿度が低くからっとした天気とか、湿度が高く蒸し暑い天気というような説明がありますね。これは、空気には水蒸気が含まれているためで、空気が含むことができる最大の水蒸気の量(飽和水蒸気量と言います)に対して、実際に空気に含まれる水蒸気の量をパーセントで表したものが湿度です。たとえば、湿度50%というのは、最大の水蒸気量のちょうど半分の水蒸気が空気に含まれることになります。 

 この空気に含まれる最大の水蒸気の量は、温度が下がるとだんだん少なくなります。このため、ある一定の量の水蒸気を含む空気を冷やしていくと、湿度が上がってやがて100%になります。この温度よりさらに冷やすと、空気中の水蒸気は小さな水滴として出てくることになります。上空の白い雲は、こうしてできたたくさんの水滴からできているのですね。真夏に、コップに冷たい飲み物を入れると表面に水滴がついてくもりますが、これも冷たいコップの表面が周りの空気を冷やして、水蒸気が水滴として現れるからです。

 さて、冷凍庫の中に戻りましょう。冷凍庫の中の温度は、コップの表面の温度よりずっと低く0℃以下になっています。このため、空気中の水蒸気は、もはや水滴ではなく氷の小さな粒となって現れることになります。このような氷の粒の集まりを、霜と呼びます。すなわち、霜は空気中の水蒸気が直接氷の粒として出現したもので、上空の雲の中でできる雪の結晶と同じできかたです。冷凍庫は、食品の出し入れでしょっちゅう開け締めをしますので、そのたびに外の空気が流れ込みます。このため、水蒸気もどんどん入ってきて、この水蒸気が霜となって現れるのです。

 最後に、「霜ができない冷凍庫」といっても、実際は霜ができないわけではありません。冷やし方をくふうしたり空気を循環させたりして、じつは目に見えない所に霜ができるように作られているだけなのです。見えない所にできた霜は、自動的にときどきヒーターで溶かしてしまうなどのくふうもされていて、冷凍庫を便利に使えるようにしているのですね。

その他の現象 #冷凍庫#霜
Q42

太陽の熱

太陽が出て屋根雪が融けるのを見て思ったのですが、太陽の熱は地球までどうやってとどくのですか?(ひなたさん / 富山県・10歳)

  雲間から太陽が顔を出して、日差しが戻ってくると急に暖かく感じます。太陽は地球からはものすごく離れたところにあるのに、太陽の熱が地球までどうやって届いているのか、不思議ですね。

 太陽の話の前に、もう少し身近にあることを考えてみましょう。例えば、バーベキューをするときの炭火や台所のガスコンロの火は、もし直接触ったらとても熱くてやけどをしてしまいます。しかし、直接触るのではなく、少し離れたところからでも手のひらをかざすだけで暖かさを感じます。これは、電磁波と呼ばれる波によって熱が伝わる現象で、放射(あるいは、輻射)と呼ばれます。電磁波という言い方は少しむずかしいですが、光は電磁波の一部ですし、テレビやラジオなどの放送に使う電波も電磁波です。すなわち、電磁波というのは、空中を伝わる電気の波と考えても良いでしょう。光や電波のちがいは、この波の一つ分の長さ(波長と言います)によります。電波は、波長が非常に長い波ですし、光は逆にものすごく波長の短い波になります。この電磁波で、特に熱を伝える性質が強い波長の部分を赤外線と呼びます。赤外線の波長は、私達の目に見える光(可視光と言います)の波長よりもかなり長めで、目で見ることはできません。しかし、炭火やガスコンロの火は、この赤外線をたくさん出しているので、手をかざすだけ暖かく感じるのです。

 さて、太陽に戻りましょう。太陽は地球からは遠く離れた位置にありますが、表面の温度は非常に高く、およそ6000度にもなっています。この太陽からは、可視光とともに大量の赤外線がでていて、宇宙空間を放射によって伝わり、地球に届くのです。このため、太陽が見える昼間はとても明るくなりますし、同様に大量の赤外線も届いています。このため、遠くにある太陽からでも十分な暖かさを感じることができ、屋根の雪も融かしてしまうのです。太陽が雲にかくれると急に気温が下がるのは、光と同じように地表に届く赤外線の量も減ってしまうからです。

(回答掲載日:2022年2月28日)

その他の現象 #電磁波#熱#放射#太陽
Q41

霜はどこからおりてきますか?

寒い朝、地面が白くなっていました。おかあさんに霜がおりたからと教えてもらいましたが、霜はどこからおりて来たのかわからないので教えてください。(孝太郎さん / 富山県・10歳)

  晴れわたった冬の寒い朝には、あたり一面が真っ白になっていることがあります。たしかに、これを「霜がおりる」と表現しますが、とても素敵な言い方ですね。では、はじめに霜はどのようにしてできるのかを考えてみましょう。

 霜は、地面や地表にあるさまざまな物体にできた氷の結晶です。氷の結晶ができるためには、原料になる水分が必要です。こう考えると、地面にできた水たまりのようなところに霜ができそうですが、じっさいには水たまりには透明な氷ができるだけで霜はついていません。霜は、かえって水たまりなどがないところにできていることに気がつきます。

 では、霜の原料である水分はどこからくるのでしょう。この水分は、じつは空気中に含まれる水蒸気なのです。この水蒸気は、空気が冷やされるともう空気中にはとどまることができずに、液体の水や固体の氷として現れるという性質をもっています。たとえば、コップに氷を入れると、コップの外側がくもります。これは、冷えたコップのガラスのすぐ外側の空気も冷やされるため、空気中にあった水蒸気が細かな水滴としてくっついたからです。同じように、冷凍庫でキンキンに冷やしたコップを外に出すと、こんどはコップの表面にうすいまくが張るように氷ができて、真っ白になると思います。これが、水蒸気からできた氷で、霜と同じものなのです。

 もともと気温の低い冬の季節には、風もなく晴れていると夜間に地面が急に冷やされて、氷点下になることがあります。このようなときには、地面に近い空気も冷やされますので、その中に含まれていた水蒸気が地面に氷となって現れます。これが霜のできるしくみです。ちなみに、霜は空気中の水蒸気を原料としてできるのですが、空から降ってくる雪の結晶も同じように水蒸気からできます。霜と雪はでき方が同じということになりますので、霜を虫眼鏡で見てみると雪の結晶と同じようなきれいな枝が見えることもあります。

 このように、霜は晴れた寒い朝にどこからともなく現れますので、「霜がおりる」という言い方をするようになったのではと思います。ブルッとするほどの寒い朝に、あたり一面が真っ白になっているというようすを、とても良く表現していると思いませんか?

(回答掲載日:2022年2月28日)

その他の現象 #霜#自然現象
Q40

つららの不思議

つららの表面がデコボコしているのは凍ったり融けたりして出来るからですか。教えてください。(ボーゲンさん / 長野県・10歳)

 軒先にぶら下がったつららは、ときには1m以上の長さにもなり、晴天をバックにするととてもきれいですね。つららの表面は確かにデコボコしていて、奇妙な形をしています。このデコボコのできる理由は、つららのでき方に関係するかなり難しいしくみを考えないといけません。

 もし今度、つららを見つけたら、その表面のデコボコの特徴をもう一度よく見てみましょう。すると、つららの長さや太さとは関係なく、デコボコのデコとデコの間隔がどれもほとんど同じであることに気がつくと思います。この間隔はおよそ1cmであることが知られています。

 このデコボコができるしくみを考える前に、つららがどのようにして大きくなるか(成長するか)を説明しましょう。つららは、建物の屋根に雪が積もっているときに、その軒先から伸びていることが多いと思います。建物の内部は暖房が入っていますので、屋根から熱が伝わり、積もった雪を下(屋根の側)からゆっくり融かします。すると、融け水は、屋根の傾きのために軒先に向かって流れていき、軒先で外気にさらされると再び冷やされて凍り始めます。こうして、小さな氷のかたまりが軒先にぶら下がります。軒先には屋根からつぎつぎと融け水が流れてきますので、この水は軒先の氷のかたまりの表面に薄い水の膜を作りながら流れ落ち、最後にかたまりの下からしたたり落ちます。この膜を作って流れる水は、氷点下の外気で冷やされますので、水の膜の内側(氷の側)から凍りついて、中の氷をゆっくり太らせます。さらには、かたまりの先からも凍っていきます。こうして、氷のかたまりはだんだん太さを増すとともに長さも長くなっていき、つららになります。

つまり、つららが大きくなるときには、必ずその表面に薄い水の膜ができていなければなりません。このときには、表面のデコボコのデコの部分にもボコの部分にも、同じように水の膜ができているはずですので、どちらの部分でも少しずつ凍りついて、氷が太くなっていきます。決して、凍ったり融けたりしているわけではなく、つららの表面ではどこも凍っていくばかりで、融けるところはないことに注意してください。では、デコボコはどうしてできるのかですが、デコの部分とボコの部分ではほんの少しだけ水の膜の厚みが違います。デコの部分が水の膜が少し薄いので、外気で冷やされやすく、凍るのが速くなります。こうして時間がたつと、つららの表面にはデコボコの模様ができてしまうのです。

 最後に、デコボコの間隔がおよそ1cmであるというのは、つららの表面にある水の膜の中での流れや外気からの冷やされ方などを考えると、うまく説明できることが明らかになっています。つららについては、参考に上げたコラムにも説明があります。

参考 http://www.lowtem.hokudai.ac.jp/publish/11oriori36.pdf 

(回答掲載日:2022年2月28日)

その他の現象 #つらら#自然現象
Q39

ひょうやあられが降る条件

ひょうやあられは、どういう時に降るものですか?(怜さん / 長野県)

 ひょう(雹)やあられ(霰)は、よくひとくくりで呼ばれますが、その特徴や成因はかなり異なります。それぞれについて、違いを見てみましょう。

雪の結晶は、大量に浮かんだ雲粒(直径が0.01ミリ以下の大きさの水滴)の中に発生した氷の粒が、時間とともに周囲の水蒸気をもとに大きく成長することで作られます。雪の結晶は、成長するとともに重さが増すので落下速度も大きくなります。すると、結晶の周りの空気の流れにより、結晶に雲粒が衝突して粒のままで凍りつく場合があります。このような雪の結晶は、雪の結晶の分類表にもある「雲粒付きの雪結晶」ということになります。このとき、雲が非常に濃い(雲粒の数が非常に多い状態)場合には、雲粒がつぎつぎと衝突して凍りつきます。最後には、もとの雪の結晶はもはや見えなくなり、凍りついた雲粒の塊になってしまいます。これが、「霰」と呼ばれるものです。実際に降り落ちた霰を拾い上げて、凍りついた雲粒を丁寧に外していくと、最後には元になった雪の結晶が残っているのを確かめることができます。

 一方、雹は、白い霰とは異なり、透明な氷の塊として降ってきます。これは、霰ができるときよりも、もっと大量に雲粒が衝突すると、衝突した雲粒はもはやその場で凍りつくことができず、氷の表面を水の膜で覆ってしまうほどになります。雹は、この水の膜が凍ることで、透明な氷の塊としてだんだん大きく成長することで生成されるのです。したがって、氷の塊である雹は非常に重く、雲の中を高速で落下することになります。雹が大きく成長するためには、雹の落下速度に匹敵するような強い上昇気流があることが重要です。これによって、雹は長い時間雲の中に滞在することができ、大きな塊に成長できます。このような強力な上昇気流が生じるには、極端に発達した積乱雲が必要で、竜巻などを引き起こすこともまれではありません。雹は、竜巻などの発生と合わせて観測されることが多いのは、このためです。雹といっても、大きさはせいぜい直径で1センチ程度のものがふつうですが、場合によってはゴルフボール程度の大きさになることもあります。また、まれに直径が10センチを超えるものが観察されたという記録もあります。さらに、雹は必ずしも冬の季節に特有なわけではなく、積乱雲の発達しやすい夏の猛暑のときに降ることも少なくありません。落下速度があまりに大きいため、上昇気流から抜け出すとあっという間に地面に到達してしまうので、真夏の気温でも融けて水にもどるひまがないからです。

(回答掲載日:2022年2月17日)

その他の現象 #霰#雹#自然現象
Q38

飛行機の上空で窓に雪の結晶のようなものが?

国際線の飛行機に搭乗したとき、上空で窓に雪の結晶のようなものが張り付いていましたが、あれはどのような現象だったのか教えて下さい。(雪男さん / 石川県・40歳)

 飛行機の窓は、アクリル樹脂の板でできていて、3層の構造になっています。国際線の飛行機は、高度が10キロメートル以上を飛行するので、外気の気温は−50℃以下にもなります。このため、外気に直接触れている一番外側の窓板は、急激に冷やされた状態になっていて、3層の窓板の隙間にある大気に含まれる水蒸気が氷として凍りつくことがあります。これが、雪の結晶のようなものが張り付いたものの正体で、窓霜と呼ばれるものです。窓霜は、北海道などの寒冷な地域では窓ガラスの表面にできるものとして知られていますが、断熱の行き届いた建物ではめったに見かけなくなりました。飛行機の窓で見られるというのは、快適な機内と外気との温度差がいかに大きいのかを物語っています。飛行機が空港にいるときやそれほど高度の大きくない国内線での飛行では、外気温はそれほど下がりませんので、このような現象が見られる機会は少ないと思います。窓霜についての詳しい説明は、本Q&AのQ35の回答を御覧ください。

 ちなみに、飛行機の窓は3層になっているというお話をしました。これは機内の気圧を保つために十分な強度を持つ窓とすることが主な役割ですが、この窓霜の発生をできるだけ抑えるという工夫もあります。窓板を注意深く見ると、どこかに小さな穴があけてあるのに気がつくと思います。この穴は、3層の窓の中間の窓板にあいていて,窓板と窓板の隙間の空気を出し入れする役割をもっています。飛行機の機内の空気は、非常に乾いた状態にあるので、この空気が出入りすることで窓霜の発生を抑制することができるのです。

(回答掲載日:2022年2月4日)

その他の現象 #窓霜#自然現象
Q35

窓霜

窓霜の模様は何種類ありますか。教えてください。(まどしもさん / 秋田県・12歳)

 窓霜とは、外気で冷やされた窓ガラスの表面にできる霜のことです。最近では、建物の断熱性能も上がり、めったに見ることができなくなりましたね。

 窓霜の模様については、雪の結晶の分類表のようなものはありません。しかし、窓ガラスの表面にできた氷には、実は2つの種類があることを説明したいと思います。一つは、窓ガラスの表面に水蒸気(気体)から直接氷の結晶が生成したものです。冬の寒い朝などに、地表にあるさまざまな物体の上にできる霜とでき方が同じですので、窓霜と呼びます。一方、窓ガラスの表面に氷ではなく水滴ができ、ガラス表面全体が水の膜で覆われた状態になることがあります。その水の膜が、更に冷却されて凍ると、氷の薄い膜ができる場合があります。これは、窓氷と呼ばれるもので、窓霜とは異なります。窓霜と同じように、やはり複雑な模様ができます。両者は、成因が違いますので本来区別しないといけないのですが、同じよう模様をひと目で区別するのはなかなか難しいこともあり、区別せずにどちらも窓霜(あるいは窓氷)と呼んでいる場合も少なくありません。

 ところで、窓霜は気体である水蒸気から生成されると説明しましたが、このしくみは実はエピタキシャル成長と呼ばれる最先端の結晶成長法と関連します。エピタキシャル成長とは、基盤となる結晶の上に薄膜状の結晶を作る方法のことで、半導体結晶の生成などで広く使われる重要な先端技術です。この薄膜結晶の方位や特性は、基板の結晶の特性で大きく変わります。氷の場合でも、ガラスではなくヨウ化銀(AgI)やコベリン(CuS)などの結晶表面で水蒸気から氷結晶を成長させると、方位が決まった氷の薄膜結晶ができることが知られています。身近な窓霜の生成のしくみが、最先端の半導体技術と共通点があることは驚きですね。

(回答掲載日:2022年1月7日)

その他の現象 #窓霜#自然現象
Q34

晴れている時に降る雨や雪

時々、日が照っているのに雨が降ったり雪が降ったりすることがありますが(私の住んでいる地域では「狐の嫁入り」「狸の嫁入り」と呼んだりします)、何故このような現象が起こるのですか?仕組みを知りたいです。(翠さん / 東京都・17歳)

 日が照っているのに雨が降る、いわゆる「天気雨」という気象現象ですね。この天気雨(雪の場合も現象としては同じですが、天気雪とはあまり言いません。)が起きるしくみは、いくつか考えられます。雨は、上空の雲の中で生成された雪が下層に落下し、溶けて水滴となったものです。しかしながら、雪が雨となって地上に達するまでには、ある程度の時間がかかります。この間に、上空の雲が消滅してしまうと、雨が地上に降り落ちるときには、太陽が現れて日が差しているということが起こります。また、上空にかなり強い風が吹いていると、雨粒が地上に達するまでに雲が風に吹き飛ばされてしまい、太陽が顔を出していることもあります。このようなときに、日が照っているのに雨が降るという現象が起こります。

 一方、地上の気温が0℃以下(プラスでも0℃に近い場合は、溶けずに雪のままで降る場合があります。Q7の回答参照)では、上空の雲で生成した雪が溶けずに地上に達します。同じように、雪が地上に達するまでに上空の雲が消滅したり、吹き飛ばされたりすると、“天気雪”の状態になります。特に、雪は雨粒に較べてゆっくり落下するので、上空の雲で雪が生まれてから地上に達するまでに30分から1時間ぐらいの時間がかかります。もし、上空に風速10m/秒の風が吹いていると、雪は誕生から落下するまでに30kmから60kmも水平方向に飛ばされることになります。こうなると、自分のいるところは晴れていても雪が舞うということも十分に起こりそうですね。

(天気雨という気象現象を「狐の嫁入り」や「狸の嫁入り」などと呼ぶというのは面白いですね。これは、「日が照っているのに雨が降るなど、普通ではありえないほど不思議」という意味で、同じようにありえない不思議な現象である「狐の嫁入り」や「狸の嫁入り」になぞらえていると考えられます。)

(回答掲載日:2022年1月7日)

その他の現象 #自然現象
Q26

雪を踏むと出る音

雪を踏むと出る音がちがうのはなぜですか?(ユーミンさん / 福井県・8歳)

 積もった雪を踏むと、いろいろな音がでますね。ふんわりと積もった降ったばかりの雪ではあまり音は出ないですが、積もってから時間がたって“ざらめ”のようになった雪ではザクザクとした音がでます。また、気温がとても低くてこまかな雪の粒がかたく積もっているときには、キュッキュッというかなり高い音が出たりします。このような音は、積もった雪の粒と粒がこすりあってでると考えられ、こすれあう雪の粒の大きさやかたさなどによって、出てくる音もさまざまに変わります。

 まず、ざくざくという音は、かなり大きくて硬いつぶつぶでできた雪のときにでることが多いでしょう。砂浜の海岸を歩くとき、砂がかわいているとけっこう大きなザクザク音がしますが、砂がぬれているときにはあまり音がしないですね。乾いた砂では砂粒と砂粒がこすれあって音が出ますが、ぬれた砂では砂粒の表面にある水のために砂粒が滑りやすくなっていて、音が出にくくなるからです。じつは、雪の粒でも同じようなことがおこります。ザクザク音も気温が高くて雪粒がすこし溶けているとあまり音が出ませんが、寒くなって雪粒の表面まで完全に凍っていると音が出やすくなります。

 また、気温がもっと低いときには、積もった雪の粒も小さくなり、雪粒の表面も完全に乾いているので、雪粒と雪粒がこすれて、キュッキュッというすこし高い音がでます。台所にある小麦粉の袋を外側から押すと、キュッキュッという音が聞こえることがあります。これも小さな小麦粉の粒どうしがこすれあってでてくる音で、雪の音と同じしくみですね。

 ユーミンさんは福井県にお住まいですね。こんどの冬に雪が積もったら、気温や雪のようすが変わると、じっさいにどんな音がでてくるのかを聞きわけてみてください。

(回答掲載日:2021年8月31日)

その他の現象 #雪と音#雪の不思議#雪質
Q25

家の冷凍庫でシャボン玉を凍らせて結晶を見る方法

中谷宇吉郎さんに憧れて、結晶について調べています。 シャボン玉を凍らせて結晶ができる映像がとても綺麗で自分の目で見たいと思ったのですが、今年もコロナの影響で雪の科学館に行けません。 家の冷凍庫で作ってみようと思ったのですが上手くできません。 冷やしたステンレスのトレイにシャボン玉を膨らませ、マイナス18℃の家の冷凍庫に入れました。シャボン玉が凍る前にシャボン玉が割れてしまいます。 割れにくいシャボン玉(砂糖シロップ入)を作って凍らせましたが、やはり冷凍庫に入れると割れてしまいます。色々シャボン玉の液体を試したのですが全滅です。 家の冷凍庫では、シャボン玉を凍らせて結晶を見る事はできませんか? 家で綺麗な結晶を作って観察してみたいのです。 観察できる方法のヒントをください。(氷博士になりたいにゃーこさん / 栃木県・12歳)

 シャボン玉の膜を凍らせるときれいな氷の結晶ができていく様子を観察することができますね。簡単にできそうですが、じっさいにやってみると、なかなかうまくいきません。じつは、単に普通にシャボン玉を作るだけではなく、いくつかの工夫がされています。

 まず、シャボン膜を作る方法ですが、シャボン玉の膜は球形ですので、少し工夫をして平らな膜を作ります。この平らな膜は、直径1ミリくらいの針金で丸い枠(直径10センチくらい)を作り、その枠にシャボン膜を張ることで作ることができます。シャボン膜を作る液体は、水に普通の家庭用の食器洗い洗剤をまぜるだけで構いません。この液を平たいお皿に入れて、その中に針金の枠をつけてゆっくり引き上げると、枠の内側に平らなシャボン膜を作ることができます。入れる洗剤の量を変えて、シャボン膜を一番作りやすい洗剤の量を決めてください。

 こうして作ったシャボン膜を、割らないように注意して冷凍庫の中にそっと入れると、膜の中に氷の結晶ができるはずです。しかし、このままではシャボン膜はあっという間に凍ってしまって、結晶のできる様子を見るのはちょっと難しいと思います。そこで、もう一つの工夫が必要になります。それは、洗剤を溶かした水の中に、さらに砂糖を入れてよく溶かします。溶かした砂糖は、水が凍る速さをおさえる作用があります。このため、砂糖の量を増やしていくと、だんだん凍る速さが遅くなり、やがてシャボン膜の中できれいな氷の結晶がゆっくりとできていく様子を観察できるようになります。砂糖の量をいろいろ変えてみて、結晶が一番キレイに見える量を決めてください。

 洗剤の量と砂糖の量をいろいろと変えてみて、結晶のでき方や結晶の大きくなる速さなどの違いを観察してみるのも楽しいですね。また、砂糖ではなくて塩を入れたらどうなるかなど、水に溶かすもので何か違いがでてくるかなども興味深いですね。頑張って、実験を行ってみてください。

(回答掲載日:2021年8月31日)

その他の現象 #実験#結晶の不思議
Q19

雪が青や緑に見える条件について

大雪が降った日に雪が青く見えました。とても不思議に思って雪の表面や中心部、地面近くなどの温度やその雪の状態を記録しました。その時の雪の表面の温度(青く見えた部分)は-23度でした。 そして2回目の雪が青く見えて多く雪が降った日にも記録しました。温度は-5度と1回目の記録と比べてみて降り積もった雪の温度は雪が青く見える理由とあまり関係がなかったと言うことがわかりました。2回目の大雪の記録をつける時に固めた雪と固めていない雪とで青く見えるのかということを比べてみました。すると固めた雪は緑色に見えました。同じ場所でも湿度などの条件を揃えられていなかったので結果が正しいのか分かりませんが、雪の密度が関係しているではないかと思いました。 雪は本来色がついておらず透明で光の反射や吸収により青い光を反射すると言う事は分かるのですがなぜ青く見えるのか、その条件は何なのかと言う事を知りたいです。(Machiさん / 富山県・11歳)

 雪といえば真っ白なイメージですが、それが青く(時には、緑色に?)見えることがあるというのは、不思議ですね。質問の中にある「雪は本来色がついておらず透明で光の反射や吸収により青い光を反射する」というのを、もう少し詳しく説明しましょう。

 雪が青く見えるという場所は、太陽の光が直接あたっている積雪の表面ではなく、積雪の断面にあいたくぼみのような少し影になった場所だと思います。実際、このくぼみの内側から外の光を透かすように見たときに、青みがかかって見えることが多いはずです。すなわち、この青い光は、積雪の中を透過してきた光を見た場合にしか見えません。

 さて、積雪は細かな氷の粒の集まりでできています。はじめに、氷を太陽の光(白色光)が透過するときに、光の強さがどう変わるかを見てみましょう。太陽からの光をガラスのプリズムで屈折させると、赤い光から紫の光まで7色に別れますね。光は波の性質を持っていますので、この色の違いは光の波長に対応しています。氷は無色透明と言いますが、実際には完全に透明ではなく、入射した光はごくわずかですが氷に吸収されます。この光が吸収される割合が、光の波長(すなわち、光の色)によって異なります。実際は、赤い(波長の長い)光のほうが青い(波長の短い)光よりも、吸収されやすいという特性があります。すなわち、氷の中を通過する太陽光(白色)は、赤い光がより早く弱くなることになり、割合として青い光のほうが強くなります。このため、青みがかかるのです。最初に述べたように、積雪も氷の粒でできていますから、光が積雪を通過するときにも、この性質が現れてきます。積雪のくぼみから外を透かして見る場合しか青く見えないのも、理由がわかりますね。

 これと同じ現象は、氷の塊でできた氷河や南極の氷山などでも見ることができます。この場合は、まさに氷の塊の中を光が通過しますので、青い光の成分の割合より多くなり、積雪の場合よりもっと青みがかかって見えることがあります。また、水中が青く見えるというのも同じ原理です。イタリアのカプリ島には、「青の洞窟」という有名な場所があります。ここは、海岸の切り立った崖の波打ち際にできた洞窟で、その内部に海水が流れ込んでいます。この洞窟の中に入ると海水が真っ青に輝くことで、この名前がついています。これは、太陽光が海水を通過して洞窟の入口から内部に差し込むときに、赤い光の成分が海水に吸収されやすいためにおきる現象です。氷と海水の違いはありますが、どちらも同じ原理で青く見えているのです。

 最後に、積雪が青く見える条件ですが、氷を通過する光の吸収は特に温度による大きな変化はありません。また、積雪の密度が高いと光の散乱(散乱は氷の表面での反射が主な原因で、青く見えることと直接は関係ありません)のため、通過してくる光の強さは素早く減少します。しかし、一方で密度が高いと、氷の粒の中を通過する長さは増えるはずで、より青みがかかることになります。両方の効果が複雑に関係しますので、その条件を明確に述べることは困難です。

(回答掲載日:2021年3月30日)

その他の現象 #光#雪の不思議#雪の色
Q18

雲が凍らない理由

上空は寒いのに、雲が凍らないのはなぜですか?また、雲が空に浮かんでいられるのはなぜですか?教えてください。(Kitutukiさん / 岐阜県・13歳)

 雲は、小さな水滴(雲粒)がたくさん集まってできています。雲粒の大きさは、直径で3〜10μm(すなわち、0.003〜0.01mm)程度でとても小さいものです。上空に行くと気温は下がり、やがて0℃より低くなります。雲粒は小さいとは言っても水でできていますから、このような温度になると凍ってしまってもおかしくないですね。

 実際には、気温が0℃以下であっても、雲粒は凍らずに水滴のままでいることができます。これは、水のもつ「過冷却」という性質によります。中谷宇吉郎雪の科学館では、ペットボトルに入れた水を冷凍庫で−5℃程度まで冷やしても、凍らずに液体のままでいることを示す実験を毎日行っています。この実験で作っている水が「過冷却水」と呼ばれるものです。この過冷却水は、ペットボトルを叩いたり、振ったりすると、簡単に過冷却の状態が破れて凍ってしまいます。それは、ペットボトルに与えた振動が氷を作るきっかけになるためです。また、振動がなくても、水の中に含まれているゴミやペットボトルの容器についた傷などがきっかけになって、やがて凍ってしまいます。

 しかし、雲粒の場合は、非常に小さいのでその内部にはゴミなどが入っていることはあまりありません。また、空気中に浮かんでいるので、容器の傷などの影響もありません。このため、ペットボトルで作る過冷却水より、もっと低い温度まで簡単に過冷却してしまいます。条件が良いときには、雲粒は−40℃程度まで凍らずに、液体の状態でいることができます。雲は、驚くほど低温になっても、凍らずにいることができるのですね。

 最後に、雲が空に浮かんでいられる理由ですが、雲を作る雲粒が非常に小さいことに関係しています。雲粒は、小さいとは言っても、もちろん地上に向かってゆっくり落下していきます。しかし、雲ができるときには、大気が上に向かって上昇していることが多いので、小さな雲粒も大気の流れに沿って上昇していきます。このバランスが取れているため、雲は空に浮かんでいることができるのです。

(回答掲載日:2021年3月30日)

その他の現象 #雲#過冷却水#水の不思議

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