雪の結晶の形についての質問
雪の結晶の形やそのでき方については、すでにこのQ&Aの中でも何度も取り上げてきました。まずは、その回答を参考にして下さい。例えば、Q.2、Q.27、Q.31、Q.45、Q.65、Q.67などが関連します。ここでは、これらとは少し異なる視点で、回答したいと思います。
雪の結晶の写真を見ると、綺麗な六角の平面状のものが非常に多く、この形のものが唯一の結晶形のように思われることがあります。しかし、実際には、雪の結晶の形は実にさまざまで、平面状と言っても樹枝状や六角板状のもの、さらには六角柱や針状、これらの組み合わさったものなど千差万別です。しかし、これらに共通する特徴は、雪の結晶形の基本は、微細な六角柱であることです。すなわち、これが雪の結晶の赤ちゃんで、この赤ちゃん結晶が横方向に成長したもの(すなわち、六角の平面状の結晶形)や縦方向に成長したもの(すなわち、細長い針状の結晶形)が、実際に空から降ってくる雪の結晶になります。
では、なぜ六角形なのかですが、これは雪の結晶(すなわち、氷の結晶です)は、水の分子が立体的に規則正しく並んで、六方の対称性を作っているためと説明されます。もちろん、これで間違いではないのですが、例えば1個の雪の結晶を見た場合、1本の枝の先端からその反対側の枝の先端の間までに並ぶ水分子の数は、およそ10、000、000個と、膨大な数になります。実際には、結晶はもっと立体的な広がりがあるので、1個の結晶の中の水分子の数は、さらに大きな数になります。すなわち、水分子の並び方が結晶の外形に関連していると言っても、そう簡単には説明ができそうにもないことが分かります。結晶の形などを専門とする研究者にとっても、頭を悩ませる問題が、今も残されているのです。
最後に、雪の結晶は、平面かどうかについても見ておきましょう。平面というと、厚みがないように思えますが、雪の結晶は決してそうではありません。一見平面に見える六角の結晶でも、0.1mm程度の厚みがあります。十分薄っぺらいようにも見えますが、先程の水分子が何個積み重なっているのかという視点では、およそ250、000個の水分子の積み重なりということになります。もう、雪の結晶は平面ではなく、十分な厚みがあると言えます。さらに、雪の結晶の写真を見ると、外形の複雑さだけではなく、結晶内部にも様々な模様が観察されます。この模様は、結晶の表面にある凸凹が、影となって見えているのです。このことも、雪の結晶は厚みのない平面とは決して言えないという根拠になります。
このように、雪の結晶がなぜさまざまな形をとるのかは、現在もまだ完全には説明できない部分が残されているのです。雪の結晶を見たときに、綺麗だなと思うと同時に、何か不思議なことがまだまだあるんだと思っていただければ、大変有り難いです。
(回答掲載日:2024年2月6日)