雪と氷のQ&A
タグ:氷の不思議

Q78

フワフワのかき氷

この前見学に行って、カルピス水でかき氷を作るとフワフワになると教えてもらいました。家でやってみたら、フワフワになりました。なんで、カルピス水だと、フワフワになるのですか?(りのさん / 長野 県・8歳)

 夏の暑い日に食べるかき氷は、とても美味しいですね。カルピス氷でかき氷を作ると確かにフワフワになります。実際は、必ずしもカルピス氷ではなくても、さとう水を凍らせて作る氷でもフワフワになります。

 カルピスを溶かした水は、とても甘いので、糖分がたくさん含まれています。さらに、カルピスは牛乳から作るので乳成分も含まれています。このため、カルピスを溶かした水を冷やして凍らせると、水道水をただ凍らせた普通の氷に比べて、とても柔らかい氷ができます。これは、水中の糖分や乳成分は、水が凍るときに吐き出されて、氷の粒と粒の間に取り残されてしまうからです。このような柔らかい氷では、カンナで木を削るとできるうすいカンナくずと同じように削れます。このため、フワフワのかき氷になるのですね。

 では、糖分などを含まない水を凍らせて作った固い氷では、絶対にフワフワのかき氷にはならないのでしょうか。このような固い氷でも、ものすごくよく切れるカンナなどで、非常にうすく削ると、やはりけっこうフワフワした氷くずになります。しかし、うすく削るのはなかなかむずかしく、かき氷にできるほどたくさんの氷を削るのは簡単ではありません。

(回答掲載日:2023年8月29日)

#かき氷#氷の不思議
Q74

こおりのしつもん

こおりはどうしてかたまるの?(たちかわももさん /東京都・5歳)

 コップに入れた水を、冷凍庫の中に入れておくと、だんだん冷やされて、やがて固い氷になってしまいますね。冷やすだけなのに、水が固まってしまうのはとても不思議ですね。

 私達の身の回りには、水だけではなく“液体”のものがたくさんありますね。たとえば、台所には、牛乳や油、酢など、いろいろな液体があります。このような液体は、どれも冷やされると固くなってしまう性質を持っています。液体が固くなる温度は、その種類によって違います。水は、ちょうど0度で固い氷に変わります。

 ももさんのお家の台所にあるいろいろな液体を少しだけコップに入れて、冷凍庫で冷やしてみてください。水と同じように冷やされると固くなるはずです。もし、温度計があったら温度を測ってみると、どの温度で固くなるかが分かります。お父さん、お母さんといっしょに実験してみてください。 

 水が冷やされると固い氷に変わることは、この「雪と氷のQ&A」コーナーのQ23の回答にも説明があります。参考にして下さい。

 

(*漢字のふりがなつき回答はこちら)

(回答掲載日:2023年5月15日)

 

#水の不思議#氷の不思議
Q70

氷の中に雪の結晶はできますか

こどもたちが氷の中に雪の結晶のようなものを見つけたのですが、氷の中に結晶ができることってあるのですか?(ゆりぐみさん / 静岡県・4歳)

ゆりぐみのみなさんへ

 とてもおもしろいものを、みつけましたね!すきとおったこおりなかにできているので、ちょっとみえにくいですね。でも、ちゅういして、かんさつしてくれたので、みつけられたのだとおもいます。かんしんしました。

 みなさんがみつけた、ゆきのけっしょうのようなものは、こおりのなかで、こおりがとけてできたものです。なまえは、「チンダルぞう」と、いいます。こおりに、たいようのひかりがあたると、あたためられて、こおりがとけます。こおりはすきとおっているので、なかでとけだすようすも、みえるのですね。そのとき、ゆきのけっしょうとおなじように、ふしぎと、ろっかくのかたちができるのです。これは、こおりのなかにできるので、「こおりのなかにあな」ができたということになりますね。このあなのなかには、こおりがとけてできたみずが、たまっています。

 こおりがとけてできたあなが、そらからふってくるゆきのけっしょうとおなじように、ろっかくのかたちをしているのは、とてもふしぎですね。これは、ふわふわのゆきのけっしょうと、かたいかたまりのこおりが、じっさいはおなじもの、で、できているからなのです。

 みなさんのまわりにあるしぜんのなかには、おもしろいことがたくさんかくれています。これからも、ちゅういして、おもしろいことをさがしてみてくださいね。きっと、まだまだ たくさんみつかるとおもいます。みつけたら、またおしえてください。

 

先生がたへ

 子どもたちが、とても面白いことをみつけましたね。氷に太陽の光が当たると、表面から融け出すだけではなく、氷の内部にまで射し込んだ光のために、内部でも融け出すことがあります。すなわち、氷の中にできた穴ということになりますが、内部は液体の水で満たされています。これは、一般にチンダル像とよばれるものです。(チンダルとは、19世紀に活躍したイギリスの有名の物理学者の名前で、この現象の発見者です)雪の結晶も氷ですので、チンダル像も同じように六角の形を作って融けていきます。この六角というのは、氷の持っている結晶としての性質を反映しています。また、雪の結晶は、その外形の内側が氷(固体)ですが、このチンダル像では、内部が水で外部が氷(固体)です。すなわち、両者は、正と負の関係になっています。このためチンダル像のことを、「負の結晶」と呼ぶこともあります。また、このチンダル像の中には、必ず丸い円盤のようなものがあります。これは気泡ですが、中身は水蒸気だけで満たされたています。このため、蒸気泡と呼んだりします。氷は融けて水になると、体積が減少します。(氷が水に浮かぶのも同じ理由ですね)この体積が減った分が空隙として残りますので、このような気泡ができるのです。

 この現象は、氷に光があたって融けていく過程では、しばしば起きます。しかしながら、氷の中の水の詰まった穴ですので、氷と水の区別がつきにくく、とても見えにくいですね。このため、実際にこの現象に気づく人は意外と少なくて、見過ごされがちです。子どもたちが、そんな現象を見つけたということに、とても驚かされました。これは、先生がたが子どもたちの自然への興味をうまく引き出していらっしゃるからであろうと想像し、大変感銘を受けました。

 最後に、チンダル像を実際に作ることができるかですが、今回質問にいただいたタライに入れた水を凍らせて氷を作るというのは、実はとても良い方法です。水面に張った氷を取り出し、それに強い光(太陽光や電球の光など、手をかざすと暖かい光が最適。最新のLEDライトの光は、適当ではありません)を当てて氷を融かすと、チンダル像が現れて、だんだん大きくなる様子が見えるはずです。見えにくい時は、以下のような工夫をすると見やすくなるかも知れません。氷を底が平らで透明なガラス皿に入れて、皿の下に少し隙間を開けて白紙をおきます。この氷に光を当てて融かすと、氷の中にできたチンダル像が影絵となって白紙に映るので、見えやすくなります。試してみて下さい。また、中谷宇吉郎雪の科学館では、来館者への体験実験のなかでこのチンダル像を紹介しています。機会がありましたら、ぜひお立ち寄りください。

(回答掲載日:2023年2月23日)

(画像提供:ゆりぐみ様)
#チンダル像#光#実験#氷の不思議
Q66

氷について

ペンダントは他にも何でできますか?(いちごぱふぇさん / 石川県・12歳)

  雪の科学館では、来場した皆さんに氷のペンダントを作ってプレゼントするという実演を行っています。このようなペンダントは、もちろん氷以外のものでも作れないことはないですが、氷のペンダントのように簡単には作ることができません。氷は、0℃で融けますので、簡単に融かすことができますので、ペンダントもすぐに作れます。しかし、他の物質を使うと融かすための温度はもっと高かったり、あるいは低かったりします。そうすると、私たちの手には熱すぎたり冷たすぎたりして、さわるのもそう簡単ではないですね。氷は、私たちが素手で触っても平気な温度である0℃で融けたり凍ったりできることが、ペンダントを作りやすくしているのです。

(回答掲載日:2023年2月14日)

#氷のペンダント#実験#氷の不思議
Q61

氷をできるだけ冷やす

氷をできるだけ冷やしたらどれだけ大きくなるのですか。氷はどれだけ冷えるのですか。(milk さん / 石川県・11歳)

 私達の住んでいる地球には、いろいろな場所に氷があります。冬になると空から降ってくる雪の結晶も氷ですし、南極などにある巨大な白い塊も氷です。同じ氷であっても、大きさがまったく違いますね。実は、氷を冷やすだけでは、氷の大きさの違いを説明することはできません。それは、氷のでき方がどうかということに関係しています。空から降ってくる雪の結晶は、雲の中に含まれる水蒸気からできます。このため、なかなか大きくなることができず、私達が地上で見る雪の粒は、大きくても1cm程度です。一方、南極などではとても気温が低いので、降り積もった雪がとけることなくいつまでも残ります。雪は、毎年降り積もりますので、やがて巨大な雪の塊になります。すると、自分の重さで雪の粒が押されて、最後には大きな氷の塊に変わってしまいます。南極では、大陸全体が平均で2500mもの、巨大な氷のかたまりで覆われていることになります。

 このように、冷やされるということよりも、そのでき方によって氷の大きさも大きく違ってくるのですね。

(回答掲載日:2023年2月14日)

#実験#氷の不思議
Q49

体積の膨張

氷に関する初歩的な質問をいたします。水が氷ると体積が膨張(9%程度)しますが、氷を冷やし続けたときに膨張は止まって一定を保持すると考えてよろしいのでしょうか。(トシさん / 神奈川県・67歳)

 ご質問には、二つの異なる現象が含まれています。まず、「水が氷ると体積が膨張(9%程度)します」は、液体の水と固体の氷の体積の違いを示しています。一方、後半の「氷を冷やし続けたときに膨張」は、固体である氷の体積が温度により変化する現象です。したがって、二つは分けて考えなければなりません。

 まず、前者は、水が氷に変わるときに体積が9%増加することで、氷のほうが水よりも軽くなります。一般に、ある物質が液体から固体に変わると体積は小さくなります(固体は液体に沈む)ので、この性質は氷に特有なものです。氷山や流氷が海に浮かんでいるのはこのためです。この性質は、地球の気候や生命に進化などにも深く関わっています。

 一方、後者は、どんな物質であっても、その固体は温度の上昇とともに膨張します。例えば、線路のレールは、真夏の暑い日は膨張して長さが伸びるのはよく知られていますが、まさにこの現象です。氷も同様で、温度の上昇とともに同じことが起こり、膨張します(逆に言えば、温度の低下とともに収縮します)。長野県の諏訪湖などで観察される御神渡りと呼ばれる現象は、湖面に張った氷が寒気で収縮して割れ目が入り、そこにできた薄い氷が気温上昇で膨張して割れて、氷がせり上がるためと考えられています。しかし、この膨張(収縮)の割合は、水が氷の変わるときの体積の増加に比べれば極めて小さい量です。(温度の変化が1℃に対して、体積は0.016%変化)したがって、氷を冷やし続けたときの体積の変化は、ほとんど起こらないように見えるのだと思います。

(回答掲載日:2022年7月1日)

#体積#氷の不思議
Q47

ファミリーレストランの氷

ファミリーレストランの飲み物に入っている氷が大きくくぼんでいるのはなぜですか?(伸一郎さん / 石川県・10歳)

 確かに、レストランなどで飲み物に入っている氷には、不思議なくぼみがあるものが多いですね。この氷には、もう一つ大きな特徴がありますが気がつきましたか?その特徴は、家庭の冷凍庫で作った氷とくらべると、とても透明できれいであることです。氷にできたくぼみは、じつはこのことと関係があります。

 はじめに、家庭の冷凍庫で作った氷を見てみましょう。この氷は、白っぽくてあまり透明ではありません。家庭の冷凍庫では、容器に入れた水をそのままで静かにおいて凍らせます。このときに、水に溶け込んでいた空気が細かな泡となって出てきて、氷の中に閉じ込められてしまいます。このため、できた氷は白っぽく透明ではなくなってしまいます。

 では、レストランなどで使われる氷にもどりましょう。この氷は、水を凍らせるときに出てきた泡を、上手に逃してあげることができるくふうをして、作っています。そのくふうとは、氷を作る容器に最初から水を入れておくのではなく、ノズルの先端から吹き出る水を容器に吹きかけながら凍らせるのです。こうすると、水が凍りついて泡が発生しても、水の流れのために泡が吹き飛ばされてしまい、泡を含まない透明な氷ができるのです。このような氷の作り方では、容器が氷で埋められてくると、ノズルからの水で泡を吹き飛ばす効果が弱くなり、最後はどうしても空気の泡が氷に取り込まれてしまいます。このため、容器が完全に氷で埋めつくされる前に、まだくぼみが残っているときに凍らせることをやめます。このため、氷にくぼみが残ってしまうのです。くぼみが残るというのが、透明な氷を作るための秘密なのです。

(回答掲載日:2022年6月7日)

#氷の不思議
Q46

冷凍庫の氷

氷屋さんから買った氷を2ヶ月冷凍庫に入れて置いたら小さくなってしまいました。なぜですか。(康二さん / 岐阜県・10歳)

 私たちの良く知っている水は、普通は液体の状態ですね。しかし、水は液体の状態だけではなく、氷点下の温度になると固体の氷に変わりますし、空気の中には気体の水蒸気として水分が含まれています。このように、水というのは、液体であったり、固体であったり、気体であったりと、その時の条件によっていろいろな状態に変化します。

では初めに、液体の水をコップに入れて、ふたをしないでそのままおいておくと、どうなるかを考えてみましょう。コップの水の量は、時間がたつとだんだん少なくなって、やがて消えてしまうはずです。これは、液体の水が“蒸発(じょうはつ)”して、水蒸気となって空気中に逃げていったからですね。これと同じように、冷凍庫の中に氷の固まりを入れておいても、氷の表面からは水分が水蒸気として空気中に逃げていきます。このため、氷の固まりは、融けることがなくても、だんだん小さくなってしまうのです。水分が、液体の水から気体の水蒸気になることを、蒸発と言いましたが、固体である氷から直接気体の水蒸気に変化することを、“昇華(しょうか)”と呼んで、区別しています。

この昇華という現象は、ドライアイスでも観察されます。ドライアイスは、二酸化炭素の固体ですが、室温においておくと融けることなく気体の二酸化炭素にもどり、やがて消えてしまいます。冷凍庫においた氷と、同じことが起きているのですね。

(回答掲載日:2022年3月8日)

#氷の不思議
Q44

氷の食感と溶け具合

美味しい氷は?溶けやすい氷と溶けにくい氷ってあるの?(まささん / 栃木県)

 氷を融かすには、熱が必要です。その熱の量は、融解熱と呼ばれるもので、氷の量に応じて決まります。したがって、融かす氷が、固まりであっても、ふわふわのかき氷であっても、氷の量が同じであれば必要な熱の量は同じです。にもかかわらず、実際にはふわふわのかき氷のほうが、固まりの氷よりも早く融けてしまうのはよく経験することです。これは、氷そのものが融けやすい、あるいは融けにくいということではなく、氷を融かすのに必要な熱がいかに早く氷に届くかの違いです。実際、同じ氷の固まりを二つ用意して、フライパンにのせて火にかけた場合と、そのまま室内に放置した場合を較べると、当然前者のほうが早く融けてしまいますね。これは、同じ形の氷の固まりであっても、それが融けきるのに必要な熱が、フライパンにのせたほうがすばやく氷に伝わるからです。すなわち、氷自体に融けやすい氷や融けにくい氷の区別があるのではありません。同じ量の氷に、素早く熱が加わって急速に融けるのか、逆に熱が伝わりにくくてなかなか融けないのかの違いを、このように表現しているのだと思われます。

 また、氷の形状や融け方が食感にも関連することは確かでしょう。しかし、同じ氷であっても、ふわふわのかき氷が好きな人もいれば、少しザラザラしたかき氷の方が好きな人もいるはずです。美味しいと感じるのは人それぞれですので、一概にこれということは困難です。

(回答掲載日:2022年3月8日)

#氷の不思議
Q29

ふわふわかき氷と砂糖水

先日テレビで、ふわふわのかき氷を作るには、砂糖水で作った氷を使うといいという放送を観ました。天然の氷で作ったようになるそうです。なぜ砂糖水の氷でかき氷を作るとふわふわになるのでしょうか?(ミキさん / 石川県・33歳)

 私はテレビの番組を視聴していないのですが、砂糖水で作った氷は溶ける温度が0℃よりも低くなります。このことが、かき氷のでき具合に関係していると考えられます。

 砂糖などの入っていない純粋な水で作った氷は、0℃で溶けます。天然の氷も同じで、通常は何も溶け込んでいない真水が凍ってできていますので、この氷も0℃で溶けます。かき氷は、冷凍庫などに保管していた氷の固まりを取り出して、そのまますぐに削って作ることが多いと思います。冷凍庫の温度は−20℃近いので、ここから取り出した氷の固まりをすぐに削ると、溶ける温度よりもかなり低い温度のままで削ることになります。温度の低い氷は大変硬いので、これを削るとなかなかふわふわのかき氷にはなりません。しかし、冷凍庫から出した氷をしばらく室温においておくと、温度が上がって少し柔らかくなります。この氷を削ると、ふわふわのかき氷になるはずです。天然の氷で作ったかき氷はふわふわになるというのはよく聞きますが、実はこの原理を利用しています。すなわち、冷凍庫から出した氷をすぐに削るのではなく、しばらく室温において温度を上げてから削っているのです。

 さて、砂糖水を凍らせた氷は、溶ける温度が0℃よりも低くなります。これは、「モル凝固点降下」という現象で、砂糖に限らず水に溶かした不純物の量が多くなるほど溶ける温度が下がることを示しています。砂糖水の氷を冷凍庫に入れておくと、やはり−20℃近くに冷えているはずですが、溶ける温度との温度差は純粋な氷の場合より小さくなります。したがって、冷凍庫から取り出してすぐの状態で較べると、砂糖水の氷のほうが柔らかいということになります。したがって、冷凍庫から取り出してすぐの氷でも、ふわふわのかき氷ができるのだと考えられます。

 ところで、溶けていた砂糖は、氷になるとどこに含まれているのでしょうか?氷の固まりは、たくさんの小さな氷の粒が集まってできています。粒のひとつひとつは氷の結晶ですので、結晶の内部には砂糖などの分子は入り込むことができません(Q20の回答も参考にしてください)。したがって、砂糖水が凍ると、砂糖を含まない氷の粒がたくさんでき、砂糖は粒の外に押し出されることになります。このため、粒と粒の間の境目には濃縮された砂糖水の膜が残ります。この膜は、溶ける温度が非常に低くなりますので、冷凍庫の中でもまだ液体のままで残ります。すなわち、氷の粒と粒の間に潤滑剤を塗りこんだような状態になります。これが、氷の固まり全体を柔らかくする作用をもたらしているのです。

(回答掲載日:2021年10月12日)

生活・文化 #かき氷#実験#氷の不思議#砂糖
Q23

どうして水は0℃以下で氷になるのですか?

れいぞうこでできるような「氷」のことをしらべています。ひゃっかじてんでは、「氷 水がこおって固体になったもの。ふつうは、0℃以下でこおりになる。」とかいてありました。1.どうして水は、0℃以下になると氷になってしまうのですか? 2.ぴったり0℃でも氷になれるのですか? よろしくおねがいします。( すずき あやなさん / 福岡県・7歳 )

 氷は、水が凍って固体になったものと言っても、なんだかよくわからないですね。すこし難しいお話になりますが、説明しましょう。

 まず、水や氷は、“水分子”と呼ばれるとても小さな粒が集まってできています。コップに入れた水は、たくさんの水分子がぐちゃぐちゃになって詰め込まれていると思ってください。温度が0℃より高いときには、コップの中の水分子は、自由に動き回ることができます。このため、コップを斜めにすると水は流れ出してしまいます。しかし、温度が下がってくると水分子はだんだん動きにくくなり、やがて0℃になると、もう動き回ることができなくなってしまいます。こうなると水は、かたまりの氷に変わってしまい、コップから流れ出すこともできなくなります。

 氷の中の水分子の様子をもう少し説明しましょう。実は、氷の中では水分子のようすとはとても異なっていて、水の中のぐちゃぐちゃではなく、とても規則正しく並んでいます。このように分子が規則正しく並んでいるものを、「結晶」と呼びます。氷は、水が凍ってできた結晶なのですね。

 少し難しいと思いますので、ジグソーパズルを思い出してください。ジグソーパズルのピースを水分子だと思うと、ジグソーパズルを始める前はピースがぐちゃぐちゃの山になっていて、簡単にかき混ぜることができます。これが、“水”のなかの水分子のようすです。そして、ピースをきれいに並べて、ジグソーパネルを完成させると、ピースはもう自由に動けなくなります。これが、“氷”と言うことになります。こうすると、水と氷の中での水分子の様子が少しわかりやすいですね。おうちのジグソーパズルで確かめてみてください。

 また、「水が凍って氷に変わる温度は0℃」とよく言いますね。しかし、私たちが温度を測るときにどうするかを考えてみましょう。温度を測るためには、どこかに基準となる温度を決めておかないといけません。この基準の温度として、私たちは“水が氷に変わる温度”を0℃と決めているのです。水は、私たちの身の回りにある、もっとも大切なものです。このため、水が氷に変わる温度をもっとも大事な基準の温度として、0℃としたのです。

 また、ぴったり0℃でも氷になれるのかは、そのとおりです。しかし、水をゆっくり冷やしていくと、実際には0℃以下になっても氷にならずに、水のままでいることもあります。これは、最初に水が凍り始めるときの、氷のできかたによリます。少し難しい言葉ですが、0℃以下でも凍っていない水を、“過冷却水”と呼びます。雪の科学館では、実際に過冷却水を作って、この水が凍る様子を実演しています。科学館に来る機会がありましたら、ぜひ実演に参加してください。科学館の公式YouTubeチャンネルにもその様子を紹介しています。

 

  ▶ YouTube 動画 

〈過冷却水のせつめいは 6分30秒からはじまります〉

 

(*漢字のふりがなつき回答はこちら)

 

(回答掲載日:2021年8月5日)

#水の不思議#氷の不思議#温度
Q20

カラフルな氷は作れますか?

娘が氷に色をつけたいと言い、絵の具や食紅を入れて凍らせてみましたが綺麗にできませんでした。成功する方法はあるのでしょうか。(山崎景子さん / 東京都・43歳)

 氷にカラフルな色を付けることができたら、楽しいですね。しかし、残念ながら氷そのものに色を付けることはできません。それは、氷は水分子が立体的に規則正しく並ぶことでできた結晶で、この結晶の内部には絵の具や食紅などの成分は入ることができないからです。結晶の中に入るには、規則正しく並んだ水分子を無理やり押しのけないといけません。これはとても困難なことで、空気中の酸素や窒素などの分子でも、結晶の中には入り込むことができません(本Q&AのQ4Q14の回答も参照して下さい)。このため、水に絵の具や食紅を入れて凍らせても、氷ができるときに氷の外に押し出されてしまい、氷には色がつかないのです。

 しかし、凍った食品であるシャーベットやアイスクリームなどには、きれいな色がついているものがありますね。これらは、いろいろな工夫をして含まれている氷ができるだけ小さな粒になるようにしているのです。氷の粒(一つの氷の結晶)の中身にはもちろん色を付けるものは入っていません。しかし、氷の粒の表面や粒と粒とのすき間などには、これらのものを貯めておくことはできます。この原理を使うと、できるだけ氷の粒を小さくすることで、食品全体として色をつけることができるのです。

 家庭でも、アイスクリームやシャーベットは作ることができますね。このときのコツは、原料を冷やしながらよくかき混ぜることだと思います。かき混ぜることで、水分が凍るときに、氷の粒があまり大きくなる前に細かく砕かれてしまったり、たくさんの氷の粒が新たに作られたりします。「できるだけ氷の粒を小さく保ちながら、全体を凍らせる」ということが、全体として色をつけることに結びつくのです。繰り返しになりますが、あくまで氷の粒(すなわち、結晶)そのものには色はついていないことに、注意してください。

(回答掲載日:2021年3月30日)

生活・文化 #実験#氷のつくりかた#氷の不思議
Q16

雪と氷のちがい

雪と氷の違いは何ですか? 細かい氷が雪と呼ばれるのですか?( ジェットストリームさん/石川県 )

 まず、雪も氷もH2O(1個の酸素原子(O)と2個の水素原子(H))という物質の固体(結晶)であるということから説明を始めましょう。H2Oに限らず、様々な物質は、温度と圧力によって液体であったり固体であったり、そして気体であったりします。この、温度と圧力の条件で、物質がどの状態を取るかを示す図は「相図」と呼ばれて、科学研究の場ではきわめて重要なものです。H2Oの3つの相( 3態とも呼びます)については、それぞれ「水」、「氷」、および「水蒸気」と特別な呼び方で呼ばれます。すなわち、H2Oという物質の固体としては、それがどのようにして出来たか(水が凍ってできたのか、水蒸気が凝華(注)してできたのか)や形状(かたまりなのか、細かな粒状なのか)とは全く関連なく、常に「氷」と呼ばれます。したがって、物質として見た場合は、「氷」という呼び方がより上位の言葉と言えます。

 しかし、最初に述べたように、実際には雪と氷は並列に記載されることも多く、時には混乱を招いていることも事実です。ご質問にあるように、細かい氷が「雪」ということもできますが、氷を削って作ったかき氷は、細かな粒の氷であっても雪とは呼びません。 

一般には、そのできかたによって区別していることが多いように思われます。すなわち、水蒸気からできた氷の結晶を「雪」、液体の水が凍ってできた氷の結晶はそのまま「氷」と呼んでいます。雪が降って積もったものは「積雪」と呼び、やはり雪の一種ということになります。

ただ、この区別にも例外がないわけではありません。たとえば、南極やグリーンランドなどで見られる巨大な氷の塊である氷床は、表面に降り積もった積雪がだんだん深くなると、自重で圧縮されて氷に変わります。これは、積雪が圧縮される過程で、その内部でまだ空気の流通(通気性)がある場合は「積雪」と呼び、さらに圧縮されて空気の流通がなくなると「氷」に変わるというように分けられます。すなわち、もともとは水蒸気からできた雪であっても、積雪になって圧縮されると「氷」に変わるということになります。

 このように、雪と氷の違いを明確に分けようとすると、それには当てはまらないものが出てきてしまいます。雪と氷、もともとは同じものですので、これは仕方がないことかもしれませんね。

 

 

(注)逆に、氷が直接水蒸気に変わる場合は「昇華」と言います。水蒸気から氷が生成する場合も、従来は同じ言葉が使われていました。しかし、混乱を避けるために、近年この言葉が提案され徐々に使われるようになっています。

(回答掲載日:2021年3月6日)

#氷の不思議#雪と氷の違い#雪の不思議
Q15

氷のすき間について

はじめまして。 小学校で4年生を教えています。 氷になると液体の水より体積が大きくなると学習します。その理由は氷ができる時にすき間ができるとのことですが、ふと疑問に思いました。 そのすき間は水にとけている空気なのか、それとも真空なのでしょうか。 氷の結晶構造のすき間の中に酸素や窒素の分子が入り込める余地はあるのでしょうか。(くすもとさん/大阪府・43歳)

 コップに入れた水を冷凍庫に入れて凍らせると、体積が約9%増加します。水も氷も多数の水分子が集合してできていますが、このことは水中より氷の中の方が水分子の詰り方がほんの少し疎らであることを意味しています。液体の水では、水分子は不規則に混じり合っています。これに対し、結晶である氷では、水分子は三次元的に規則正しく配列しています。下に示した図は、氷の結晶中での水分子の配列を示しています(産業技術総合研究所 灘浩樹先生提供)。水分子はH2Oですので、灰色の大きな球が酸素原子(O)、赤の小さな球が水素原子(H)を示しています。1個の酸素原子は、隣り合った4個の酸素分子と水素結合で結ばれていて、この結合の上に水素原子が1個ずつ配置されています。液体の水が凍って、このような結晶構造を作るときに、水分子が少しずつすき間を開けながら配列を作るので体積が増えるのです。

 とはいっても、このすき間はせいぜい水分子の大きさですから、ここに窒素や酸素などの他の分子が入り込むことはできません。最初に述べたように、コップに入れた水を冷凍庫で凍らせると、透明な氷ではなく真っ白な氷になってしまうことが多いですね。水中に溶けていた窒素や酸素の分子は、水が凍っても氷の内部には入れないので、気体として現れるしかありません。このとき生じた気体の泡(気泡)は、氷が成長するときに氷の中に取り込まれてしまいます。すると、この気泡に当たった光が散乱を起こし、氷は透明ではなく白く見えるのです。

 

 ところで、気泡を含んだ氷にどんどん圧力をかけていくとどうなるでしょう。気泡は、圧力とともにだんだん小さくなり、やがて氷の中から消えてしまいます。このとき、気泡の中の窒素や酸素はどうなってしまったのでしょうか。実は、氷の結晶の格子の中に取り込まれてしまっているのです。先程の話と矛盾しているようですが、圧力が高くなると水分子の配列そのものが変化して、無理やりすき間を作り、窒素や酸素の分子を取り込むことができるようになるのです。この特別な氷はエアハイドレート結晶と呼ばれ、実際に南極大陸を覆う氷床の深部で発見されます。氷床は、何十万年もの間に降り積もった雪が積み重なってできた、厚さが最大4キロにも及ぶ氷の塊です。このため、その深部では氷にものすごい圧力がかかっているので、気泡がエアハイドレート結晶に変化したのです。氷床は、深くなるほど古い空気を貯め込んでいます。まさに、”空気の化石”ですね。

(回答掲載日:2021年3月6日)

#氷の不思議
Q13

とけない氷はあるのかな?

前に、雪の科学館で氷のペンダントを作りました。すぐにとけてしまい、悲しかったです。とけない氷があったら作りたいです。とけない、とけにくい氷の作り方をおしえてください。(あやかさん / 石川県・8歳)

 あやかさん、雪の科学館の氷のペンダント、すぐにとけてしまって残念でしたね。でも、とけない氷というのは、ざんねんながら作ることはできません。氷に限らずいろいろな物質は、とける温度が決まっています。氷は、この温度が0度ですので、部屋の中(室温は20度くらいですね)に氷をおいておくと、すぐにとけてしまうのはしかたがないことなのです。

 雪の科学館で氷のペンダントを作ったときの氷は、きれいな透明(とうめい)の氷だったと思います。台所にある冷凍庫(れいとうこ)で氷をつくると、普通(ふつう)は白くにごった氷になりますね。これは、最初に水にとけていた空気が、氷ができるときにはき出されて、空気の泡(気泡(きほう))として氷の中に閉じ込められたからです。気泡がたくさん含まれた氷は、とてもとけやすいのですが、気泡の入っていない透明な氷はとけるのに少し時間がかかります。室温であればやがてとけてしまうことにはちがいないのですが、雪の科学館の氷は、それでも少しはとけにくい氷になっています。このような透明な氷は、台所の冷凍庫でも少しくふうをすると作ることができます。まず、水にとけた空気を追い出すためには、冷やす前にいちど沸騰(ふっとう)させます。この水が冷めたら冷凍庫に入れるのですが、なるべく空気にふれないようにして、できるだけゆっくりと冷やしてこおらせると、気泡の少ない透明な氷になります。ためしてみて下さい。

(回答掲載日:2020年12月14日)

#単結晶#実験#氷の不思議
Q10

氷の硬さ

マイナス10度とマイナス20度の氷は硬さが違いますか? 教えてください。(たかしさん / 石川県・10歳)

 中谷宇吉郎先生は、「氷は金属である」という言葉をのこしています。

 金属は、普通はとても硬いですが、温度が高くなるとだんだん柔らかくなります。テレビなどで刀を作るところを紹介した番組を見たことがあると思いますが、鉄を炎で真っ赤に焼いてそのままハンマーなどで叩くと、簡単に伸ばしたり曲げたりすることができます。これは、硬い鉄であっても温度が高くなると柔らかくなることを利用しているのです。氷もこの鉄と同じように、温度によって硬さが変化します。ご質問にあるようにマイナス10度とマイナス20度では、より温度の低いマイナス20度のほうが硬い氷になっています。

 しかし、氷の硬さというのは、鉄の硬さとは少し違う性質を持っています。氷は結晶ですので、一つの結晶の粒でできた氷(単結晶の氷と呼びます)を用意して力を加えると、どの方向から力を加えるかによって硬さが大きく違うことが知られています。実は、氷の結晶というのは、ちょうどたくさんの枚数の紙を重ねた束のような構造をしています。

 紙の束としてトランプを考えてみましょう。図にあるように、トランプを重ねた束にいろいろな方向から力を加えてみましょう。たとえば(a)図のように、トランプの束を水平に置き、トランプの上や横から力を加えると、束は簡単に曲がりますね。これは、トランプどうしが少しずつ滑って、束全体としては曲がりやすくなるためで、トランプの束はこの方向にはとても柔らかい性質をもつことになります。しかし、(b)図のように束を縦に置いて縦方向に力を加えると、いくら力を加えてもトランプの束は簡単には曲がりません。この場合には、いくら力を加えてもトランプどうしが滑ることがないからです。

 このように、トランプの束は力を加える方向で硬さがまったく違います。氷の結晶が、このトランプの束と同じ性質を持つことを発見したのも、中谷宇吉郎先生なのです。中谷宇吉郎雪の科学館には、氷の結晶が紙の束と同じような性質を持つことを示す実験結果の写真も展示されています。今度雪の科学館を訪問したときには、気をつけて探してみて下さい。

(トランプの実験は簡単ですので、ぜひ自分でもやってみて下さい。トランプは、プリンターの用紙の束や少し厚めの本などでも代用することができます。)

(回答掲載日:2020年12月14日)

#単結晶#実験#氷の不思議#温度
Q8

絶対零度と氷について

氷だったものが、マイナス273度になると、なぜ気体になるのですか?氷のままの物質もありますか?( 標識君 / 東京都・7歳 )

 はじめに、マイナス273度という温度は、どんな温度かを説明しましょう。この温度は、これ以上はもう下がらないギリギリの温度で、絶対零度とも呼ばれています。

 マイナス273度を説明するまえに、温度というのはどういうものかを考えてみましょう。

 氷は、水の分子が順番にきれいにならんでできた固体ですね。結晶ということばを聞いたことがあると思いますが、このような分子がきれいにならんだ固体のことを呼びます。しかし、水分子は結晶の中にあっても完全に止まっているのではなくて、かならずブルブルと振動をしています。この氷の中の水分子のようすを動画でしめしたものが、産業技術総合研究所の灘浩樹先生のホームページにありますので、参考にして下さい ⇒ コチラをクリック

 このブルブル振動の大きさが、じつは温度にあたります。温度が高いほど、水分子はより大きくブルブルしているのですね。では、温度が下がるとどうなるでしょう。この水分子のブルブル振動は、だんだんおさまってきて、ある温度になると完全に止まってしまうはずですね。この分子のブルブルが止まってしまう温度が、マイナス273度なのです。いったん分子のブルブルが止まると、それ以上温度は下がりませんので、マイナス273度より低い温度はないということになります。

 さて、ご質問の「マイナス273度になると気体になるのですか」ということについては、実はどんな物質でもマイナス273度では気体ではなくて固体になっています。そして、その中の分子のブルブルも完全に止まった状態になっています。氷は、温度が高いと水蒸気になっていますね。しかし、水蒸気は温度が下がると水に変わります。コップに冷たい水を入れると外側がくもるのは、水蒸気が水滴となってコップにつくからです。この水滴は、もっと温度が下がると氷に変わります。この氷の温度をさらにどんどん下げていくと、やがてマイナス273度まで冷やせるはずですが、その時にもういちど気体にもどることはありません。ずっと、氷のままで冷えていくだけです。氷以外のどんな物質でも、温度が下がると、水と同じように気体が液体に、そして結晶へと変わっていきます。したがって、マイナス273度では、どんな物質であっても気体に変わることはなく、結晶のままでいると考えられています。

 マイナス273度という温度は、とても不思議ですね。この温度では、今回のご質問のほかにも、とても面白いことがたくさん起きることが知られています。ぜひこれからも興味をもって、いろいろと調べてみてください。

(*漢字のふりがなつき回答はこちら)

(回答掲載日:2020年10月22日)

その他の現象 #氷の不思議#温度
Q5

電子レンジに氷をかけたらどうなる?

コップに氷を入れて電子レンジで溶かそうとしましたが少ししか溶けませんでした。なぜですか?(ひなさん / 石川県・6歳)

 ひなさん、とてもおもしろいことに()がつきましたね。ちょっとむずかしいお(はなし)になりますが、がまんしてください。

 まず、(みず)(こおり)は、目には見えないほどのものすごく小さな粒(水分子と言います)がたくさんあつまってできています。水のなかでは、この粒つぶがグチャグチャに詰まっているのですが、氷のなかでは粒つぶが順番にきれいにならんでいます。

 この粒つぶは、水や氷のなかで動き回ったり、ブルブルふるえたりしています。電子レンジは、水のなかの粒つぶのブルブルをより大きくするはたらきをもっています。このため、電子レンジにコップの水を入れるときゅうに熱くなるのです。しかし、氷の中の粒つぶは、きれいに並んでいますので、もともとブルブルしにくいはずですね。ですので、電子レンジに氷を入れても粒つぶのブルブルが大きくなりにくいので、氷は電子レンジに入れても溶けにくいのです。

 ちょっとむずかしいので、ジグソーパズルを思い出してください。ジグソーパズルは、たくさんのピースでできていますが、このピースひとつひとつがこの水や氷のなかの粒つぶだとしましょう。パズルであそぶ前には、たくさんのピースはグチャグチャになっていますね。このピースをぜんぶ箱に入れて箱をゆらすと、ピースはかんたんに動き回ったりブルブルしたりして、まざりあいます。では、パズルができ上がるとどうなるでしょう。ぜんぶのピースは順番にきれいにならんでいて、ピースどうしがしっかりとくっついています。このパズルを、同じようにゆらしてもピースは動きませんね。このあそぶ前のジグソーパズルが水、できあがったパズルが氷だとおもうと、箱をゆらす力が電子レンジの力になります。

 このように、おなじ力でゆらした場合に、水のなかの粒つぶはブルブルしやすく、氷のなかの粒つぶはブルブルしにくいので、氷はなかなか溶けないのです。

 やっぱり、まだむずかしいですね。まわりのおとなといっしょに、もういちどこのこたえを読んでみてください。

(回答掲載日:2020年8月18日)

 

(* 漢字のふりがなつき回答はこちら)

 

生活・文化 #実験#氷の不思議
Q4

透明な氷のつくりかた

一度、沸騰させた水で氷を作ると透明度が高くなるのはなぜですか?他に、透明な氷をつくる良い方法はありますか?(かほくのアマビエさん / 石川県・38歳)

 通常、水には空気が大量に溶け込んでいますので、それを凍らせると空気は気泡として氷の中に取り込まれてしまいます。このため、氷は白く濁って透明度が低くなってしまうのです。

 水を冷やす前にいちど沸騰させると、水に溶けた空気は追い出されてしまいます。このため、気泡として取り込まれる空気の量が少ないので透明度が高くなるのです。透明な氷を作る工夫はこの他にもいろいろありますが、どの方法も氷に取り込まれる気泡の数を減らす工夫です。

 まず、水をゆっくり冷やすと、氷ができる速度も遅くなります。このため凍る時に気泡が発生してもすぐに逃げてしまい、氷には取りこまれないようになります。家庭の冷凍庫で氷を作るときは、沸騰させた水を使うことはもちろんですが、製氷皿の下に熱を伝えにくいものを敷く、あるいはタオルで製氷皿を包むなどをすると、氷がゆっくり出来ますので気泡の少ない透明な氷になります。しかし、氷を作るのにかかる時間は大幅に延びてしまいます。

 また、凍る時に発生した気泡が逃げやすくするためには、水の容器全体を均等に冷やすのではなく、ある一定の方向に凍らせることも有効です。氷屋さんで売っている氷は、全く気泡がなく非常に透明です。これは、工場でできるだけ時間をかけて、一定方向からゆっくり凍らせることで、気泡を入りにくくしているのです。

 また、水をかき混ぜるなどの方法で、発生した気泡を素早く取り除いてしまうなどの工夫もされています。

(回答掲載日:2020年8月17日)

その他の現象 #単結晶#実験#氷のつくりかた#氷の不思議

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