雪と氷のQ&A
タグ:雪の不思議

Q45

人工の雪と自然の雪の違い

10歳の娘の質問です。人工の雪と自然の雪って何が違うか教えてください。(まきママさん / 福井県・38歳)

 雪が不足したスキー場などで、人工雪でゲレンデを整備したという話はよく聞きますね。どうやって作っているのか、そして自然に降り積もった雪とどう異なるのでしょう。

 まず、自然の雪というのは、空から降り落ちた雪の結晶が降り積もってできることは、説明するまでもありません。枝がたくさんのびて複雑な形をした雪の結晶が降り積もるので、自然の雪はふわふわの状態で、とても軽いものです。特に気温の低い高山や北海道などでは、本当に羽毛のようにふわふわの雪になって、パウダースノーなどと呼ばれることもあり、スキーヤーやスノーボーダーのあこがれです。

 一方、人工の雪は、見た目は自然の雪のように真っ白ですが、その作りかたは全く異なります。いくつかの方法がありますが、ひとつは氷屋さんで売っているような硬い氷の固まりを砕いて小さな氷の粒を作り、それを撒きちらすことで積もらせるものです。つまり、大量のかき氷を作って敷き詰めたようなものですね。もう一つは、大気が冷え込んで気温が氷点下になったときに、水をノズルから霧状に噴射させる方法です。噴射された水は小さな水滴となり、冷えた大気で急激に冷やされます。すると、水滴が地面に落下するまでの間に凍りついて、球形の氷の粒となって地面に降り積もります。(注)

 このいずれの方法でも、降り積もっているのは氷の小さな粒ですので、積もった雪は自然の雪のようにふわふわにはなりません。したがって、人工の雪は、できた最初からかなり固い雪になっています。自然の雪のような、軽くてふわふわな状態は作ることができません。

この人工の雪は、スキー場などでまだ自然の雪が十分降り積もっていないときなどに使われて、スキーヤーには喜ばれます。しかし、人工の雪を作るには大量の水や電力が必要ですので、環境に優しいとは言えませんね。スキーは、本来自然に積もったふわふわの雪の上を、さっそうと滑って楽しむスポーツですので、少し考えさせられますね。

(回答掲載日:2022年3月8日)

(注:ちなみに、スキー場などの人工雪では、氷を砕く方法の装置を人工造雪機、水を噴霧する方式の装置を人工降雪機と呼んで、区別しているようです。)

#人工雪#雪の不思議
Q37

雪の溶け方

大雪が降った後の二日後に見かけたものです。誰も踏まれていない路面の雪が溶け、泡泡のようなとてもかわいい形になっています。指で突くと、とても薄くてすぐに破れました。なんで雪が溶けると、こんな形になるんでしょうか?(ナナハチさん / 東京都)

 最初に、氷屋さんで売っているような透明な氷の塊を急いで溶(融)かしたいときにどうするかを考えてみましょう。塊のままでおいておくとなかなか溶けませんが、塊を砕いて小さな粒にすると早く溶けます。これは、氷が溶けるときには必ず塊の表面から溶けるからで、同じ氷の量で較べると粒が小さいほど表面がたくさんあるので、早く溶けることになります。さらに、最初はギザギザした形の氷の塊を溶かすと、溶けるとともに全体に丸みを帯びてくるということもよく経験することです。これは、粒の尖ったところほど溶けやすいという性質があるからです。

 さて、ご質問にある積雪は、雪の結晶が降り積もったものですので、小さな氷の粒でできています。したがって、積もったあとで気温が0℃以上になると、表面から溶け出すことになります。表面ほど溶けやすいはずですので、小さな雪の粒は更に小さくなっていきます。また、雪が溶けない氷点下の気温であっても、小さな氷の粒は直接水蒸気へと蒸発(科学的には、“昇華”と呼ぶのが正しいのですが、ここでは分かりやすく蒸発を使います)し、溶ける場合と同じように表面が多いほど蒸発しやすくなります。こうして、積もった雪の粒は、時間とともに小さくなり、やがて消えていくのです。このような過程で、泡が重なったようなかわいらしい形が現れたと考えられます。さらに、溶けたり蒸発したりすることで、雪粒どうしの結びつきが弱くなるので、指でつつくと簡単に壊れてしまうのです。

(回答掲載日:2022年1月31日)

#自然現象#雪の不思議
Q36

雪の気配

明日は雪が降るよ、という予報が流れた日は、あたりがしんと静まり返っていて、誰もいないような気がします。雪には気配というものはあるのでしょうか?(hiraさん / 東京都)

「気配」という言葉は、科学の世界では使いませんので、「予兆(あるいは、前兆)」などで置き換えて考えてみましょう。最近では、地震の発生や火山の噴火などの自然現象が起きる時に、予兆があるかどうかが議論されたりしますので、ときどき耳にする言葉かと思います。さて、ご質問の「雪が降る」という現象にもこのような予兆があるかと言うと、その可能性は小さいと思われます。天気予報も、地球の大気の動きなどを予測して、未来の天気の変化を予報するもので、予兆とは異なります。しかし、東京のように一冬に一、二度しか雪が降らない地域では、普段は現れない特別な気象条件になっていることが多いかと思います。すなわち、少なくとも雪が降るには気温が氷点下、あるいはプラスでも0℃に非常に近い状態になっている必要がありますし、天候の悪化に向けて気圧が急に下がるなどということもあると思います。このような急激な気象変化があると、体調の変化を感じたり、普段とはどこか違うという感覚を持つ方もいます。

 この質問に回答するにあたり、東京や加賀市に住む何人かの人に、雪が降る前になにか普段と違う感じがするかどうか聞いてみました。多くに皆さんは、あまりそのような感じはしないということでした。しかし中には、「「雪が降る」という予報がでるのは東京ではかなり珍しいので、なんとなく周囲もそわそわして「早く帰らなきゃ」という雰囲気になったり、帰り道でいつもとは段違いの冷え込みと静けさを感じた記憶があります。」と回答をくださった方がいます。質問者の方が感じられたことも、おそらくこのような感覚ではないかと思います。

 一方、雪が積もってしまうと、あたりがとても静かになった感じがするというのは多くの方が経験されることと思います。これは、積もった雪が音の伝わりや反射を弱めるためと考えられます。詳しい説明は、Q30の回答を参照してください。

(回答掲載日:2022年1月31日)

#雪と音#自然現象#雪の不思議
Q32

雪の結晶の名前

雪の結晶の形の名前はどのように付けたのか教えてください。(かたかたさん / 長野県・10歳)

 雪の結晶の形には、いろいろな名前がつけられていて、覚えきれないほどですね。しかし、名前のつけ方には、特に決まりや約束があるわけではなく、その形の特徴をとらえて名前がつけられていると思います。たとえば、雪の結晶の最も典型的な形は、樹枝状結晶と呼ばれるものです。これは、6本の枝がそれぞれ樹木の枝のような形をとることで名づけられています。樹枝状結晶のことは、英語ではデンドライトと言います。これは、もともと岩石などの内部に見られる樹の枝のような模様のことを呼ぶ言葉です。これが、雪の結晶にも使われるようになったと思われます。しかし、1931年に発行された「Snow Crystals」(W. A. Bentley and W. J. Humphreys、 Dover Pub. C.、 New York)という有名な雪の結晶の写真集の中には、まだデンドライトという呼び方は使われていません。これに変わる言葉として、シダ植物の指す “フェルン、fern”という言葉が、使われています。樹枝状結晶は、シダの葉のような放射状の形を持つので、そのように呼ばれたのでしょう。その後に発表された中谷宇吉郎先生の雪の結晶の分類表(1936年に発表された)には、樹枝状とシダ状の両方が使われています。このように、雪の結晶の形の呼び方も、研究の発展などさまざまな理由で変化するのです。

 しかし、ここで大事なことは、雪の結晶に名前をつけるためには、単に形の見た目の特徴だけではなく、その形ができた過程などを正確に把握していなければならないということです。その名前を聞くだけで、結晶のいろいろな特徴が頭に浮かぶというような名前をつけることができれば、理想的です。極端な話をすると、結晶の形に番号やアルファベットなどの記号を割り振るということも可能です。しかし、これではいちいち結晶の形を説明しないといけません。とても、不便なことになってしまいます。結晶の形に名前をつけるのも、実は慎重でなければならないのです。

(回答掲載日:2021年12月24日)

#雪の不思議
Q31

雪の形状

雪には様々な形がありましたが、雪が作られるときに、一番多い形はなんですか(とうろもこし™さん / 石川県・11歳)

 雪の結晶の形は、結晶ができるときの気温と大気中の水蒸気の量(一般には湿度と言いますが、結晶ができるためには湿度は100%以上でなければいけません。)の条件で決まります。したがって、雪が生成されている上空の雲の中がどのような条件かで、できる結晶の形も変化し、その結晶が一番多い形であると言えます。

 このことは正しいのですが、実際にはそう簡単な話ではありません。まず、雲の中の条件と言っても、雲の上層部と下層部では気温も水蒸気の量も大きく異なります。一般には、上層ほど気温が低くなります。雪の結晶は、このような雲の中を上層から下層に向かって落下しながら生成されますので、結晶のできる条件は時々刻々変化します。このため、私達が地上で観察する結晶の形は、その結晶がどのような経路をたどってきたか、すなわちどのような生成条件の変化を経験してきたかで、大きく異なります。

 しかし、地上で観察する雪の結晶では、いわゆる樹枝状結晶と呼ばれる綺麗な六本の枝が伸びた結晶が多いと思います。これは、マイナス15℃前後の狭い気温条件で生成されます。この樹枝状結晶は、細い枝の先端がどんどん伸びるので、他の温度領域と比べて、結晶のサイズの増加が急速であるという特徴があります。私達が住んでいる地域では、地上の気温が−15度よりも下がることはめったにありませんので、上空の雲の中には必ずこのマイナス15度の気温の領域が存在します。このため、雪の結晶は、落下途中にこの気温の領域を必ず通過することになります。このとき、一気に樹枝状に成長するので、どうしてもこの結晶が観察される機会が多くなると言えます。

 一方、南極などのもっと気温の低い地域では、上空にはマイナス15度という温度領域が存在しない場合もあります。このようなときには、樹枝状結晶はあまり見られず、もっと低温で生成されるような結晶形が増加することもあります。

 このように、その時に降っている雪の結晶のうち一番多い形は、上空の雲の中の条件によって変化するということになります。中谷宇吉郎先生の有名な言葉に、「雪は天から送られた手紙である」というのがあります。これは、上空の雲の中の気象条件が、地上で観察される雪の結晶の形に影響を与えているということを示しています。でも、この手紙を読み取るのは、そう簡単なことではなさそうと言うことがわかると思います。

(回答掲載日:2021年12月24日)

#雪の不思議#雪の形
Q30

雪と音、眠りについて

大雪が降り積もった夜はまわりの音が消えて「しーん」となっている気がします。 また、その翌朝は「いつもより、静かだなぁ」と感じます。 そのせいなのか、よく眠れた気もします。 除雪車の音は確かに聞こえるけれど、音が遠くに聞こえるような感じです。 雪には「防音の働き」があるのでしょうか?(茶々さん / 北海道)

 静かになるとよく眠れるのかどうかは、人それぞれであると思いますが、確かに雪が降っていたり積もっていたりすると、静かに感じられますね。音は空気の振動で伝わりますが、雪が降っていると空気の振動が雪で減衰されてしまうので、音が伝わりにくくなります。しかし、降雪時にとても静かに感じられるときには、いわゆるぼたん雪と呼ばれる粒の大きな雪が降っている場合が多いのではないかと思います。このぼたん雪は、雪の結晶が多数絡み合って降ってくるもので、比較的気温の高い時に見られます。このようなぼたん雪は、空気の振動を減衰する効果が大きいと思われます。このため、とても静かに感じられるのです。私は、北海道に住んでいますが、気温の低い真冬にはぼたん雪を作らず、雪の結晶がバラバラで降ってくることが多くなります。このようなときには、あまり周囲が静かになったという感じがしません。

 また、新雪が積もった朝などは、雪がやんでいてもとても静かに感じられますね。これは、積もった雪にも同じように音を減衰する効果があるからです。

 さて、ご質問の「防音の働き」があるかどうかですが、これは防音をどう捉えるかで答えが変わります。防音とは、音を吸収するだけではなく、音の反射を防ぐような構造にするとか、音を伝えやすい隙間を作らないとか、さまざまな要因が複雑に関連して達成されるものです。したがって、雪の降る夜の静けさと防音の働きは分けて考える必要がありそうです。

(回答掲載日:2021年12月3日)

生活・文化 #雪と音#雪の不思議
Q28

北陸の雪

北陸の雪は水分の多い雪と言われますが、雪の何処に水分を含んでいるのでしょうか。 教えてください。(スノーマンさん / 福井県・15歳)

 北陸の雪は水分が多いと良く言いますが、確かに雪の中に水があるようには見えませんね。

 一つ実験を行ってみてください。かき氷を台所にあるじょうごに入れてみましょう。特にかき氷の中に水があるようには見えなくても,じょうごの出口からは水がしたたり落ちてくるはずです。このときの水は、かき氷がすこしずつ溶けているために出てきた水です。実際は、かき氷の粒の表面は溶け出した水の膜で覆われているはずですが、水も氷もどちらも無色透明ですので、私たちの目には水の膜の存在をなかなか見ることができないのです。北陸の雪は、このかき氷の状態になっていると考えてください。積雪の中でも、雪の粒の表面には目には見えなくても溶けた水分が存在し、溶けた水はすこしずつ下に向かって流れ出しています。北陸の雪は水分が多いというのは、北陸では冬と言っても気温が高いので、雪の粒がすでに溶け始めているために、水分量が多くなっているのです。

 さて、この雪が溶けている状態では、雪の温度は0℃になっているはずですね(本Q&AのQ23の回答も参考にしてください)。では、雪の温度が0℃以下になったときには、雪の水分は完全に凍ってしまい、無くなってしまうはずですね。しかし、実際には雪が0℃以下になっても、雪の中の水分が完全になくなることはありません。これは、雪粒の表面の性質に関連しています。雪粒の表面、すなわち氷の表面には、温度が0℃以下になっても極めて薄い水の膜が存在しているのです。このような水が存在するので、氷点下になっても雪の中には必ず水分が含まれているということになります。

 ところで、このような現象は表面融解と呼ばれ、この水の膜を擬似液体層と呼んでいます。氷の表面の水は、コップの中の水とはすこしだけその特徴が異なるので、“擬似”という言葉がついています。擬似液体層の存在は、氷の滑りやすさとも関連しています。例えば、スケートは、氷が0℃より低い温度でもとても良く滑ります。床に水をこぼすととても滑りやすくなり危険ですが、これは床に広がった水の膜が潤滑剤の役割をするためです。氷が滑りやすいのも、これと同じく擬似液体層が潤滑剤の役割をするためと考えられています。氷の表面の擬似液体層は、もともと1850年頃に物理学者のファラデーがその存在を予言したものです。それから150年以上がたった現在、私たちは、この疑似液体層が氷の表面で実際にどんな運動をするのかを直接観察することができます。詳しいお話は、このQ&AのQ14の回答に説明がありますので、参考にしてください。

(回答掲載日:2021年8月31日)

生活・文化 #実験#表面融解#雪の不思議
Q27

雪の結晶のそだちかた

雪の結晶が成長する動画を見ました。そこで気付きました。のびていく手の速さがみんなそれぞれすこし違うのに(はやくのびる手があったり、少しおくれてのびる手があったりするのに)、最後はぜったいに同じ長さやかたちになるのはなぜですか。(Kaoriさん / 海外・8歳)

 とてもおもしろいところに気がつきましたね。動画をよく観察してくれていると感心しました。

 そうですね。よく目にする雪の結晶が成長する動画では、手(手の1本1本が木の枝のような形をしていますので、“枝”と呼ぶことが多いです)がのびていく速さがそれぞれ違っていますね。でも、よく写真で見るようなきれいな天然の結晶では、どの手の長さも同じですし、6本の手の形もよく似たものになっています。これは、動画で観察している雪の結晶は、実験室のなかで人工的につくっているものであることと関係しています。天然の雪の結晶のできかたと、人工の雪の結晶のできかたとをくらべてみると、質問のこたえにたどりつけると思います。

 少しむずかしいお話になりますので、ちかくの大人の方といっしょに読んでください。はじめに、雪の結晶は、結晶の周りの空気中にある水蒸気を原料として、だんだん大きくなっていきます(このQ&AのQ21の回答も、参考にしてください)。これを結晶が成長するといいます。すなわち、雪の結晶の6本の手のさきに水蒸気がどれだけ集まるかによって、手ののびる速さが変わるのです。とうぜん、水蒸気がたくさん集まる手のほうが、よりはやくのびることになりますね。

 では、まず天然の雪の結晶のできかたを考えてみましょう。天然の結晶は、上空の雲の中で空中に浮かんだままで成長します。この結晶は、空中で自由に動きまわることができますので、結晶の手に集まってくる水蒸気の量は、6本の手でまったく同じになるはずですね。したがって、せんぶの手ののびる速さが同じになります。このため、結晶が大きくなったときも、6本の手の長さや形がおなじになるはずですね。

 いっぽう、映像で見ている人工の雪の結晶では、結晶を細い糸などにつるして成長させます。こうしないと、結晶は下に落ちてしまいますので、成長の様子を観察することができません。すなわち、糸につるされた結晶は、天然の結晶のように自由に動き回ることができないのです。このため、6本の手の先に集まってくる水蒸気の量は、手によってどうしても少しずつの違いが出てきてしまうので、ながい手やみじかい手ができてしまうのです。

 このように、人工的につくった雪の結晶と天然の雪の結晶では、すこしだけですができるときのようすがちがいます。これが、結晶の手の長さや形のちがいを生みだしているのです。中谷宇吉郎先生が世界で初めて人工的に雪の結晶を作ることに成功してから、すでに80年以上になります。しかしそれでも、雪の結晶が成長するしくみや形が決まるしくみには、まだ明らかになっていないたくさんの謎が残されています。これからも、雪の結晶に興味を持っていてくださいね。

(回答掲載日:2021年8月31日)

#人工雪#結晶の不思議#雪の不思議
Q26

雪を踏むと出る音

雪を踏むと出る音がちがうのはなぜですか?(ユーミンさん / 福井県・8歳)

 積もった雪を踏むと、いろいろな音がでますね。ふんわりと積もった降ったばかりの雪ではあまり音は出ないですが、積もってから時間がたって“ざらめ”のようになった雪ではザクザクとした音がでます。また、気温がとても低くてこまかな雪の粒がかたく積もっているときには、キュッキュッというかなり高い音が出たりします。このような音は、積もった雪の粒と粒がこすりあってでると考えられ、こすれあう雪の粒の大きさやかたさなどによって、出てくる音もさまざまに変わります。

 まず、ざくざくという音は、かなり大きくて硬いつぶつぶでできた雪のときにでることが多いでしょう。砂浜の海岸を歩くとき、砂がかわいているとけっこう大きなザクザク音がしますが、砂がぬれているときにはあまり音がしないですね。乾いた砂では砂粒と砂粒がこすれあって音が出ますが、ぬれた砂では砂粒の表面にある水のために砂粒が滑りやすくなっていて、音が出にくくなるからです。じつは、雪の粒でも同じようなことがおこります。ザクザク音も気温が高くて雪粒がすこし溶けているとあまり音が出ませんが、寒くなって雪粒の表面まで完全に凍っていると音が出やすくなります。

 また、気温がもっと低いときには、積もった雪の粒も小さくなり、雪粒の表面も完全に乾いているので、雪粒と雪粒がこすれて、キュッキュッというすこし高い音がでます。台所にある小麦粉の袋を外側から押すと、キュッキュッという音が聞こえることがあります。これも小さな小麦粉の粒どうしがこすれあってでてくる音で、雪の音と同じしくみですね。

 ユーミンさんは福井県にお住まいですね。こんどの冬に雪が積もったら、気温や雪のようすが変わると、じっさいにどんな音がでてくるのかを聞きわけてみてください。

(回答掲載日:2021年8月31日)

その他の現象 #雪と音#雪の不思議#雪質
Q21

雪結晶の大きさについて

天然で観察された雪結晶の最大の大きさはどの位ですか。また、人工雪ではどの位まで大きいものがつくれますか。大きさをきめるものは何ですか。(ゆきんこさん / 新潟県)

 手のひらにのるような大きな雪結晶が空から降ってきたら楽しいですね。しかし、私たちの地球上ではこんな大きな結晶は、残念ながら降ってきません。天然で見られる最も典型的な樹枝状結晶でも多くは直径2〜3ミリで、最大でも7〜8ミリ程度の大きさです。私も何度も北海道の大雪山で雪結晶の観察を行いましたが、やはりこのサイズより大きいものは見たことがありません。そのほかのさまざまな形の雪結晶は、これよりもずっと小さいのが普通です。

 この結晶の大きさは、どのようにして決まるのでしょうか?雪結晶は、上空の雲の中で生まれた小さな氷晶(大きさは1/100ミリ以下)が、そのまま落下しながら周囲の水蒸気を集めて大きくなる(成長する)ことで生成されます。したがって、地上で観察される結晶の大きさは、結晶が大きくなる速度(成長速度)と成長にかかった時間(氷晶の誕生から地上に達するまでの時間)との積算で決まります。成長速度は、結晶周囲の温度や水蒸気量、さらには結晶の特性などさまざまな条件で変化します。また、成長時間は、氷晶が誕生してから雪の結晶として地上に達するまでの時間とすると、せいぜい1時間程度と推測されます。これらから結晶の大きさを推定すると、成長速度がもっとも大きい樹枝状結晶でも、最大で直径10ミリ程度までが限界です。

 では、人工の雪結晶ではどうでしょうか?この場合も、成長速度と成長時間の関係で大きさが決まるのは同じです。したがって、天然の結晶よりも長い時間成長させることができれば、もっと大きな結晶を作ることは不可能ではありません。もし国際宇宙ステーションの内部で実現される無重力の環境で、結晶を長時間空中に浮かべたままで成長させることができたならば、原理的にはいくらでも大きな結晶を作ることができます。しかし、そのためには、巨大な成長装置を用意するなど別な制約が加わりますので、実現するのは簡単ではありません。

 一方、雪結晶と同じように水蒸気から成長する霜の結晶では、もっと大きいものがしばしば目撃されます。たとえば、冷凍食品を保存するような冷凍倉庫の中では、手のひらの大きさにもなる霜の結晶が成長することがあります。霜の結晶の成長速度は小さいのですが、落下しないので何週間、あるいは何ヶ月もの長いあいだ成長を継続できます。こうすると、多少成長速度が遅くても巨大な結晶が生成できるのです。

【樹枝状結晶】 撮影:古川 義純

(回答掲載日:2021年5月15日)

#人工雪#自然現象#雪の不思議
Q19

雪が青や緑に見える条件について

大雪が降った日に雪が青く見えました。とても不思議に思って雪の表面や中心部、地面近くなどの温度やその雪の状態を記録しました。その時の雪の表面の温度(青く見えた部分)は-23度でした。 そして2回目の雪が青く見えて多く雪が降った日にも記録しました。温度は-5度と1回目の記録と比べてみて降り積もった雪の温度は雪が青く見える理由とあまり関係がなかったと言うことがわかりました。2回目の大雪の記録をつける時に固めた雪と固めていない雪とで青く見えるのかということを比べてみました。すると固めた雪は緑色に見えました。同じ場所でも湿度などの条件を揃えられていなかったので結果が正しいのか分かりませんが、雪の密度が関係しているではないかと思いました。 雪は本来色がついておらず透明で光の反射や吸収により青い光を反射すると言う事は分かるのですがなぜ青く見えるのか、その条件は何なのかと言う事を知りたいです。(Machiさん / 富山県・11歳)

 雪といえば真っ白なイメージですが、それが青く(時には、緑色に?)見えることがあるというのは、不思議ですね。質問の中にある「雪は本来色がついておらず透明で光の反射や吸収により青い光を反射する」というのを、もう少し詳しく説明しましょう。

 雪が青く見えるという場所は、太陽の光が直接あたっている積雪の表面ではなく、積雪の断面にあいたくぼみのような少し影になった場所だと思います。実際、このくぼみの内側から外の光を透かすように見たときに、青みがかかって見えることが多いはずです。すなわち、この青い光は、積雪の中を透過してきた光を見た場合にしか見えません。

 さて、積雪は細かな氷の粒の集まりでできています。はじめに、氷を太陽の光(白色光)が透過するときに、光の強さがどう変わるかを見てみましょう。太陽からの光をガラスのプリズムで屈折させると、赤い光から紫の光まで7色に別れますね。光は波の性質を持っていますので、この色の違いは光の波長に対応しています。氷は無色透明と言いますが、実際には完全に透明ではなく、入射した光はごくわずかですが氷に吸収されます。この光が吸収される割合が、光の波長(すなわち、光の色)によって異なります。実際は、赤い(波長の長い)光のほうが青い(波長の短い)光よりも、吸収されやすいという特性があります。すなわち、氷の中を通過する太陽光(白色)は、赤い光がより早く弱くなることになり、割合として青い光のほうが強くなります。このため、青みがかかるのです。最初に述べたように、積雪も氷の粒でできていますから、光が積雪を通過するときにも、この性質が現れてきます。積雪のくぼみから外を透かして見る場合しか青く見えないのも、理由がわかりますね。

 これと同じ現象は、氷の塊でできた氷河や南極の氷山などでも見ることができます。この場合は、まさに氷の塊の中を光が通過しますので、青い光の成分の割合より多くなり、積雪の場合よりもっと青みがかかって見えることがあります。また、水中が青く見えるというのも同じ原理です。イタリアのカプリ島には、「青の洞窟」という有名な場所があります。ここは、海岸の切り立った崖の波打ち際にできた洞窟で、その内部に海水が流れ込んでいます。この洞窟の中に入ると海水が真っ青に輝くことで、この名前がついています。これは、太陽光が海水を通過して洞窟の入口から内部に差し込むときに、赤い光の成分が海水に吸収されやすいためにおきる現象です。氷と海水の違いはありますが、どちらも同じ原理で青く見えているのです。

 最後に、積雪が青く見える条件ですが、氷を通過する光の吸収は特に温度による大きな変化はありません。また、積雪の密度が高いと光の散乱(散乱は氷の表面での反射が主な原因で、青く見えることと直接は関係ありません)のため、通過してくる光の強さは素早く減少します。しかし、一方で密度が高いと、氷の粒の中を通過する長さは増えるはずで、より青みがかかることになります。両方の効果が複雑に関係しますので、その条件を明確に述べることは困難です。

(回答掲載日:2021年3月30日)

その他の現象 #光#雪の不思議#雪の色
Q17

雪は食べちゃダメですか?

雪はおいしそうなのに、お母さんは食べたらダメだといいます。 なぜ雪は食べてはいけないのですか?(カオリさん / 石川県・6歳)

 ふったばかりの雪は、まっしろでふわふわしていて、食べたらおいしそうですね。雪とおなじようなかきごおりは、食べてもへいきなのに、雪は食べてはいけないのはちょっとふしぎですね。でも、お母さんのいっていることは、正しいです。

 それは、そらからふってきた雪は、くうきのなかにうかんでいる小さなゴミなどをたくさんくっつけているからです。もしこんど雪がつもったら、きれいなコップに雪をつめて、とかしてみてください。そのとけた水をよく見ると、小さなゴミがうかんでいるのが見えるはずです。ゴミが見えなくても、水にとけてしまうものがはいっているかもしれません。ですので、そらからふってきた雪は、あまりきれいとはいえません。お母さんがいうとおり、食べてはいけません。

 さいしょにおはなしをしたかきごおりは、きれいな水をれいとうこでこおらせてできたこおりをけずってつくります。雪とちがって、かきごおりにはゴミははいっていませんので、おいしく食べることができるのです。でも、食べすぎておなかをこわさないようにしてくださいね。

(回答掲載日:2021年3月23日)

#雪の不思議
Q16

雪と氷のちがい

雪と氷の違いは何ですか? 細かい氷が雪と呼ばれるのですか?( ジェットストリームさん/石川県 )

 まず、雪も氷もH2O(1個の酸素原子(O)と2個の水素原子(H))という物質の固体(結晶)であるということから説明を始めましょう。H2Oに限らず、様々な物質は、温度と圧力によって液体であったり固体であったり、そして気体であったりします。この、温度と圧力の条件で、物質がどの状態を取るかを示す図は「相図」と呼ばれて、科学研究の場ではきわめて重要なものです。H2Oの3つの相( 3態とも呼びます)については、それぞれ「水」、「氷」、および「水蒸気」と特別な呼び方で呼ばれます。すなわち、H2Oという物質の固体としては、それがどのようにして出来たか(水が凍ってできたのか、水蒸気が凝華(注)してできたのか)や形状(かたまりなのか、細かな粒状なのか)とは全く関連なく、常に「氷」と呼ばれます。したがって、物質として見た場合は、「氷」という呼び方がより上位の言葉と言えます。

 しかし、最初に述べたように、実際には雪と氷は並列に記載されることも多く、時には混乱を招いていることも事実です。ご質問にあるように、細かい氷が「雪」ということもできますが、氷を削って作ったかき氷は、細かな粒の氷であっても雪とは呼びません。 

一般には、そのできかたによって区別していることが多いように思われます。すなわち、水蒸気からできた氷の結晶を「雪」、液体の水が凍ってできた氷の結晶はそのまま「氷」と呼んでいます。雪が降って積もったものは「積雪」と呼び、やはり雪の一種ということになります。

ただ、この区別にも例外がないわけではありません。たとえば、南極やグリーンランドなどで見られる巨大な氷の塊である氷床は、表面に降り積もった積雪がだんだん深くなると、自重で圧縮されて氷に変わります。これは、積雪が圧縮される過程で、その内部でまだ空気の流通(通気性)がある場合は「積雪」と呼び、さらに圧縮されて空気の流通がなくなると「氷」に変わるというように分けられます。すなわち、もともとは水蒸気からできた雪であっても、積雪になって圧縮されると「氷」に変わるということになります。

 このように、雪と氷の違いを明確に分けようとすると、それには当てはまらないものが出てきてしまいます。雪と氷、もともとは同じものですので、これは仕方がないことかもしれませんね。

 

 

(注)逆に、氷が直接水蒸気に変わる場合は「昇華」と言います。水蒸気から氷が生成する場合も、従来は同じ言葉が使われていました。しかし、混乱を避けるために、近年この言葉が提案され徐々に使われるようになっています。

(回答掲載日:2021年3月6日)

#氷の不思議#雪と氷の違い#雪の不思議
Q9

国や場所によって雪の結晶の形は違う?

いろんな形の雪の結晶がありますが、場所によって降る雪の形は違うのですか?たとえば石川県に降る雪はどんな形が多いとかアメリカはこんな形とかあるのですか?(しゅんさん / 石川県・13歳)

  雪の結晶の形は、結晶が生成するときの大気の温度(気温)と水蒸気の量(湿度)によって決まります。雪の結晶は、上空の雲の中で生成されますので、そこでの気温と湿度が形に反映されているのですね。中谷宇吉郎が人工雪の実験をもとに、結晶形と気温・湿度の関係を示したものが良く知られたナカヤ・ダイヤグラム (※画像1) です。

 ご質問にある「場所によって降る雪の形が違うのか」ということですが、異なる場所であっても結晶が生成される雲の中の条件が同じであれば結晶形も同じになりますので、基本的に場所による違いはありません。一方、同じ場所で結晶を観察していても、上空の雲の中の条件は刻々と変化しますので、それに応じて形も変化します。

 中谷宇吉郎は、雪の研究を開始した当初に、北海道の十勝岳で数年の間におよそ3000枚の雪の結晶の写真を撮影しました。そして、それらをもとに、代表的な雪の結晶の形として約40種類に分類しました。その後、多くの研究者が世界各地で雪の結晶の観察を継続しましたが、この中谷の分類表にはほとんどすべての結晶形が含まれていたことが明らかになっています。これは、一つの場所であっても長期間にわたって観察を続ければ、ほとんどすべての雪の結晶形を見ることができることを意味しています。この事実も、雪の結晶が降る場所によって形が異なることは無いということを示しています。

 ただし、例えば南極や北極のように、普通は人が住まないような平均気温が極端に低い場所では、そこでの結晶の成長条件に合った結晶形が降りやすいということは起こります。実際に、南極の昭和基地では、日本やアメリカのような中緯度の地域に降る結晶形とは異なる、特別な形の雪結晶が発見されています。その後の研究で、これらは気温が極端に低いときに生成される結晶形であることも明らかになっています。したがって、これも場所による違いというよりも、場所によって結晶の生成条件が異なっていたという方がより正確ということになります。

(回答掲載日:2020年11月1日)

#結晶の不思議#自然現象#雪の不思議#雪の形
Q7

降雪と大気の湿度の関係について

上空から降ってくる雪の粒は地上付近の気温がある程度高いと溶けて雨になってしまうということは知っていたのですが、地上付近の気温がある程度高くても湿度が高いと氷のまま降ってくるという話を聞きました。この原理について考えてみたのですが上手く説明できなかったので館長さんの説明を聞いてみたいです。よろしくお願いします。(折部やすなさん / 東京都・16歳)

 ご質問にある「地上付近の気温がある程度高くても湿度が高いと氷のまま降ってくる」という現象があることは、私も初めて伺いました。いろいろと考えてみましたが、うまく説明できる理由は見つかりません。

 しかし、これとは逆の現象、すなわち「地上付近の気温がある程度高くても湿度が低いと氷のまま降ってくる」ということであれば、大いに可能です。すなわち、上空から降り落ちる雪の結晶は、落下途中で湿度が飽和点より低くなると昇華(固体である雪の結晶が直接水蒸気に変化する現象)を開始します。昇華のためには大量の熱(昇華熱と呼ばれます)が必要になりますので、その結果として結晶そのものが冷やされ、温度が下がってしまいます。したがって、地上付近で気温が0より高くなっても、結晶の温度はまだ0より低い状態に保たれる場合があり、雪の結晶は溶けずに氷のままで降ってくるということになります。

 大気の湿度が低くなればなるほど昇華は激しく起こりますので、雪の結晶の温度はより大きく下がることになります。これを気温の側から見ると、湿度が低いほど、より気温が高くなるまで雪の結晶が溶けずに降ってくるということになります。気象学の分野では、湿度と降雪との関係について様々な観測や研究が行われています。実際,湿度が50%以下になると、気温がプラス5以上でも雪の結晶は溶けずに降ってくるという観測結果もあります。

 最後に、氷の昇華に必要な熱は、一体どれくらいの大きさでしょうか。例えば、0の氷1gを昇華するために必要な熱は、100gの水の温度を6.8℃上げるために必要な熱とほぼ同じになります。たった1gの氷が昇華するだけで、こんなにたくさんの熱を吸収するのです。昇華による雪の結晶の冷却効果が、いかに大きいかが分かりますね。

(回答掲載日:2020年8月25日)

#昇華#自然現象#雪の不思議
Q3

雪質について

粉雪や玉雪など降雪における雪の状態の差は、どのような構造の差として観察されるのでしょうか。またその差は如何にして生まれるのでしょうか。(きすけさん / 岐阜県・30歳)

 粉雪や玉雪というのは、降雪における雪の呼び方としては科学の世界で使われる言葉ではありませんが、前者はかなり小さな雪粒がバラバラで降っている状態、後者は多数の雪粒がくっついて一塊になって降っている雪を示すと思われます。

 上空の雲の中で生まれた雪の結晶は、雲の中で水蒸気を集めて落下しながら成長し、やがて地上に達します。このとき、地表付近の気温がまだ充分に低く氷点下の場合は、雪の結晶はそのままバラバラの状態で地上に達します。これが粉雪の正体です。

 一方、地上付近の気温が0℃前後になると、雪の結晶の表面は薄い水の膜で覆われた状態になります。このような結晶が落下の途中で衝突すると、水膜を通して互いにくっつき、少し大きな雪粒になります。このような雪粒どうしの衝突が繰り返し起きると、最後には数百個もの雪の結晶が一塊になった巨大な雪粒が生成されます。これは、いわゆるボタン雪と呼ばれるもので、大きなものは数センチにも達し、降っている時には玉のように見えますので、これを玉雪と呼んでいるものと思います。

 それでは、なぜ気温が高いと雪粒どうしがくっつき合うのでしょうか。氷の粒である雪は0で溶けます。したがって、温度がプラスになると雪は半分溶けて濡れた状態になります。さらに、気温がマイナスであっても0に近いと、氷の表面は薄い水の膜で覆われていると考えられています。雪粒の表面にこのような水膜が存在すると、雪粒どうしが衝突すると、水膜を通してくっついてしまうのです。海岸で砂の像を作る時に乾いた砂ではうまく作れませんが、湿った砂では簡単に作ることができます。これも、砂粒の表面に水の膜があると砂粒どうしがくっつき易くなるからです。積もった雪でも、気温が低いとパウダースノーになったり雪だるまが作りにくくなったりします。これも雪粒の表面での水膜と関係しているのです。

(回答掲載日:2020年8月12日)

#自然現象#雪の不思議#雪の形#雪の種類
Q2

雪の結晶パターン

雪の結晶には色々なパターンがあるのはなぜですか。(224さん/神奈川県・12歳)

 雪の結晶は、ひとつひとつ形(パターン)が異なっているとよく言われます。とても不思議ですね。これは、雪の結晶がどのようにしてできるのかに関係しています。

 雪の結晶は、上空の雲の中に目に見えないほどの小さな氷の粒である雪の赤ちゃんが生まれることから始まります。この雪の赤ちゃんは、雲の中を落下しながら、周りの水蒸気を吸収して徐々に大きく成長します。そして、雲の下にいる私たちの目に触れる頃には、目に見えるほどの大きさになっているのです。

 この時に、雪の結晶がどんな条件で大きくなったかで結晶の形は違ってくるのです。雲の中を落ちてくる結晶は、ひとつひとつその道筋が異なりますので、結晶ができる条件も結晶ごとに異なるはずですね。

 私たちが目にする結晶は、すでに長い道筋をたどって成長してきたものですので、いろいろなパターンの結晶が観察されるのです。

(回答掲載日:2020年7月31日)

#結晶の不思議#雪の不思議#雪の形
Q1

雪に色はある?

雪の色は当たり前に白いと思っていますが本当に白いのでしょうか。雪に色がないのはなぜですか?(yo-yoさん/東京都・45歳)

 雪と言えば白いものの代表格ですが、雪を作っているものは小さな氷の粒ですので、それ自体は無色透明です。氷の粒がたくさん集まると白く見えるのですが、その理由は簡単ではありません。

 光が氷の小さな粒に当たると、いろいろな方向に反射します。反射した光は、またすぐそばにある氷の粒に当たり、さらにいろいろな方向に反射します。このような過程を繰り返すと、雪全体では光を様々な方向に乱反射することになります。

 一方、光は波の性質を持っていますので、太陽からの光はいろいろな波長の光の集合体です。いろいろな波長の光が均等に混じり合っていると、私たちの目には白く見えます。したがって、小さな氷の粒の集合である雪は、太陽からくる様々な波長の光を乱反射させるので、白く見えるのです。

 私たちの身の回りには、雪以外にも白く見えるものはたくさんあります。例えば、空に浮かぶ雲は、無数の小さな雲粒が集合してできています。この雲粒は、水滴ですので無色透明ですが、これらに太陽光が当たると雪と同じように乱反射するので白く見えます。

 雪の科学館の中庭の「グリーンランド氷河の原」では、人工の霧を見ることができます。霧が白く見えるのも、雲の白と同じしくみなのです。

(回答掲載日:2020年7月31日)

生活・文化その他の現象 #光#雪の不思議#雪の色

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