飛行機の上空で窓に雪の結晶のようなものが?
飛行機の窓は、アクリル樹脂の板でできていて、3層の構造になっています。国際線の飛行機は、高度が10キロメートル以上を飛行するので、外気の気温は−50℃以下にもなります。このため、外気に直接触れている一番外側の窓板は、急激に冷やされた状態になっていて、3層の窓板の隙間にある大気に含まれる水蒸気が氷として凍りつくことがあります。これが、雪の結晶のようなものが張り付いたものの正体で、窓霜と呼ばれるものです。窓霜は、北海道などの寒冷な地域では窓ガラスの表面にできるものとして知られていますが、断熱の行き届いた建物ではめったに見かけなくなりました。飛行機の窓で見られるというのは、快適な機内と外気との温度差がいかに大きいのかを物語っています。飛行機が空港にいるときやそれほど高度の大きくない国内線での飛行では、外気温はそれほど下がりませんので、このような現象が見られる機会は少ないと思います。窓霜についての詳しい説明は、本Q&AのQ35の回答を御覧ください。
ちなみに、飛行機の窓は3層になっているというお話をしました。これは機内の気圧を保つために十分な強度を持つ窓とすることが主な役割ですが、この窓霜の発生をできるだけ抑えるという工夫もあります。窓板を注意深く見ると、どこかに小さな穴があけてあるのに気がつくと思います。この穴は、3層の窓の中間の窓板にあいていて,窓板と窓板の隙間の空気を出し入れする役割をもっています。飛行機の機内の空気は、非常に乾いた状態にあるので、この空気が出入りすることで窓霜の発生を抑制することができるのです。
(回答掲載日:2022年2月4日)