冷凍庫の霜
冷凍庫を開けると、真っ白な霜がついていることが多いですね。この霜の話に入る前に、空気中に含まれる水蒸気の量から話をはじめましょう。
毎日の天気予報を見ると、今日は湿度が低くからっとした天気とか、湿度が高く蒸し暑い天気というような説明がありますね。これは、空気には水蒸気が含まれているためで、空気が含むことができる最大の水蒸気の量(飽和水蒸気量と言います)に対して、実際に空気に含まれる水蒸気の量をパーセントで表したものが湿度です。たとえば、湿度50%というのは、最大の水蒸気量のちょうど半分の水蒸気が空気に含まれることになります。
この空気に含まれる最大の水蒸気の量は、温度が下がるとだんだん少なくなります。このため、ある一定の量の水蒸気を含む空気を冷やしていくと、湿度が上がってやがて100%になります。この温度よりさらに冷やすと、空気中の水蒸気は小さな水滴として出てくることになります。上空の白い雲は、こうしてできたたくさんの水滴からできているのですね。真夏に、コップに冷たい飲み物を入れると表面に水滴がついてくもりますが、これも冷たいコップの表面が周りの空気を冷やして、水蒸気が水滴として現れるからです。
さて、冷凍庫の中に戻りましょう。冷凍庫の中の温度は、コップの表面の温度よりずっと低く0℃以下になっています。このため、空気中の水蒸気は、もはや水滴ではなく氷の小さな粒となって現れることになります。このような氷の粒の集まりを、霜と呼びます。すなわち、霜は空気中の水蒸気が直接氷の粒として出現したもので、上空の雲の中でできる雪の結晶と同じできかたです。冷凍庫は、食品の出し入れでしょっちゅう開け締めをしますので、そのたびに外の空気が流れ込みます。このため、水蒸気もどんどん入ってきて、この水蒸気が霜となって現れるのです。
最後に、「霜ができない冷凍庫」といっても、実際は霜ができないわけではありません。冷やし方をくふうしたり空気を循環させたりして、じつは目に見えない所に霜ができるように作られているだけなのです。見えない所にできた霜は、自動的にときどきヒーターで溶かしてしまうなどのくふうもされていて、冷凍庫を便利に使えるようにしているのですね。