雪と氷のQ&A
タグ:霜
雪の結晶と霜の模様について
僕は雪の結晶がきれいだなと思って雪が降ると観察しています。この間、ガラスに霜がついてきれいな模様ができていました。大きさは違うけれど、雪の結晶と形がすごく似ていました。なぜ雪の結晶と霜の模様は形が似ているのですか?霜の模様は雪の結晶の仲間ですか、それとも違うものですか?(さときちさん / 北海道・9歳)
北海道などでは、寒い朝に窓ガラスにきれいな模様の氷がついていることがありますね。このQ&Aの中のQ.35やQ.38にも、関連する質問がありますので、その回答も参考にしてください。
ガラスについた氷には、窓霜と窓氷と呼ばれる2つの種類があります。窓霜は、雪の結晶と同じように、ガラス窓周辺の水蒸気が直接結晶に変わったものです。これに対して、窓氷は、水蒸気がいったん液体の水として凝結し、その水の膜が冷却されて凍ったものです。雪の結晶と似た模様として観察されたのは、窓霜のほうであったと考えられます。雪の結晶も窓霜も、水蒸気から直接結晶ができるので、基本的なでき方は同じです。この意味では、仲間どうしと言えます。雪の結晶ができるときは、結晶は空中に浮かんでいるので、周りから均等に水蒸気を集めます。このため、とても対称的な形になります。しかし、窓霜の方は、ガラス窓の表面という少し特別な場所でできていますので、水蒸気を均等に集めることが難しくなります。このため、雪の結晶に比べると、かなり歪んだ形になっていることが多くなります。また、ガラスの表面に対して、結晶のできる向きが少し斜めになっていると、丸みを帯びた枝が伸びることもあります。また、ガラスの表面の性質によっても、その上にできる窓霜の形などが異なることも知られています。
(回答掲載日:2024年1月26日)
その他の現象 #窓氷#雪#霜#窓霜冷凍庫の霜
冷凍庫に霜がつくのはなぜですか?霜とは何なのか知りたいです。また、霜ができる冷凍庫と、霜ができない冷凍庫の違いはなんですか?(るり葉さん / 千葉県・11歳)
冷凍庫を開けると、真っ白な霜がついていることが多いですね。この霜の話に入る前に、空気中に含まれる水蒸気の量から話をはじめましょう。
毎日の天気予報を見ると、今日は湿度が低くからっとした天気とか、湿度が高く蒸し暑い天気というような説明がありますね。これは、空気には水蒸気が含まれているためで、空気が含むことができる最大の水蒸気の量(飽和水蒸気量と言います)に対して、実際に空気に含まれる水蒸気の量をパーセントで表したものが湿度です。たとえば、湿度50%というのは、最大の水蒸気量のちょうど半分の水蒸気が空気に含まれることになります。
この空気に含まれる最大の水蒸気の量は、温度が下がるとだんだん少なくなります。このため、ある一定の量の水蒸気を含む空気を冷やしていくと、湿度が上がってやがて100%になります。この温度よりさらに冷やすと、空気中の水蒸気は小さな水滴として出てくることになります。上空の白い雲は、こうしてできたたくさんの水滴からできているのですね。真夏に、コップに冷たい飲み物を入れると表面に水滴がついてくもりますが、これも冷たいコップの表面が周りの空気を冷やして、水蒸気が水滴として現れるからです。
さて、冷凍庫の中に戻りましょう。冷凍庫の中の温度は、コップの表面の温度よりずっと低く0℃以下になっています。このため、空気中の水蒸気は、もはや水滴ではなく氷の小さな粒となって現れることになります。このような氷の粒の集まりを、霜と呼びます。すなわち、霜は空気中の水蒸気が直接氷の粒として出現したもので、上空の雲の中でできる雪の結晶と同じできかたです。冷凍庫は、食品の出し入れでしょっちゅう開け締めをしますので、そのたびに外の空気が流れ込みます。このため、水蒸気もどんどん入ってきて、この水蒸気が霜となって現れるのです。
最後に、「霜ができない冷凍庫」といっても、実際は霜ができないわけではありません。冷やし方をくふうしたり空気を循環させたりして、じつは目に見えない所に霜ができるように作られているだけなのです。見えない所にできた霜は、自動的にときどきヒーターで溶かしてしまうなどのくふうもされていて、冷凍庫を便利に使えるようにしているのですね。
その他の現象 #冷凍庫#霜霜はどこからおりてきますか?
寒い朝、地面が白くなっていました。おかあさんに霜がおりたからと教えてもらいましたが、霜はどこからおりて来たのかわからないので教えてください。(孝太郎さん / 富山県・10歳)
晴れわたった冬の寒い朝には、あたり一面が真っ白になっていることがあります。たしかに、これを「霜がおりる」と表現しますが、とても素敵な言い方ですね。では、はじめに霜はどのようにしてできるのかを考えてみましょう。
霜は、地面や地表にあるさまざまな物体にできた氷の結晶です。氷の結晶ができるためには、原料になる水分が必要です。こう考えると、地面にできた水たまりのようなところに霜ができそうですが、じっさいには水たまりには透明な氷ができるだけで霜はついていません。霜は、かえって水たまりなどがないところにできていることに気がつきます。
では、霜の原料である水分はどこからくるのでしょう。この水分は、じつは空気中に含まれる水蒸気なのです。この水蒸気は、空気が冷やされるともう空気中にはとどまることができずに、液体の水や固体の氷として現れるという性質をもっています。たとえば、コップに氷を入れると、コップの外側がくもります。これは、冷えたコップのガラスのすぐ外側の空気も冷やされるため、空気中にあった水蒸気が細かな水滴としてくっついたからです。同じように、冷凍庫でキンキンに冷やしたコップを外に出すと、こんどはコップの表面にうすいまくが張るように氷ができて、真っ白になると思います。これが、水蒸気からできた氷で、霜と同じものなのです。
もともと気温の低い冬の季節には、風もなく晴れていると夜間に地面が急に冷やされて、氷点下になることがあります。このようなときには、地面に近い空気も冷やされますので、その中に含まれていた水蒸気が地面に氷となって現れます。これが霜のできるしくみです。ちなみに、霜は空気中の水蒸気を原料としてできるのですが、空から降ってくる雪の結晶も同じように水蒸気からできます。霜と雪はでき方が同じということになりますので、霜を虫眼鏡で見てみると雪の結晶と同じようなきれいな枝が見えることもあります。
このように、霜は晴れた寒い朝にどこからともなく現れますので、「霜がおりる」という言い方をするようになったのではと思います。ブルッとするほどの寒い朝に、あたり一面が真っ白になっているというようすを、とても良く表現していると思いませんか?
(回答掲載日:2022年2月28日)
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