太陽の熱

  雲間から太陽が顔を出して、日差しが戻ってくると急に暖かく感じます。太陽は地球からはものすごく離れたところにあるのに、太陽の熱が地球までどうやって届いているのか、不思議ですね。

 太陽の話の前に、もう少し身近にあることを考えてみましょう。例えば、バーベキューをするときの炭火や台所のガスコンロの火は、もし直接触ったらとても熱くてやけどをしてしまいます。しかし、直接触るのではなく、少し離れたところからでも手のひらをかざすだけで暖かさを感じます。これは、電磁波と呼ばれる波によって熱が伝わる現象で、放射(あるいは、輻射)と呼ばれます。電磁波という言い方は少しむずかしいですが、光は電磁波の一部ですし、テレビやラジオなどの放送に使う電波も電磁波です。すなわち、電磁波というのは、空中を伝わる電気の波と考えても良いでしょう。光や電波のちがいは、この波の一つ分の長さ(波長と言います)によります。電波は、波長が非常に長い波ですし、光は逆にものすごく波長の短い波になります。この電磁波で、特に熱を伝える性質が強い波長の部分を赤外線と呼びます。赤外線の波長は、私達の目に見える光(可視光と言います)の波長よりもかなり長めで、目で見ることはできません。しかし、炭火やガスコンロの火は、この赤外線をたくさん出しているので、手をかざすだけ暖かく感じるのです。

 さて、太陽に戻りましょう。太陽は地球からは遠く離れた位置にありますが、表面の温度は非常に高く、およそ6000度にもなっています。この太陽からは、可視光とともに大量の赤外線がでていて、宇宙空間を放射によって伝わり、地球に届くのです。このため、太陽が見える昼間はとても明るくなりますし、同様に大量の赤外線も届いています。このため、遠くにある太陽からでも十分な暖かさを感じることができ、屋根の雪も融かしてしまうのです。太陽が雲にかくれると急に気温が下がるのは、光と同じように地表に届く赤外線の量も減ってしまうからです。

(回答掲載日:2022年2月28日)