雪とあられの違いはなんですか?
雪とあられは、ともに上空から降り落ちる氷の粒ですが、そのでき方に違いがあります。気温は上空に行くほど低くなりますので、地上の気温がプラスであっても、ある高さ以上の上空は氷点下の気温になっています。雪やあられを降らせる雲は、空間に散らばった微小な水滴(雲粒)でできています。この雲粒は、0℃以下の温度になっても凍結せずに液体のまま(すなわち、過冷却の状態で)でいることができるという性質を持っています。この雲粒でできた雲の中に、微細な氷の結晶(氷晶)が生まれると、それらは周囲の水蒸気を集めて、徐々に大きくなり(成長し)はじめます。このようにして、氷晶が“直接水蒸気から成長”したものが雪の結晶です。その形は、結晶ができる雲の中の気温や水蒸気の量で様々に変化することはよく知られています。
大きく成長した雪の結晶は、だんだん重さが増して、空中に落下し始めます。雲を構成する雲粒の数(空間密度)が多くなければ、そのまま綺麗な結晶形のままで地上に達します。しかし、雲粒の数が増えてくると、雪の結晶は落下に伴って雲粒と衝突するようになります。このとき、雲粒は過冷却状態にあるので、雪の結晶に衝突するとその場ですぐに凍りついてしまいます。すると、きれいな結晶の上に ぱらぱらと雲粒の付いた結晶となります。雪の結晶の分類表には、雲粒付き結晶というものが記載されていますが、これらは、このようにしてできたものです。
さらに雲粒の数が大きくなると、雪の結晶には次々と雲粒が衝突して凍りつくようになります。こうして、多数の雲粒が凍りついてできた氷の固まり、すなわちあられとなるのです。こうなると、もう元の雪の結晶の形は見えなくなってしまいます。しかし、そうは言っても出発点は雪の結晶であったので、あられを作っている凍りついた雲粒をひと粒ずつ丁寧に外すなどして注意深く観察すると、もとの雪の結晶の痕跡が見つかる場合もあります。
すなわち、雪の結晶になるのかあられになるのかは、気温の高低というよりも、上空の雲を構成する雲粒の数がより大きく関連していると考えられます。
(回答掲載日:2024年2月1日)