宇宙の水(氷)の総体や身体の氷
水は、水素と酸素が結合した分子(H2O、水分子)でできた物質です。したがって、水そのものには、太古のものや現在のものというような区別は、存在しません。現在私達の周りのある水は、宇宙が誕生し進化する過程で、ある時に大量の水分子が生成され、それらが現在の地球や宇宙空間にそのままで残されているというのは、もちろんそのとおりです。しかし、最初に述べたように、水は一つの物質に過ぎないので、宇宙で初めて生成された頃の水と現在私達の周りにある水の間には何ら違いがなく、両者を区別することも意味のないことです。
また、一つの物質に過ぎない水には、それが記憶を持つというようなことも、なんらかの意図を持つといったことも、絶対にありえません。したがって、水がどのような循環をしたとしても、水にその記録が残ると言ったこともありません。さらに、雪や氷は、水という物質が固体の状態になって存在しているだけですので、その水が過去にどのような循環をしたかということは、雪や氷の特性に影響を与えることもありません。雪や氷の結晶形や特性は、その結晶がどのような過程を経てできたかに依存します。しかし、これは科学的な考察の結果としては、結晶ができるときの気象条件によって形が変化するということであって、決して人間の意図や記憶、意識といったものを反映するものではないことも明らかです。
水、氷、雪というと、私達のきわめて身近にあることや、生き物の生命維持に重要な役割を果たしているというようなことから、水そのものが何らかの記憶を持つとか、人間の意図を理解できるというような怪しい言説が流布されることがあります。しかし、水という物質そのものが、そのような性質を持つことは、科学的に絶対にありえないので注意が必要です。このことに関連する質問の回答が、本Q&AのQ.81にもありますので、そちらも合わせて御覧ください。
(回答掲載日:2024年9月6日)