氷の中の白い部分

 れいとうこで水を冷やして、氷を作ると、外がわはとうめいなのに、真ん中あたりは白くにごっていて、とうめいにはなりません。これは、水がこおるときに、水に溶けていた空気が、あわとしてあらわれて、それが氷の中にとじこめられているからなのです。このあわがたくさんあると、そこにさしこんだ光がいろいろな方向にはね返されるので、白く見えるのです。

 と言っても、少しむずかしいですね。氷の中にあわがたくさんできると白く見えるということを、2つのことに分けて考えてみましょう。

 まず、さいしょは、氷の中に空気のあわができるのはなぜか、です。コップにきれいな水道水を入れて、さとうやしおを入れるときれいにとけてしまいますね。これとおなじように、空気も水の中にたくさんとけているのです。水は、いつでも空気にさらされていますので、知らないうちにたくさんの空気がとけています。この水を、れいとうこの中にいれてこおらせると氷になるのですが、水とははんたいに、この氷には空気はほとんどとけることができません。このため、空気がとけた水が氷にかわるとき、よぶんな空気ができてしまうことになります。このよぶんな空気が、小さなあわとなってでてくるのです。このあわが氷の中に入ってしまったものが、真ん中の白く見える部分になります。

 では、つぎに、あわが入っていると白く見えるのはなぜかを考えてみましょう。あわの中みは空気ですので、あわが白くなっているわけではありません。しかし、氷の中にあわがあると、さしこんだ光がはね返されて(ちょっとむずかしいことばでは、反射(はんしゃ)と言います)くるので、そこにあわがあることがわかります。この光をはねかえす小さなあわが、氷の中にたくさんあるときは、一つのあわではねかえされた光が、近くにあるほかのあわで、またはねかえされるということが、おこります。こうすると、光がいろいろな向きにはねかえされることになって、あわがたくさんあつまったところが、白く見えるようになるのです。これを、光の散乱(さんらん)とよびます。

 ところで、冬になると、空から真っ白な雪がふってきます。つもった雪もまっ白ですね。この雪は、小さな氷のつぶでできていることは、知っていますね。氷はとうめいですので、雪をつくっている氷のつぶを一つだけとりだすと、やっぱりとうめいで、白くはありません。しかし、この氷のつぶがたくさんあつまると、そこにさしこんだ光がいろいろな方向にはねかえされて、白く見えるようになるのです。氷の中のあわが白く見えるのと、そのしくみは同じですね。

 何かが白く見えるからと言って、それがいつも白いものでできているというわけではないというのは、とてもおもしろいですね。

 

(回答掲載日:2024年4月26日)