雪と氷のQ&A
タグ:雹

Q53

過冷却水

家の冷凍庫で何度か挑戦したけど上手く出来ませんでした。成功のコツを教えてください。(かえでさん / 石川県・10歳)

 水を冷やすと0℃以下になっても凍らずに液体のままでいるのは、とても不思議ですね。しかし、0℃以下では、水は本来氷になっているのが普通ですので、過冷却した水は今にも凍ってしまうのをギリギリの状態で耐えていると言うことができます。このため、少しでも過冷却した水の容器を振動させたりすると、すぐに氷ができてしまいます。また、水を入れた容器の表面に細かな傷がついていたり、水中にゴミなどが含まれていたりすると、そこからも氷ができてしまいます。こうして、あっという間に水全体が凍ってしまい、過冷却の状態を保つことが難しくなります。

 家庭の冷凍庫で水を冷やして過冷却水を上手に作ることは、そう簡単ではありません。なぜなら、ドアを開け閉めするだけでもかなり大きなショックが加わりますし、そもそも冷凍庫は常に振動しています。このため、過冷却の状態を保つことが難しくなるのです。さらに、水を入れる容器も大事です。ガラスコップなどは、ガラスの表面に目に見えない細かな傷がたくさんついていることが多いので、そこから氷が発生してしまいます。一方、ペットボトルなどは、内側はかなりきれいで細かな傷も少なく、ガラスの容器よりは過冷却水を作りやすいようです。また、冷やす水もできるだけきれいな水を使うことも大事です。

 家庭の冷凍庫で過冷却水を簡単に作れたら、楽しいですね。上に述べた注意点を参考にして、もう一度チャレンジしてみてください。

(過冷却水についての説明は、Q18Q23Q43の回答にもあります。参考にしてください)

(回答掲載日:2022年9月1日)

その他の現象 #過冷却水#雹#水の不思議
Q52

雹が冷凍庫で溶けてしまった理由

先日、家の周りで雹が降り、大きめだったので何個か集めて冷凍庫で取っておきたい!と入れておきました。そしたら2、3日後には全て溶けて無くなってしまいました。雹は氷なので、冷凍庫なら溶けないと思っていたのですが、もっと低い温度じゃないと溶けてしまうものですか?(まっちゃさん / 千葉県・10歳)

 雹は氷ですので、普通の氷と同じように0℃で溶けてしまいます。冷凍庫に入れておけば、温度が0℃以上になることはまずありませんので、溶け水になって流れていってしまうことはありません。

 しかし、“冷凍庫に中に雹を入れておいたら、全て溶けて無くなっていた”というのは、冷凍庫の中で雹をどのようにして保管しておいたのかが関係しているように思えます。すなわち、雹をビニール袋などの密閉した容器に入れておけば、まんいち雹が溶けても溶け水はその容器の中に残っているはずです。一方、冷凍庫に中に雹を裸で入れておくと、雹は溶けなくてもその表面からどんどん蒸発して小さくなってしまいます。蒸発して水蒸気になった水分は、冷凍庫の他の部分に霜としてついたか、あるいは冷凍庫の開閉とともに外に逃げ出したりします。このため、雹はやがて冷凍庫の中から消えてしまうことになります。

 ご質問にあるように、もっと低い温度が必要なのではなくて、雹を密閉した状態に置くなどの工夫をすることで、長い期間保存ができるようになると思います。

(冷凍庫に置いた氷の蒸発に関しては、Q46の回答も参照してください)

(回答掲載日:2022年9月1日)

その他の現象 #雹
Q39

ひょうやあられが降る条件

ひょうやあられは、どういう時に降るものですか?(怜さん / 長野県)

 ひょう(雹)やあられ(霰)は、よくひとくくりで呼ばれますが、その特徴や成因はかなり異なります。それぞれについて、違いを見てみましょう。

雪の結晶は、大量に浮かんだ雲粒(直径が0.01ミリ以下の大きさの水滴)の中に発生した氷の粒が、時間とともに周囲の水蒸気をもとに大きく成長することで作られます。雪の結晶は、成長するとともに重さが増すので落下速度も大きくなります。すると、結晶の周りの空気の流れにより、結晶に雲粒が衝突して粒のままで凍りつく場合があります。このような雪の結晶は、雪の結晶の分類表にもある「雲粒付きの雪結晶」ということになります。このとき、雲が非常に濃い(雲粒の数が非常に多い状態)場合には、雲粒がつぎつぎと衝突して凍りつきます。最後には、もとの雪の結晶はもはや見えなくなり、凍りついた雲粒の塊になってしまいます。これが、「霰」と呼ばれるものです。実際に降り落ちた霰を拾い上げて、凍りついた雲粒を丁寧に外していくと、最後には元になった雪の結晶が残っているのを確かめることができます。

 一方、雹は、白い霰とは異なり、透明な氷の塊として降ってきます。これは、霰ができるときよりも、もっと大量に雲粒が衝突すると、衝突した雲粒はもはやその場で凍りつくことができず、氷の表面を水の膜で覆ってしまうほどになります。雹は、この水の膜が凍ることで、透明な氷の塊としてだんだん大きく成長することで生成されるのです。したがって、氷の塊である雹は非常に重く、雲の中を高速で落下することになります。雹が大きく成長するためには、雹の落下速度に匹敵するような強い上昇気流があることが重要です。これによって、雹は長い時間雲の中に滞在することができ、大きな塊に成長できます。このような強力な上昇気流が生じるには、極端に発達した積乱雲が必要で、竜巻などを引き起こすこともまれではありません。雹は、竜巻などの発生と合わせて観測されることが多いのは、このためです。雹といっても、大きさはせいぜい直径で1センチ程度のものがふつうですが、場合によってはゴルフボール程度の大きさになることもあります。また、まれに直径が10センチを超えるものが観察されたという記録もあります。さらに、雹は必ずしも冬の季節に特有なわけではなく、積乱雲の発達しやすい夏の猛暑のときに降ることも少なくありません。落下速度があまりに大きいため、上昇気流から抜け出すとあっという間に地面に到達してしまうので、真夏の気温でも融けて水にもどるひまがないからです。

(回答掲載日:2022年2月17日)

その他の現象 #霰#雹#自然現象

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