雪と氷のQ&A
タグ:雪の色
雪が青や緑に見える条件について
大雪が降った日に雪が青く見えました。とても不思議に思って雪の表面や中心部、地面近くなどの温度やその雪の状態を記録しました。その時の雪の表面の温度(青く見えた部分)は-23度でした。 そして2回目の雪が青く見えて多く雪が降った日にも記録しました。温度は-5度と1回目の記録と比べてみて降り積もった雪の温度は雪が青く見える理由とあまり関係がなかったと言うことがわかりました。2回目の大雪の記録をつける時に固めた雪と固めていない雪とで青く見えるのかということを比べてみました。すると固めた雪は緑色に見えました。同じ場所でも湿度などの条件を揃えられていなかったので結果が正しいのか分かりませんが、雪の密度が関係しているではないかと思いました。 雪は本来色がついておらず透明で光の反射や吸収により青い光を反射すると言う事は分かるのですがなぜ青く見えるのか、その条件は何なのかと言う事を知りたいです。(Machiさん / 富山県・11歳)
雪といえば真っ白なイメージですが、それが青く(時には、緑色に?)見えることがあるというのは、不思議ですね。質問の中にある「雪は本来色がついておらず透明で光の反射や吸収により青い光を反射する」というのを、もう少し詳しく説明しましょう。
雪が青く見えるという場所は、太陽の光が直接あたっている積雪の表面ではなく、積雪の断面にあいたくぼみのような少し影になった場所だと思います。実際、このくぼみの内側から外の光を透かすように見たときに、青みがかかって見えることが多いはずです。すなわち、この青い光は、積雪の中を透過してきた光を見た場合にしか見えません。
さて、積雪は細かな氷の粒の集まりでできています。はじめに、氷を太陽の光(白色光)が透過するときに、光の強さがどう変わるかを見てみましょう。太陽からの光をガラスのプリズムで屈折させると、赤い光から紫の光まで7色に別れますね。光は波の性質を持っていますので、この色の違いは光の波長に対応しています。氷は無色透明と言いますが、実際には完全に透明ではなく、入射した光はごくわずかですが氷に吸収されます。この光が吸収される割合が、光の波長(すなわち、光の色)によって異なります。実際は、赤い(波長の長い)光のほうが青い(波長の短い)光よりも、吸収されやすいという特性があります。すなわち、氷の中を通過する太陽光(白色)は、赤い光がより早く弱くなることになり、割合として青い光のほうが強くなります。このため、青みがかかるのです。最初に述べたように、積雪も氷の粒でできていますから、光が積雪を通過するときにも、この性質が現れてきます。積雪のくぼみから外を透かして見る場合しか青く見えないのも、理由がわかりますね。
これと同じ現象は、氷の塊でできた氷河や南極の氷山などでも見ることができます。この場合は、まさに氷の塊の中を光が通過しますので、青い光の成分の割合より多くなり、積雪の場合よりもっと青みがかかって見えることがあります。また、水中が青く見えるというのも同じ原理です。イタリアのカプリ島には、「青の洞窟」という有名な場所があります。ここは、海岸の切り立った崖の波打ち際にできた洞窟で、その内部に海水が流れ込んでいます。この洞窟の中に入ると海水が真っ青に輝くことで、この名前がついています。これは、太陽光が海水を通過して洞窟の入口から内部に差し込むときに、赤い光の成分が海水に吸収されやすいためにおきる現象です。氷と海水の違いはありますが、どちらも同じ原理で青く見えているのです。
最後に、積雪が青く見える条件ですが、氷を通過する光の吸収は特に温度による大きな変化はありません。また、積雪の密度が高いと光の散乱(散乱は氷の表面での反射が主な原因で、青く見えることと直接は関係ありません)のため、通過してくる光の強さは素早く減少します。しかし、一方で密度が高いと、氷の粒の中を通過する長さは増えるはずで、より青みがかかることになります。両方の効果が複雑に関係しますので、その条件を明確に述べることは困難です。
(回答掲載日:2021年3月30日)
雪その他の現象 #光#雪の不思議#雪の色雪に色はある?
雪の色は当たり前に白いと思っていますが本当に白いのでしょうか。雪に色がないのはなぜですか?(yo-yoさん/東京都・45歳)
雪と言えば白いものの代表格ですが、雪を作っているものは小さな氷の粒ですので、それ自体は無色透明です。氷の粒がたくさん集まると白く見えるのですが、その理由は簡単ではありません。
光が氷の小さな粒に当たると、いろいろな方向に反射します。反射した光は、またすぐそばにある氷の粒に当たり、さらにいろいろな方向に反射します。このような過程を繰り返すと、雪全体では光を様々な方向に乱反射することになります。
一方、光は波の性質を持っていますので、太陽からの光はいろいろな波長の光の集合体です。いろいろな波長の光が均等に混じり合っていると、私たちの目には白く見えます。したがって、小さな氷の粒の集合である雪は、太陽からくる様々な波長の光を乱反射させるので、白く見えるのです。
私たちの身の回りには、雪以外にも白く見えるものはたくさんあります。例えば、空に浮かぶ雲は、無数の小さな雲粒が集合してできています。この雲粒は、水滴ですので無色透明ですが、これらに太陽光が当たると雪と同じように乱反射するので白く見えます。
雪の科学館の中庭の「グリーンランド氷河の原」では、人工の霧を見ることができます。霧が白く見えるのも、雲の白と同じしくみなのです。
(回答掲載日:2020年7月31日)
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