雪と氷のQ&A
タグ:氷のつくりかた
カラフルな氷は作れますか?
娘が氷に色をつけたいと言い、絵の具や食紅を入れて凍らせてみましたが綺麗にできませんでした。成功する方法はあるのでしょうか。(山崎景子さん / 東京都・43歳)
氷にカラフルな色を付けることができたら、楽しいですね。しかし、残念ながら氷そのものに色を付けることはできません。それは、氷は水分子が立体的に規則正しく並ぶことでできた結晶で、この結晶の内部には絵の具や食紅などの成分は入ることができないからです。結晶の中に入るには、規則正しく並んだ水分子を無理やり押しのけないといけません。これはとても困難なことで、空気中の酸素や窒素などの分子でも、結晶の中には入り込むことができません(本Q&AのQ4やQ14の回答も参照して下さい)。このため、水に絵の具や食紅を入れて凍らせても、氷ができるときに氷の外に押し出されてしまい、氷には色がつかないのです。
しかし、凍った食品であるシャーベットやアイスクリームなどには、きれいな色がついているものがありますね。これらは、いろいろな工夫をして含まれている氷ができるだけ小さな粒になるようにしているのです。氷の粒(一つの氷の結晶)の中身にはもちろん色を付けるものは入っていません。しかし、氷の粒の表面や粒と粒とのすき間などには、これらのものを貯めておくことはできます。この原理を使うと、できるだけ氷の粒を小さくすることで、食品全体として色をつけることができるのです。
家庭でも、アイスクリームやシャーベットは作ることができますね。このときのコツは、原料を冷やしながらよくかき混ぜることだと思います。かき混ぜることで、水分が凍るときに、氷の粒があまり大きくなる前に細かく砕かれてしまったり、たくさんの氷の粒が新たに作られたりします。「できるだけ氷の粒を小さく保ちながら、全体を凍らせる」ということが、全体として色をつけることに結びつくのです。繰り返しになりますが、あくまで氷の粒(すなわち、結晶)そのものには色はついていないことに、注意してください。
(回答掲載日:2021年3月30日)
氷生活・文化 #実験#氷のつくりかた#氷の不思議透明な氷のつくりかた
一度、沸騰させた水で氷を作ると透明度が高くなるのはなぜですか?他に、透明な氷をつくる良い方法はありますか?(かほくのアマビエさん / 石川県・38歳)
通常、水には空気が大量に溶け込んでいますので、それを凍らせると空気は気泡として氷の中に取り込まれてしまいます。このため、氷は白く濁って透明度が低くなってしまうのです。
水を冷やす前にいちど沸騰させると、水に溶けた空気は追い出されてしまいます。このため、気泡として取り込まれる空気の量が少ないので透明度が高くなるのです。透明な氷を作る工夫はこの他にもいろいろありますが、どの方法も氷に取り込まれる気泡の数を減らす工夫です。
まず、水をゆっくり冷やすと、氷ができる速度も遅くなります。このため凍る時に気泡が発生してもすぐに逃げてしまい、氷には取りこまれないようになります。家庭の冷凍庫で氷を作るときは、沸騰させた水を使うことはもちろんですが、製氷皿の下に熱を伝えにくいものを敷く、あるいはタオルで製氷皿を包むなどをすると、氷がゆっくり出来ますので気泡の少ない透明な氷になります。しかし、氷を作るのにかかる時間は大幅に延びてしまいます。
また、凍る時に発生した気泡が逃げやすくするためには、水の容器全体を均等に冷やすのではなく、ある一定の方向に凍らせることも有効です。氷屋さんで売っている氷は、全く気泡がなく非常に透明です。これは、工場でできるだけ時間をかけて、一定方向からゆっくり凍らせることで、気泡を入りにくくしているのです。
また、水をかき混ぜるなどの方法で、発生した気泡を素早く取り除いてしまうなどの工夫もされています。
(回答掲載日:2020年8月17日)
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