雪の溶け方
最初に、氷屋さんで売っているような透明な氷の塊を急いで溶(融)かしたいときにどうするかを考えてみましょう。塊のままでおいておくとなかなか溶けませんが、塊を砕いて小さな粒にすると早く溶けます。これは、氷が溶けるときには必ず塊の表面から溶けるからで、同じ氷の量で較べると粒が小さいほど表面がたくさんあるので、早く溶けることになります。さらに、最初はギザギザした形の氷の塊を溶かすと、溶けるとともに全体に丸みを帯びてくるということもよく経験することです。これは、粒の尖ったところほど溶けやすいという性質があるからです。
さて、ご質問にある積雪は、雪の結晶が降り積もったものですので、小さな氷の粒でできています。したがって、積もったあとで気温が0℃以上になると、表面から溶け出すことになります。表面ほど溶けやすいはずですので、小さな雪の粒は更に小さくなっていきます。また、雪が溶けない氷点下の気温であっても、小さな氷の粒は直接水蒸気へと蒸発(科学的には、“昇華”と呼ぶのが正しいのですが、ここでは分かりやすく蒸発を使います)し、溶ける場合と同じように表面が多いほど蒸発しやすくなります。こうして、積もった雪の粒は、時間とともに小さくなり、やがて消えていくのです。このような過程で、泡が重なったようなかわいらしい形が現れたと考えられます。さらに、溶けたり蒸発したりすることで、雪粒どうしの結びつきが弱くなるので、指でつつくと簡単に壊れてしまうのです。
(回答掲載日:2022年1月31日)