雪と氷のQ&A
タグ:生態

Q92

冬眠の不思議

冬眠中、体温を保つためにエネルギーが必要かと思いますが、眠っているとどんどん体力が低下しませんか?冬眠中の生きものは意識があるのでしょうか。メカニズムが知りたいです。(ジャニさん / 石川県・13歳)

 寒い冬になると、熊(哺乳類)、カエル(両生類)、カメやトカゲ(爬虫類)など、さまざまな動物が冬眠に入るというのは、とても不思議で興味深いですね。冬眠のしくみや冬眠中の動物の様子など、私も知りたいことがたくさんあります。また、映画の世界などでは、将来人間が長期間の宇宙旅行をするときに、人工的に冬眠の状態になるという話などもあります。本当にそんな事ができるのかも知りたいですね。しかしながら、私は物理学が専門ですので、今回頂いたご質問には確かなお答えをすることができません。ごく一般的な回答ですが、お許しください。

 冬眠をする動物としては、最近人里への出没が話題になる熊が、特によく知られています。熊は、秋の実りの時期に栄養のある食べ物を大量に摂取して体に栄養分を蓄えてから冬眠に入ると言われています。冬眠中は、この蓄えた栄養分をエネルギー源として、体力を維持し体温も保っていると考えられます。もちろん、蓄えた栄養分を消化してくると体力もだんだん低下するはずです。春の冬眠明けの熊はやせ細っているという話は、よく耳にしますね。また、熊は、冬眠中に出産をして子育てをします。冬眠中とは言っても、決して眠りこけて意識がないわけではないと想像できます。一方で、シマリスやコウモリなどの小型の動物では、冬眠中は体温が大きく下がって全く身動きできなくなるそうです。こうした状態では、いわゆる私たちが考えるところの「意識はない」状態になっていると考えられています。一口に冬眠と言っても、動物ごとにさまざまな事情があり、まだまだ分からないことがたくさん残されているようですね。ぜひ、これからも興味を持ち続けて、調べてください。

 ところで、中谷宇吉郎雪の科学館は、北海道大学の低温科学研究所と連携協定を結んでいます。この低温科学研究所には、冬眠の研究で有名な山口良文先生がいらっしゃいます。先生の研究室は、少し難しいですが「冬眠代謝生理発達分野」と呼ばれ、哺乳類の冬眠の仕組みを明らかにするための研究を行っています。研究室名に「冬眠」がつく世界でも数少ない研究室です。先生の研究室のホームページでは、冬眠についての説明が掲載されていますので、そちらをぜひ参考にしてください。

http://www.lowtem.hokudai.ac.jp/hibernation/

(本回答の作成には、山口先生にいろいろと教えていただきました。)

 

 (回答掲載日:2024年6月1日)

その他の現象 #生態#生き物#冬眠

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