ファミリーレストランの氷

 確かに、レストランなどで飲み物に入っている氷には、不思議なくぼみがあるものが多いですね。この氷には、もう一つ大きな特徴がありますが気がつきましたか?その特徴は、家庭の冷凍庫で作った氷とくらべると、とても透明できれいであることです。氷にできたくぼみは、じつはこのことと関係があります。

 はじめに、家庭の冷凍庫で作った氷を見てみましょう。この氷は、白っぽくてあまり透明ではありません。家庭の冷凍庫では、容器に入れた水をそのままで静かにおいて凍らせます。このときに、水に溶け込んでいた空気が細かな泡となって出てきて、氷の中に閉じ込められてしまいます。このため、できた氷は白っぽく透明ではなくなってしまいます。

 では、レストランなどで使われる氷にもどりましょう。この氷は、水を凍らせるときに出てきた泡を、上手に逃してあげることができるくふうをして、作っています。そのくふうとは、氷を作る容器に最初から水を入れておくのではなく、ノズルの先端から吹き出る水を容器に吹きかけながら凍らせるのです。こうすると、水が凍りついて泡が発生しても、水の流れのために泡が吹き飛ばされてしまい、泡を含まない透明な氷ができるのです。このような氷の作り方では、容器が氷で埋められてくると、ノズルからの水で泡を吹き飛ばす効果が弱くなり、最後はどうしても空気の泡が氷に取り込まれてしまいます。このため、容器が完全に氷で埋めつくされる前に、まだくぼみが残っているときに凍らせることをやめます。このため、氷にくぼみが残ってしまうのです。くぼみが残るというのが、透明な氷を作るための秘密なのです。

(回答掲載日:2022年6月7日)