霜はどこからおりてきますか?
晴れわたった冬の寒い朝には、あたり一面が真っ白になっていることがあります。たしかに、これを「霜がおりる」と表現しますが、とても素敵な言い方ですね。では、はじめに霜はどのようにしてできるのかを考えてみましょう。
霜は、地面や地表にあるさまざまな物体にできた氷の結晶です。氷の結晶ができるためには、原料になる水分が必要です。こう考えると、地面にできた水たまりのようなところに霜ができそうですが、じっさいには水たまりには透明な氷ができるだけで霜はついていません。霜は、かえって水たまりなどがないところにできていることに気がつきます。
では、霜の原料である水分はどこからくるのでしょう。この水分は、じつは空気中に含まれる水蒸気なのです。この水蒸気は、空気が冷やされるともう空気中にはとどまることができずに、液体の水や固体の氷として現れるという性質をもっています。たとえば、コップに氷を入れると、コップの外側がくもります。これは、冷えたコップのガラスのすぐ外側の空気も冷やされるため、空気中にあった水蒸気が細かな水滴としてくっついたからです。同じように、冷凍庫でキンキンに冷やしたコップを外に出すと、こんどはコップの表面にうすいまくが張るように氷ができて、真っ白になると思います。これが、水蒸気からできた氷で、霜と同じものなのです。
もともと気温の低い冬の季節には、風もなく晴れていると夜間に地面が急に冷やされて、氷点下になることがあります。このようなときには、地面に近い空気も冷やされますので、その中に含まれていた水蒸気が地面に氷となって現れます。これが霜のできるしくみです。ちなみに、霜は空気中の水蒸気を原料としてできるのですが、空から降ってくる雪の結晶も同じように水蒸気からできます。霜と雪はでき方が同じということになりますので、霜を虫眼鏡で見てみると雪の結晶と同じようなきれいな枝が見えることもあります。
このように、霜は晴れた寒い朝にどこからともなく現れますので、「霜がおりる」という言い方をするようになったのではと思います。ブルッとするほどの寒い朝に、あたり一面が真っ白になっているというようすを、とても良く表現していると思いませんか?
(回答掲載日:2022年2月28日)