器に入れた土では霜柱が作れない理由
とても面白い実験にチャレンジしていますね。感心しました。
さて、土を冷やすだけでは残念ながら霜柱を作ることはできません。その理由を説明する前に、庭の霜柱はどのような条件でできているかをもう一度考えてみましょう。
霜柱は、冬の晴れた夜に地表付近の大気が冷やされて、気温が氷点下に下がった時に良くできます。しかし、気温が氷点下になった時でも、霜柱のできた土の温度はまだプラスですので、土そのものは凍っていません。すなわち、まだ凍っていない土が、気温が下がることで表面から冷やされた時に霜柱がよくできるということになります。さらに、地表面にできた霜柱は、地面に直立するように細長く伸びていますが、その先端で成長するのではなく地面と接した根もとで成長しているのです。まだ凍っていない湿った土に接している霜柱の根もとでは、土の中の水分を吸い寄せながら氷が成長すると言う性質を持っています。このため、根もとから氷の塊をまっすぐに持ち上げるようにして、霜柱ができるのです。
地面の土の中まで凍ってしまうほど寒い時には、土の表面にはもはや霜柱はできなくなってしまいます。土自体が凍ってしまったものは、凍土と呼ばれています。北海道などのように気温が低い地方では、霜柱より凍土になってしまう場合が多くなります。
では、実験の話に戻りましょう。容器に詰めた湿った土を冷凍庫に入れると、土全体が急に冷やされますので、すぐに全体が凍ってしまいます。この時には、上で説明したような湿った土の表面だけが冷やされるという霜柱ができるための条件が実現できません。プチプチで包むと確かに冷える速さは遅くなりますが、土全体が冷えて凍ってしまうということには変わりがありませんので、やはり霜柱はなかなかできません。冷凍庫の中で霜柱を作ろうとすると、湿った土を凍らせないように何らかの方法でプラスの温度に保ちながら、土の表面だけが冷凍庫の冷気にさらされるような工夫をすることが大事です。すなわち、湿った土の温度と冷気の温度が、十分大きく異なるようにすることが鍵です。
研究室などで行われている実験でも同様な工夫がなされて、初めて霜柱を作ることができます。実験としては大変難しいのですが、是非チャレンジしてみてください。
(回答掲載日:2020年8月24日)