雪と氷のQ&A
タグ:氷

Q96

雲の仕組みと氷、雪との関係性について

私は小学5年生で、夏休みの課題で図書館の本を使った調べ学習というのを「雲」というテーマで調べています。本を読んでいくうちに、過冷却の仕組みが、雲から雪になるイメージと関係あることが分かったのですが、そちらのホームページでも、0℃でも水が凍らない理由から過冷却の仕組みが理解できました。でもとても難しくて、完ぺきな理解は出来てません。他にも、雲と氷、雪の関係性にあてはまる言葉や仕組みなどをいろいろ調べたのですが、最後は結果どのようなことだったのかっていうまとめの所にまだたどりつくことが出来てません。雲、雪、氷と全体を見ようとすると、とても難しいなと思っています。雲と結びつくような言葉だったり、氷と雪の関係性などをもう少しくわしく分かりやすく知りたいな、教えてもらいたいなと思って問い合わせをしました。(めーたすさん / 石川県・10歳)

 とてもよく調べて勉強していますね。大事なポイントに気がついていて、感心しました。過冷却という現象が、雲、雪や氷の生成などと密接に関連しているとよく説明されます。しかし、ではどんな関係があるのかは、とても難しい問題で、なかなかうまく説明することができません。ここに何か問題がありそうだということに気がついただけでも、素晴らしいと思います。ご質問に関連する話題で、いくつか説明しましょう。

 まず、雪の結晶は上空の雲の中で作られます、と説明され、あまり疑問に思うことがありません。しかし、このことは、液体の水の過冷却と雪の結晶の成長との関連について考えることで、その理由がわかります。雪の結晶は、その結晶の周りにある空気中にある水蒸気から、直接できてきます。しかし、雪の結晶が大きくなるためには、周囲の水蒸気が使われますので、結晶の周りの水蒸気の量はだんだん減ってくるはずですね。雪の結晶がさらに大きくなるためには、この水蒸気がどこかから追加されないといけません。この水蒸気を追加するしくみに、実はこの過冷却という現象が大事な役割を果たしているのです。すなわち、雲の中にある雪の結晶の周囲には、水蒸気だけではなく、たくさんの雲粒(過冷却した水でできた小さな水滴)が存在しています。この雲粒は、だんだん蒸発をして、周囲の空気に水蒸気を追加する役割を果たしているのです。すなわち、過冷却した雲粒から雪の結晶に向かって水蒸気の流れができていて、この流れによって雪の結晶は大きくなり続けることができるということになります。この雪の結晶が大きくなり続けることを「結晶の成長」と言いますが、雲の中でこれが起きる理由になります。(なぜ、過冷却した雲粒から雪の結晶に向かう水蒸気の流れができるのかというのも、疑問ですね。そのことも説明できるのですが、さらにむずかしいお話になってしまいますので、また他の機会に説明しましょう。)

 また、雪と氷と言うことについても、少し説明しておきましょう。雪も氷も、どちらも融ければ液体の水ですので、どちらも、全く同じ物質です。ではなぜ、この2つの呼び方があるのかということを考えてみましょう。一般に、雪と呼ぶときには、雪の結晶やそれが降り積もった雪(積雪)などがあります。これらの共通点は、上空の雲の中で“水蒸気から直接氷の結晶ができたもの”が、もとになっているということです。一方、氷は、液体の水を冷やして凍らせることでできたものと言うことができます。氷を削ってかき氷にすると、雪のように真っ白でふわふわになりますが、これを雪とは呼ばないのはこのためです。このように、本来は全く同じものであるのに、そのでき方の違いで呼び方が変わるのは、とてもおもしろいと思いませんか?雪や氷以外のものでは、このようなことは絶対にありません。また、この他にも自然界にある雪や氷には、その状況の変化によって、さまざまな呼び方があります。それらがどのようにしてできたのかを調べると、雪と分類すべきか氷と分類すべきかを分けることができると思います。このような視点で雪や氷を眺めて見るのも、とても興味深いのではないかと思います。

(回答掲載日:2024年8月25日)

#雪#氷#氷の不思議#雪の不思議
Q93

飲める水と飲めない水に結晶の差はある?

飲める水と飲めない水に結晶の差はありますか? この結晶があれば飲める、または、飲めないの判断が出来る結晶はありますか?(furucocoさん / 石川県・11歳)

 水は、私達の身体の中にも大量に含まれていて、体重のおよそ60%が水分です。したがって、水そのものには毒性はなく、飲める水と飲めない水などの区別はありません。しかし、“この水は飲めない”ということは、よく言ったり聞いたりする言葉ですね。これは、水そのものというわけではなくて、その水にどんなものが溶け込んでいるのかということが、その違いの原因です。私達が飲む水には、必ず何かが溶け込んでいます。溶けているものに毒性がなく、なおかつ食品として使われるものであれば、その水を飲んでも問題はありません。逆に、食品でないものや私達の身体に害を及ぼすものが溶けこんだ水は飲むことはできません。

 さて、ご質問にあるような水が凍ってできた氷の結晶については、それが飲める水と飲めない水の区別できるかということですが、その目的には使うことはできません。もちろん、何も溶けていない水からできた氷と、何かが溶けている水からできた氷に、その特性や形に違いが起こることはありえます。それは、結晶ができるときに、水に溶け込んでいるものが影響を及ぼすからです。しかし、それは溶けているものが無害なのか有害なのかには関係ありませんので、結晶を観察したとしても、その結果で飲める水か飲めない水かの判断はできません。

  (回答掲載日:2024年8月4日)

#水#結晶#水の不思議#氷#氷の不思議
Q90

氷の結晶について

今から60年前の頃のお話しですが、麦茶を製氷室にいれて早く冷やそうとして、取り出すのを忘れていた時のことです。 麦茶を入れていた容器は1リットル程度が入る半透明のプラスチック製の横長の、注ぎ口が広口の8cmほどあるタイプのものでした。 まだ凍った様子がなかったので、そのまま コップに注ごうとした時に、容器の淵に雪印のマークと同じ形の直径1.5cm程度の氷の結晶を見つけました。 手で摘まんで採ろうと試みましたが、駄目でした。 このことを父に話したところ、氷の核になる元は麦茶の中には無数にあるため、大きな結晶に成長する可能性はあり得ないと一喝され、大変落ち込んだ経験があります。 雪の結晶が、液体の水の中で成長することが実際ある訳で、こうした事例の研究がされているのか、教えていただきたいです。岡田龍雄さん / 大阪府・72歳)

 麦茶を冷やしたときに六角の氷結晶が観察されたとのことですが、もちろんこのような結晶が生成することはありえることです。このご質問だけでは、結晶ができていた状況が明確ではありませんが、観察された結晶が麦茶の内部でできていた(麦茶が凍ってできた)と考えて、回答いたします。

 液体の水を容器に入れて冷却すると、水はやがて過冷却の状態(0℃以下でも凍結せず、液体のままの状態)になります。その中に、氷の微結晶が生成されると、雪の結晶と同じように、六角の結晶形に発達することは良く知られています。このような結晶の生成については、これまでに多くの研究が行われています。六角の枝のできるしくみや六角の対称性が生じる理由なども明らかにされています。近年では、国際宇宙ステーションの中での氷の結晶の生成実験なども行われました。ごく最近では、氷の結晶が成長する様子を分子の大きさの分解能で観察する試みも行われるようになってきました。

 しかし、過冷却水中で氷の結晶の生成過程を観察することは、通常ではそう簡単ではありません。それは、過冷却の度合いを制御することが困難であることや、水中で同時にたくさんの微結晶が発生すると互いに影響をしあってきれいな結晶形になりにくいことなどの理由が考えられます。ご質問の場合では、容器に入れた麦茶がゆっくりと冷やされていく途中で、たまたま、ごく少数の氷の微結晶が生成されて、それらが独立して成長したのだと考えます。なぜこのようなことが起きたのかは明確には答える事ができませんが、決してありえない現象ではありません。

 最後に、純水と麦茶を使った場合の違いですが、麦茶の場合は純水よりも凍る温度が少しだけ低くなっている可能性があります。しかし、結晶のでき方などには大きな違いが生じているとは考えにくいので、純水からの氷の生成と同じであると考えて差し支えありません。

 

 (回答掲載日:2024年5月12日)

#円盤結晶#氷#氷の不思議
Q89

氷の中の白い部分

家で氷を作ったとき、とうめいにならず、真ん中に白い部分ができます。白いものはなんですか?(マークさん / 大阪府・8歳)

 れいとうこで水を冷やして、氷を作ると、外がわはとうめいなのに、真ん中あたりは白くにごっていて、とうめいにはなりません。これは、水がこおるときに、水に溶けていた空気が、あわとしてあらわれて、それが氷の中にとじこめられているからなのです。このあわがたくさんあると、そこにさしこんだ光がいろいろな方向にはね返されるので、白く見えるのです。

 と言っても、少しむずかしいですね。氷の中にあわがたくさんできると白く見えるということを、2つのことに分けて考えてみましょう。

 まず、さいしょは、氷の中に空気のあわができるのはなぜか、です。コップにきれいな水道水を入れて、さとうやしおを入れるときれいにとけてしまいますね。これとおなじように、空気も水の中にたくさんとけているのです。水は、いつでも空気にさらされていますので、知らないうちにたくさんの空気がとけています。この水を、れいとうこの中にいれてこおらせると氷になるのですが、水とははんたいに、この氷には空気はほとんどとけることができません。このため、空気がとけた水が氷にかわるとき、よぶんな空気ができてしまうことになります。このよぶんな空気が、小さなあわとなってでてくるのです。このあわが氷の中に入ってしまったものが、真ん中の白く見える部分になります。

 では、つぎに、あわが入っていると白く見えるのはなぜかを考えてみましょう。あわの中みは空気ですので、あわが白くなっているわけではありません。しかし、氷の中にあわがあると、さしこんだ光がはね返されて(ちょっとむずかしいことばでは、反射(はんしゃ)と言います)くるので、そこにあわがあることがわかります。この光をはねかえす小さなあわが、氷の中にたくさんあるときは、一つのあわではねかえされた光が、近くにあるほかのあわで、またはねかえされるということが、おこります。こうすると、光がいろいろな向きにはねかえされることになって、あわがたくさんあつまったところが、白く見えるようになるのです。これを、光の散乱(さんらん)とよびます。

 ところで、冬になると、空から真っ白な雪がふってきます。つもった雪もまっ白ですね。この雪は、小さな氷のつぶでできていることは、知っていますね。氷はとうめいですので、雪をつくっている氷のつぶを一つだけとりだすと、やっぱりとうめいで、白くはありません。しかし、この氷のつぶがたくさんあつまると、そこにさしこんだ光がいろいろな方向にはねかえされて、白く見えるようになるのです。氷の中のあわが白く見えるのと、そのしくみは同じですね。

 何かが白く見えるからと言って、それがいつも白いものでできているというわけではないというのは、とてもおもしろいですね。

 

(回答掲載日:2024年4月26日)

#氷#氷の不思議
Q63

結晶について

日常だったらどうやって作れますか。( まーさん / 石川県・12歳)

  雪の科学館では、雪や氷の結晶のことを皆さんに紹介していますが、私達の身の回りを見渡してみると、雪や氷以外にもいろいろな種類の結晶があります。例えば、台所にある塩も結晶です。塩の結晶は、虫眼鏡で見てみると簡単に観察することができます。また、濃い塩水を作ってお皿に入れてそのまま何日か置いておくと、水面に小さな塩の結晶ができるのを観察することもできます。これは、水分が蒸発して塩水の濃さがまして、塩が結晶として出てくるからです。

 さらに身の回りのものでは、氷砂糖なども結晶です。おやつに食べるチョコレートも結晶でできているのですよ。粉末の薬なども、小さな結晶の粒でできているものがたくさんあります。また、お母さんの持っている宝石なども、自然の中で作られた鉱物の結晶をきれいに削ったものでできています。さらには、テレビとかスマートフォンなどの電子機器には、いろいろな半導体と呼ばれる結晶が使われています。

 このように、私たちの身の回りには、さまざまな種類の結晶がありますが、これらを作るのは簡単ではありません。冷凍庫で水を冷やすだけで作れる氷の結晶は、実はもっとも簡単に作れる結晶なのです。

(回答掲載日:2023年2月14日)

その他の現象 #結晶#雪#氷

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