氷の食感と溶け具合

 氷を融かすには、熱が必要です。その熱の量は、融解熱と呼ばれるもので、氷の量に応じて決まります。したがって、融かす氷が、固まりであっても、ふわふわのかき氷であっても、氷の量が同じであれば必要な熱の量は同じです。にもかかわらず、実際にはふわふわのかき氷のほうが、固まりの氷よりも早く融けてしまうのはよく経験することです。これは、氷そのものが融けやすい、あるいは融けにくいということではなく、氷を融かすのに必要な熱がいかに早く氷に届くかの違いです。実際、同じ氷の固まりを二つ用意して、フライパンにのせて火にかけた場合と、そのまま室内に放置した場合を較べると、当然前者のほうが早く融けてしまいますね。これは、同じ形の氷の固まりであっても、それが融けきるのに必要な熱が、フライパンにのせたほうがすばやく氷に伝わるからです。すなわち、氷自体に融けやすい氷や融けにくい氷の区別があるのではありません。同じ量の氷に、素早く熱が加わって急速に融けるのか、逆に熱が伝わりにくくてなかなか融けないのかの違いを、このように表現しているのだと思われます。

 また、氷の形状や融け方が食感にも関連することは確かでしょう。しかし、同じ氷であっても、ふわふわのかき氷が好きな人もいれば、少しザラザラしたかき氷の方が好きな人もいるはずです。美味しいと感じるのは人それぞれですので、一概にこれということは困難です。

(回答掲載日:2022年3月8日)