雪と氷のQ&A
カテゴリー:雪
人工雪について
私は学校の課題研究で雪について研究しているのですが、人工雪の仕組みや人工雪のコスト、環境問題などを知りたいです!また、先生はこの先もスキーをすることは可能だと思いますか?もし最新の人工雪について知っていることがあれば教えて欲しいです!!(おくとさん / 神奈川県・15歳)
ご質問は、スキー場などで雪が不足している時に使われる人工降雪機で作成された雪のことについてだと思います。残念ながら、私は、人工降雪機については詳しくありませんので、その原理的なことしかお答えすることはできません。
まず、人工降雪機とは、次のような原理で雪を作っています。まず、氷点下になった大気中に高圧ノズルを使って水を噴霧させることで大量の微水滴を空中に浮遊させます。すると、その微水滴は冷やされて凍結し、小さな氷の粒に変わります。この氷の粒を大量に降り積もらせることで雪を作成しています。この装置で作られた人工の積雪は、水滴が凍ることでできた大量の氷の粒でできているので、空から降ってきた雪の結晶が降り積もってできる天然の積雪とは、全く異なった性質のものになります。天然の雪の結晶は、上空の雲の中で生成された微細な氷の粒が、雲の中を落下しながら周囲の空気中に含まれた水蒸気を直接取り込むことで生成されます。このため、雪の結晶は、非常に複雑な形をしていて、これが降り積もった積雪は、ふわふわでとても柔らかいものになります。これに対し、人工降雪装置で作成した雪は、水滴が凍ってできた丸い氷の粒でできているので、天然の積雪に比べると固くしまったものになります。そもそも、積雪のでき方が天然と人工では異なることが、このような特性の違いを生み出しているのです。
また、この先もスキーができるかどうかですが、恐らく地球温暖化の進行による気温の上昇による影響を心配されているのだと思います。現在のまま地球温暖化が進行すると、当然多くのスキー場で雪が不足し、スキーもできなくなるでしょう。いつまでもスキーができる環境を維持するには、私達一人ひとりが、地球温暖化を食い止めるために、何をすべきかを考え、直ちにそれを実行することが大事です。私達にできることは何か、ぜひいろいろな方法で調べてみてください。
(回答掲載日:2024年9月6日)
雪 #スキー#雪#人工雪#雪の不思議雲の仕組みと氷、雪との関係性について
私は小学5年生で、夏休みの課題で図書館の本を使った調べ学習というのを「雲」というテーマで調べています。本を読んでいくうちに、過冷却の仕組みが、雲から雪になるイメージと関係あることが分かったのですが、そちらのホームページでも、0℃でも水が凍らない理由から過冷却の仕組みが理解できました。でもとても難しくて、完ぺきな理解は出来てません。他にも、雲と氷、雪の関係性にあてはまる言葉や仕組みなどをいろいろ調べたのですが、最後は結果どのようなことだったのかっていうまとめの所にまだたどりつくことが出来てません。雲、雪、氷と全体を見ようとすると、とても難しいなと思っています。雲と結びつくような言葉だったり、氷と雪の関係性などをもう少しくわしく分かりやすく知りたいな、教えてもらいたいなと思って問い合わせをしました。(めーたすさん / 石川県・10歳)
とてもよく調べて勉強していますね。大事なポイントに気がついていて、感心しました。過冷却という現象が、雲、雪や氷の生成などと密接に関連しているとよく説明されます。しかし、ではどんな関係があるのかは、とても難しい問題で、なかなかうまく説明することができません。ここに何か問題がありそうだということに気がついただけでも、素晴らしいと思います。ご質問に関連する話題で、いくつか説明しましょう。
まず、雪の結晶は上空の雲の中で作られます、と説明され、あまり疑問に思うことがありません。しかし、このことは、液体の水の過冷却と雪の結晶の成長との関連について考えることで、その理由がわかります。雪の結晶は、その結晶の周りにある空気中にある水蒸気から、直接できてきます。しかし、雪の結晶が大きくなるためには、周囲の水蒸気が使われますので、結晶の周りの水蒸気の量はだんだん減ってくるはずですね。雪の結晶がさらに大きくなるためには、この水蒸気がどこかから追加されないといけません。この水蒸気を追加するしくみに、実はこの過冷却という現象が大事な役割を果たしているのです。すなわち、雲の中にある雪の結晶の周囲には、水蒸気だけではなく、たくさんの雲粒(過冷却した水でできた小さな水滴)が存在しています。この雲粒は、だんだん蒸発をして、周囲の空気に水蒸気を追加する役割を果たしているのです。すなわち、過冷却した雲粒から雪の結晶に向かって水蒸気の流れができていて、この流れによって雪の結晶は大きくなり続けることができるということになります。この雪の結晶が大きくなり続けることを「結晶の成長」と言いますが、雲の中でこれが起きる理由になります。(なぜ、過冷却した雲粒から雪の結晶に向かう水蒸気の流れができるのかというのも、疑問ですね。そのことも説明できるのですが、さらにむずかしいお話になってしまいますので、また他の機会に説明しましょう。)
また、雪と氷と言うことについても、少し説明しておきましょう。雪も氷も、どちらも融ければ液体の水ですので、どちらも、全く同じ物質です。ではなぜ、この2つの呼び方があるのかということを考えてみましょう。一般に、雪と呼ぶときには、雪の結晶やそれが降り積もった雪(積雪)などがあります。これらの共通点は、上空の雲の中で“水蒸気から直接氷の結晶ができたもの”が、もとになっているということです。一方、氷は、液体の水を冷やして凍らせることでできたものと言うことができます。氷を削ってかき氷にすると、雪のように真っ白でふわふわになりますが、これを雪とは呼ばないのはこのためです。このように、本来は全く同じものであるのに、そのでき方の違いで呼び方が変わるのは、とてもおもしろいと思いませんか?雪や氷以外のものでは、このようなことは絶対にありません。また、この他にも自然界にある雪や氷には、その状況の変化によって、さまざまな呼び方があります。それらがどのようにしてできたのかを調べると、雪と分類すべきか氷と分類すべきかを分けることができると思います。このような視点で雪や氷を眺めて見るのも、とても興味深いのではないかと思います。
(回答掲載日:2024年8月25日)
雪氷 #雪#氷#氷の不思議#雪の不思議今積りゆく雪の結晶は同じタイプ?
雪の結晶には、様々な形があることは承知していますが、今、この枝に降り積もっていく雪の結晶は、同じタイプなのでしょうか?(雪吊りフアンさん / 石川県・70歳)
雪の結晶の形と言うと、千差万別で2つと同じものはない、とよく言われます。もちろん、これはその通りなのですが、その意味合いには少し注意が必要です。と言うのは、千差万別であるということには、一つの条件があります。すなわち、時間や場所をいろいろと変えて、多くの雪の結晶を観察したときに、その形はさまざまであって、2つと同じものはないということです。頂いたご質問は、“雪の結晶の形は、千差万別と言っているけれども、どんな条件でも言えるのでしょうか?”とも言い換えることができると思います。本当は、この条件のことを説明した上で、この言葉を使わないといけないのですが、ついつい疎かになっていて、皆さんに誤解を招く結果になっていると私も反省しているところです。
では、もう少し具体的にご説明しましょう。すなわち、ここで言う千差万別は、時間や場所を変えて雪の結晶を多数観察したときに、その形はさまざまなタイプあると言うことで、ある瞬間にある場所で降っている雪の結晶のタイプがさまざまなものを含んでいると言うことはではありません。実際、雪の結晶の観察をしてみると、ある瞬間にある場所では、ほとんど同じタイプの結晶が降っているのが普通です。例えば、樹枝状に枝が発展したタイプの結晶が降っているときには、細長い針状のタイプの結晶などが混じっていることはありえません。
その理由は、ある瞬間にある場所で降っている雪の結晶は、ほぼすべてが同じような気象条件(すなわち、結晶の形を決める条件)で生成されたものであると考えられるからです。個々の雪の結晶の形は、上空で誕生した微細な氷の結晶の粒が、地上に落下するまでに、その落下経路に沿って気象条件がどのように変化したかを反映して決まります。結晶ごとに異なる経路をたどっているので、結晶の形はそれぞれ異なることになります。しかしながら、上空のほぼ同じところで誕生した氷の粒は、気流の流れに沿って落下してくるので、雪の結晶としてほぼ同じ場所に降り落ちるはずです。すなわち、地上である瞬間に同じ場所で降っている雪の結晶は、似通った気象条件の変化を受けて生成されたと考えるのが妥当です。このため、同じタイプの結晶ばかりが降り落ちると言うことになります。
中谷宇吉郎は、「雪の結晶は天から送られた手紙である」と言う言葉を残しました。これは、地上で雪の結晶の形を観察すれば上空の気象条件を推定することができると言うことを意味していますが、まさにある瞬間にある場所に降り落ちる雪の結晶は、ほぼ同じタイプであるということが条件になっているのです。
(回答掲載日:2024年8月23日)
雪 #雪の結晶#雪#雪の不思議湿雪の種類
雪は乾雪と湿雪に分けられ、その違いは含水率だと知りました。その中でも湿雪は、綿雪、餠雪、牡丹雪、べた雪、水雪と種類があることが分かったのですが、それぞれの含水率はどれくらいなのでしょうか?(なぎさん / 福岡県・21歳)
一般的な意味での含水率とは、ある物質に含まれる水分の割合を示します。通常は、その物質の重量に対して含まれる水分の重量の比率で表示されます。例えば、よく使われる土壌の含水率などは、土壌を構成する土の成分の量に対する水分の量ということになります。すなわち、水とはまったく異なる物質の中に含まれる水分の量を表します。
さて、雪(積雪)の含水率というのは、この定義からは少し外れていることに注意が必要です。と言うのも、積雪というのは、固体である氷の部分と液体である水の部分の混合物であると言うことです。氷も水も物質としては同じですので、積雪の含水率というのは、ある重量の積雪に含まれる氷と水の重量比ということになります。すなわち、同じ積雪の重量であっても、氷が溶けて水に変わると含水率は上がり、水が凍って氷が多くなると含水率は下がります。
では、この含水率というのは、どのようにすれば測定できるかを考えてみましょう。最初に述べた土壌のようなものであれば、最初に水分を含む土壌の重量を測り、その土壌をカラカラに乾燥させて再度重量を測れば、その差額から含水率を決めることができます。土壌の中の土の成分の重量は、含まれる水分量とは関係なく一定であるからです。しかし、積雪の場合は、それを構成する氷と水の重量は連動して変化しますので、、この方法で含水率を決めることはできません。もちろん、積雪の含水率の測定方法は、古くからさまざまな方法が提案されていますが、かなり特別な方法で簡単ではありません。さらには、同じ積雪であっても、周囲の温度が少しでも変動すると、内部の氷と水の重量比(すなわち、含水率)はすぐに変化してしまいます。測定条件をよほど一定に保たないと、測定値には意味がなくなってしまいます。このようなことから、積雪の状態によって含水率がどのような値になるのかを具体的に答えることは、困難です。
最後に、湿雪か乾雪(水分が0%、あるいはごくわずか)かの区別だけは、その積雪の温度を測るだけでも比較的簡単に判断できることを紹介しておきます。すなわち、湿雪では、氷と水が共存している状態ですので、その温度は0℃ですが、乾雪では水分は含まれず氷のみで構成されるので、その温度は0℃以下のはずです。積雪の温度を測定するだけで、湿雪か乾雪かの判断基準として使えそうです。
(回答掲載日:2024年5月20日)
雪 #湿雪#乾雪#雪の不思議雪の結晶の形についての質問
雪の結晶はどうして平面の六角形になるのですか?(じんみさん / 富山県・30歳)
雪の結晶の形やそのでき方については、すでにこのQ&Aの中でも何度も取り上げてきました。まずは、その回答を参考にして下さい。例えば、Q.2、Q.27、Q.31、Q.45、Q.65、Q.67などが関連します。ここでは、これらとは少し異なる視点で、回答したいと思います。
雪の結晶の写真を見ると、綺麗な六角の平面状のものが非常に多く、この形のものが唯一の結晶形のように思われることがあります。しかし、実際には、雪の結晶の形は実にさまざまで、平面状と言っても樹枝状や六角板状のもの、さらには六角柱や針状、これらの組み合わさったものなど千差万別です。しかし、これらに共通する特徴は、雪の結晶形の基本は、微細な六角柱であることです。すなわち、これが雪の結晶の赤ちゃんで、この赤ちゃん結晶が横方向に成長したもの(すなわち、六角の平面状の結晶形)や縦方向に成長したもの(すなわち、細長い針状の結晶形)が、実際に空から降ってくる雪の結晶になります。
では、なぜ六角形なのかですが、これは雪の結晶(すなわち、氷の結晶です)は、水の分子が立体的に規則正しく並んで、六方の対称性を作っているためと説明されます。もちろん、これで間違いではないのですが、例えば1個の雪の結晶を見た場合、1本の枝の先端からその反対側の枝の先端の間までに並ぶ水分子の数は、およそ10、000、000個と、膨大な数になります。実際には、結晶はもっと立体的な広がりがあるので、1個の結晶の中の水分子の数は、さらに大きな数になります。すなわち、水分子の並び方が結晶の外形に関連していると言っても、そう簡単には説明ができそうにもないことが分かります。結晶の形などを専門とする研究者にとっても、頭を悩ませる問題が、今も残されているのです。
最後に、雪の結晶は、平面かどうかについても見ておきましょう。平面というと、厚みがないように思えますが、雪の結晶は決してそうではありません。一見平面に見える六角の結晶でも、0.1mm程度の厚みがあります。十分薄っぺらいようにも見えますが、先程の水分子が何個積み重なっているのかという視点では、およそ250、000個の水分子の積み重なりということになります。もう、雪の結晶は平面ではなく、十分な厚みがあると言えます。さらに、雪の結晶の写真を見ると、外形の複雑さだけではなく、結晶内部にも様々な模様が観察されます。この模様は、結晶の表面にある凸凹が、影となって見えているのです。このことも、雪の結晶は厚みのない平面とは決して言えないという根拠になります。
このように、雪の結晶がなぜさまざまな形をとるのかは、現在もまだ完全には説明できない部分が残されているのです。雪の結晶を見たときに、綺麗だなと思うと同時に、何か不思議なことがまだまだあるんだと思っていただければ、大変有り難いです。
(回答掲載日:2024年2月6日)
雪 #雪の結晶#雪#雪の不思議雪とあられの違いはなんですか?
雪が降るとき、あられが降るときのメカニズムを教えてください。単純にあられは氷なのでこっちの方が気温が低いように感じます。が、実際は違っている為知りたいです。(ムライさん / 福井県・55歳)
雪とあられは、ともに上空から降り落ちる氷の粒ですが、そのでき方に違いがあります。気温は上空に行くほど低くなりますので、地上の気温がプラスであっても、ある高さ以上の上空は氷点下の気温になっています。雪やあられを降らせる雲は、空間に散らばった微小な水滴(雲粒)でできています。この雲粒は、0℃以下の温度になっても凍結せずに液体のまま(すなわち、過冷却の状態で)でいることができるという性質を持っています。この雲粒でできた雲の中に、微細な氷の結晶(氷晶)が生まれると、それらは周囲の水蒸気を集めて、徐々に大きくなり(成長し)はじめます。このようにして、氷晶が“直接水蒸気から成長”したものが雪の結晶です。その形は、結晶ができる雲の中の気温や水蒸気の量で様々に変化することはよく知られています。
大きく成長した雪の結晶は、だんだん重さが増して、空中に落下し始めます。雲を構成する雲粒の数(空間密度)が多くなければ、そのまま綺麗な結晶形のままで地上に達します。しかし、雲粒の数が増えてくると、雪の結晶は落下に伴って雲粒と衝突するようになります。このとき、雲粒は過冷却状態にあるので、雪の結晶に衝突するとその場ですぐに凍りついてしまいます。すると、きれいな結晶の上に ぱらぱらと雲粒の付いた結晶となります。雪の結晶の分類表には、雲粒付き結晶というものが記載されていますが、これらは、このようにしてできたものです。
さらに雲粒の数が大きくなると、雪の結晶には次々と雲粒が衝突して凍りつくようになります。こうして、多数の雲粒が凍りついてできた氷の固まり、すなわちあられとなるのです。こうなると、もう元の雪の結晶の形は見えなくなってしまいます。しかし、そうは言っても出発点は雪の結晶であったので、あられを作っている凍りついた雲粒をひと粒ずつ丁寧に外すなどして注意深く観察すると、もとの雪の結晶の痕跡が見つかる場合もあります。
すなわち、雪の結晶になるのかあられになるのかは、気温の高低というよりも、上空の雲を構成する雲粒の数がより大きく関連していると考えられます。
(回答掲載日:2024年2月1日)
雪 #あられ#雪#雪の不思議大量の雪を早く溶かす方法
大量の雪を溶かす方法で大きなハウスの中に雪を入れハウスの中の温度をヒーターなどで温めて溶かすことは可能でしょうか?(平田学さん / 北海道・57歳)
雪を融かすには、大量の熱が必要です。どのくらいの熱量が必要なのかをまず見てみましょう。最初に、1Kgの水の温度を1度Cだけ上昇させるために必要な熱量(すなわち、水の比熱)は、4186[J/kg・K]になります。しかし、0度Cの氷1Kgを融かして0度Cの水にする時に必要な熱量(すなわち、融解熱)は、333.6×1000[J/kg]に達します。水の温度を1度C上昇させるのに必要な熱量のおよそ80倍という、極めて大きな値になります。雪は、氷でできていますので、これらの数値はそのまま雪に当てはまります。すなわち、雪を融かすには、このように大量の熱が必要となるのです。
ご質問にあるように、ハウスの中などに雪を入れて、ハウス全体をヒーターなどで温度を上げれば、もちろん雪を融かすことはできます。しかし、雪、を融かすために必要な熱量は決まっていますので、その熱量をいかにして作り出し、そしてその熱をどのように雪に伝えるのかが、重要なポイントになります。ハウスなどでは、ヒーターで供給される熱に加えて太陽からの熱なども有効に使えるかも知れません。一方で、断熱の効果があまりないハウスのカバーからは、大量の熱が外部に逃げ出してしまうことも考えられます。熱の供給量と、その熱が雪を融かすために実質的に使われる効率を考えた上で、どれだけの熱量が雪を融かしきるために必要なのかを考える必要があります。
(回答掲載日:2024年1月26日)
雪 #雪#雪の不思議雪と塩のかんけい
雪がふったときに道路に塩をまいているのを見ました。どうして塩をまくんですか?雪と塩にはどのようなかんけいがありますか?(うーたんさん / 富山県・8歳)
道路に塩をまくのは、雪がふって寒い時に、道路がこおりついて車がスリップしないようにするためです。水道の水は、0度になるとこおって氷になるのは知っていますね(少しむつかしいですが、モル凝固点降下というげんしょうです。このQ&Aのなかにも説明があります。たとえば、Q.43の回答なども参考にして下さい)。しかし、水道水に塩を入れると、その水はこおりにくくなります。たとえば、冷凍庫に、塩がたくさん入ったしょっぱい食品を入れておくと、ほかの食品にくらべてこおりにくくなります。また、海水は塩をふくんでいますので、こおる温度はマイナス2度になります。このように、塩の入った水のこおる温度は、0度よりも低くなるのです。
では、道路に塩をまくとどうなるでしょう。塩をまくと、道路の表面にある水分に塩がまじります。そうすると、その水分は0度よりも低い温度にならないとこおらなくなります。つまり、塩をまくと道路の表面には氷ができにくくなるのです。道路に塩をまくのは、道路の表面が氷でおおわれるのをふせぐことで車が安全に走れるようにするためです。道路の安全をまもるための、大切なさぎょうなのですね。
(回答掲載日:2024年1月26日)
雪 #塩#雪の結晶#雪#雪の不思議雪の結晶の中の線の模様について
①雪の結晶の中の線の模様について 雪の結晶を拡大したのを見ていると、雪の結晶の中に線の模様が入っています。これは結晶が大きくなる過程でできる線なのですか?なぜ、きれいに線が現れるのでしょうか。結晶の表面が線に沿ってデコボコしているのかも気になります。 ②雪の観察する時、指先の防寒対策は? 雪や霜など早朝の寒い中、外に出て観察をしています。手は手袋で防寒していますが、メモを取ったり手先で細かい作業をする時は手袋を外さないといけません。手袋を取るとすぐに手が冷たくなり作業ができなくなるのですが、皆さんはどのように寒い外での研究をしているのですか?何かいい方法があれば教えてください。(氷博士になりたいにゃーこさん / 栃木県・14歳)
① 雪の結晶の写真を見ると、結晶の内部に線状に伸びた線などさまざまな模様を見ることが出来ます。六角形の雪の結晶は、とても薄いのですが、決してペラペラの紙のようなものではなく、しっかりとした厚みを持つ氷の結晶になっています。写真で見られる模様は、この氷の結晶の内部に出来ているのではなく、結晶の表面にある凸凹が模様となって見えているのです。すなわち、顕微鏡などで結晶を見るときは結晶の後ろから照明の光を当てますので、表面の凸凹が影になって見えるのです。この凸凹が出来る理由は、結晶が成長する時に結晶の尖ったところや角のところから成長しやすいと言う性質があることと関係があります。特に、筋状の模様は、結晶の角や枝の先端が伸びる時にその成長の痕跡として残されることがあります。、結晶は、成長してそのサイズが大きくなるとともに、外形も結晶の表面もだんだん複雑な構造を取るようになり、結晶外形だけではなく内部にも綺麗な模様が出来上がるのです。しかし、凸凹と言っていますが、結晶の表面が実際には凸なのか、凹なのかは、実は簡単には判別できません。これを調べるには、普通の顕微鏡ではなく、結晶の表面で反射してくる光で観察できるような特殊な顕微鏡を使うことが必要です。さらに、凸凹の深さを測るには、光の波の長さを基準として測定することができる干渉顕微鏡と呼ばれる精密な測定装置なども必要です。この凸凹の謎を解明するために、今も観察を行っている研究者もいます。
最後に、少し難しくなりますが、結晶の外形や内部の模様ができるしくみは、「結晶形の形態不安定化」と呼ばれます。結晶は、本来は平らな面で囲まれた多面体の形をしています。この多面体の形を保ったままで成長する場合は安定成長と言います。一方、雪の樹枝状結晶のように、結晶が成長するとともに外形がだんだん複雑になっていくような場合は不安定成長と呼びます。安定成長が不安定成長に移り変わるしくみが形態不安定化で、結晶の形や模様を研究する上で非常に大事な考え方になっているのです。
② また、雪や霜の結晶を野外で観察するときには、どうしても手がかじかんでしまって、うまくいかないことがよくありますね。分厚い手袋をはめてしまうと、メモを取るときや細かな作業をするときには、いちいち手袋を外さないと出来ません。これで絶対大丈夫という解決法は実は無いのですが、私達は白い薄手の綿手袋をはめたりしています。これを使うと、指先が比較的自由に使えますので、いちいち手袋を外すことも不要になります。しかし、防寒には十分ではありませんので、防寒用の厚い手袋もそばにおいておくと良いと思います。
また、雪や霜の結晶を観察するときには、黒い布(私達は、ビロードという毛羽立った布)を30cm角ぐらいの板に貼り付けたものを用意します。この板で雪や霜の結晶を受け止めるのです。そうすると、コントラストが付いて結晶をとても見やすくなります。さらに、面相筆(できるだけ穂先の細い筆)を用意すると、結晶にさわったり、ひっくり返したりすることが容易にできます。また、穂先に引っ掛けると、結晶を顕微鏡のステージにのせるときや、結晶のレプリカ作成などの作業にも役立ちます。このような方法は、中谷宇吉郎先生たちが90年前に雪の結晶の研究を始めた頃から使われていました。こう言うと進歩がないように思えますが、実は寒い野外での作業であることを考えると、もっとも合理的な方法なのです。防寒に気をつけながら、いろいろと工夫して、雪や霜の結晶の観察にチャレンジしてみてください。
(回答掲載日:2024年1月26日)
雪 #雪の結晶#雪#観察#雪の不思議ゆきのけっしょう
ゆきのけっしょうはどうやったらみれますか?どこに行ったらみれますか?(しゅうすけさん / 石川県・6歳)
ゆきのけっしょうは、ちょっけいが3ミリより大きいものもありますので、くろいかみやぬのなどで、けっしょうをうけとめれば、そのままでも見ることができます。もし、むしめがねなどをもっていたら、それでのぞいてみると、もっとはっきり見ることができます。ゆきのけっしょうを見るためには、できるだけさむい日をえらんでください。しかし、いしかわけんなどでは、へいちではじゅうぶんにきおんがさがらないので、ゆきがふっていても、けっしょうは、はんぶんとけだしていたり、ぼたんゆきとよばれるかたまりになっていることが、おおくなります。このときは、けっしょうを見るのは、なかなかむつかしいかもしれません。スキーじょうなどのある、すこしたかいところにいくと、きおんもさがり、けっしょうを見やすくなります。ぜひ、ためしてみてください。
(回答掲載日:2024年1月26日)
雪 #雪の結晶#雪#雪の不思議音と雪の結晶について
かなり昔雑誌(週刊紙)で見たのですが、雪の結晶が出来る時の音で雪の結晶の美醜があると記述と写真でみました。きれいな言葉だと美しい結晶、汚ない言葉だと結晶どころか壊れた雪の形だったと記憶しています。今でもその雪の結晶のことが気になって記事や画像を検索しても見当たらず本当なのか知りたいです。(夏。みかんさん / 石川県・49歳)
音や言葉で、雪の結晶の形が影響を受けることはありません。
この話は、1990年代後半から2010年代初めにかけて流行った「水からの伝言」ということに関連しています。これは、水に言葉をかけると、その内容によって結晶の形が変わるということを主張したものです。しかし、物質である水の性質に人の言葉が影響を与えるなどは、科学的にはありえません。いわゆる、ニセ科学の典型として、当時大きな問題となりました。
それは、この話が多くの小学校で道徳の授業の教材として取り上げられるということが起こったためです。すなわち、「水にきれいな言葉をかけるときれいな結晶になり、汚い言葉をかけると汚い結晶になります。人間の体にはたくさんの水が含まれています。だから皆さん、きれいな言葉を使いましょう」という流れで、授業に取り入れられました。しかし、結晶の形には言葉の良し悪しなど関係がないことははじめに述べたとおりで、科学的根拠があるように見せかけた間違った内容で授業を行っていたということになります。そもそも、結晶の形がきれいかどうかの判断基準は、人それぞれに異なるはずです。さらには、言葉使いの良し悪しという判断を、まったく関係のない水という物質に委ねていることになります。一見論理的に見えても、非常に底の浅い内容ということができます。
なぜこのようなことが起こったのでしょうか。この話の前提として、一応結晶を作るという実験を行っているので、すっかり科学的事実であると思い込む人が続出してしまったことに大きな原因があります。しかし、科学実験とは、主観を排除して客観的な事実のみを捉えて議論をすることが基本です。さらには、他の研究者がその実験を再現でき、同じ結果を得られることも重要です。したがって、科学実験の結果には、結晶がきれいとか汚いという主観的な基準が入り込むことはありえません。すなわち、この話のもとになっている実験には、科学的な根拠がないのです。
私達の周りには、この話以外にもニセ科学やオカルトなどに当たるものがいろいろとあって、時には人々を惑わす原因となっています。このような怪しい言説に騙されないためには、正しい根拠に基づく科学的な思考をする力を鍛えることがとても重要なのです。
(回答掲載日:2023年12月24日)
雪 #雪の結晶#雪
雪の結晶について
古生代や中生代にも雪は降っていましたか?また、その時代の雪の結晶は、現在分類されているような柱状結晶群や板状結晶群だったのでしょうか? そう言った事を自分で調べる場合は、雪氷学、古気候学、気象学、古生物学などの学問だと、どの学問になりますか?(ノートの罫線さん / 大阪府・34歳)
今から46億年前に地球が誕生して以来、地球の気候は大きく変動してきました。その間には、安定な気候の状態として、地球全体が氷床で覆われた寒冷な気候の時期、地球上から氷床が消えた温暖な気候の時期、そして部分的に氷床で覆われた比較的温暖な気候の時期を繰り返してきたと考えられています。特に、寒冷な気候の時期は、地球全体が雪だるまのように真っ白な球体になっていて、全球凍結(スノーボール・アース)と呼ばれています。地球の歴史の中で、2回あるいは3回、このような状態に陥ったと考えられています。
さて、このようなことを考えると、当然地球が誕生してからいつも地球のどこかでは雪が降っていたと予想されます。しかしながら、その時に生成される雪の結晶の形は、結晶が生成するときの気温や水蒸気の量などの全く物理的な因子で決まります。すなわち、どんな時代であっても、この物理的な因子は変わりませんので、昔も今も雪の結晶の基本的な形は同じです。
さらに、雪の結晶は降り積もったあとすぐに融けてしまったり、形が変化してしまったりするので、結晶の最初の形は保存されません。したがって、古代の雪の結晶の形を議論するのはあまり意味を持ちません。
しかし、少し広く考えて、古代の地球の環境や気候変動の研究というのは、地球の進化や生命の進化とも密接に関連する重要な課題です。このような研究は、実際にはさまざまな研究分野にまたがって行われています。既存の研究分野は、そのような研究を行うための導入としては重要ですが、それにこだわる必要はないと思います。
(回答掲載日:2023年9月10日)
雪 #歴史#雪の結晶#雪の不思議雪雲
雪雲が出来る高さはどれくらいですか?(嘉彦さん / 石川県・10歳)
私達の住む地球の大気では、雲の高さは最大でも10000メートル(10キロメートル)が限界です。旅客機は地上から約10キロメートルの上空を飛びますが、これはもう雲が存在しないような高さを飛びたいからですね。
さて、実際に雪を降らせる雲(雪雲)は、この最大の高さよりは低く、だいたい2000メートルから3000メートルの高さと言われています。富士山の高さはおよそ3700メートルですので、それよりも低いところということになります。
このような雪雲の中でできた氷の粒は、雲の中を落下しながら周囲の水蒸気を集めて、だんだん大きくなります。粒の大きさが大きくなると落下する速度も増してきますので、だいたい1時間ぐらいをかけて地上に落ちてきます。これが雪の結晶ですね。地上に達したときには、結晶の大きさは最大で10ミリ程度です。これは雲の中で成長できる時間が1時間程度しかないためで、どんなにがんばってもこれ以上には大きくなれません。
スキーなどで山に行くと、きれいな結晶が見えやすくなりますね。これは、山の高さのために、雪雲の中でできた雪の結晶が、すぐに私達の目の前に降り落ちてくるためです。今度スキー場に行くことがあったら、雪の結晶を観察して、この結晶がどれくらいの高さから落ちてきたのかを想像してみてください。
(回答掲載日:2023年8月29日)
雪その他の現象 #雪雲#雪#雲雪の結晶が一種類しかなかったら…
私は、雪はとても軽くて優しいものだと感じていますが、もしも雪の結晶が一種類しかない場合に、自然現象にどう影響するでしょうか?結晶が大きくなりすぎて、地上で生きる私たちにとって不都合なほど危険なものになったりはしませんか?(中村一之さん / 埼玉県・59歳)
雪の結晶の形がたとえ1種類しかなくても、それが自然現象に大きな影響を与えるとは考えられません。雪の結晶は、上空の雲の中で誕生した極めて小さな氷の粒が周囲の水蒸気を集めて、時間とともに大きくなる(成長する)ことで生成されます。地上で観察される結晶の大きさは、その結晶がどれくらいの時間かかって生成されたかによって決まります。、氷の粒が誕生してから雪の結晶として地上に達するまでにかかる時間は、普通30分から1時間程度と言われています。この時間で成長できる雪の結晶の大きさは、当然限界があります。例えば、成長速度の速い樹枝状結晶であっても直径10mm程度にまでしか成長することができません。他の結晶形の場合は、もっと小さなサイズの結晶にしかなれません。したがって、ご心配のような私達に不都合なほど大きな結晶に成長する心配はありません。
(いわゆるぼたん雪と言われるものはもっと大きいものが降ってくることは珍しくありません。しかし、これは多数の雪の結晶が落下中に絡み合ってできたもので、その中の個々の雪の結晶は大きくても10mm程度です)
(回答掲載日:2023年7月27日)
雪 #雪の結晶#雪#雪の不思議雪や雲について
雲(特に積乱雲)が発生する仕組みや雪が発生する仕組みを利用した、科学技術はなにかありますでしょうか。例えば、雲が発生する仕組みを利用して砂漠で水を生み出せるとか…(しししさん / 千葉県・19歳)
ご質問のご質問の意図は、気象現象のメカニズムを解明することで、気象を制御するための技術として活用できるかどうかということであると思います。この視点でいうと、これは極めて困難であると思います。たとえ雲の発生機構が解明されても、気象を人工的に改変することはできません。質問で指摘されているような砂漠地帯では、そもそも大気中での水分の存在量が少ないので、そこに新たに水分を生み出すことはできません。さらに、気象現象は、ある狭い領域で単独で起きるように見えても、実際は地球全体の大気の運動と連動して起きるものです。すなわち、どこかの砂漠地帯に大量に雨を降らせたとしたら、その反動で他の地域では本来降るべきであった雨が降らないということが起きてしまうでしょう。したがって、仮に地球の大気中で起きる様々な気象現象を改変する技術が生まれても、それを安易に使うことはできません。
(回答掲載日:2023年7月27日)
雪その他の現象 #雪#雲#雪の不思議雪がとけるときの性状の変化について
雪のとけ方を調べています。 家の周りで30cm積もった雪がとけていく様子を、数日間観察していると、新雪→しまり雪→ざらめ雪の順に性状が変化していくことがわかりました。また、豪雪地域で1mほどの積雪を掘ると、雪の層があり、上層から新雪→しまり雪→ざらめ雪の順に下の層ほど粒が大きくなっていると調べてわかりました。つまり、私が観察した性状変化と「層」の性状の順番は一致しているようでした。 雪に層ができる理由として、次の2つを考えましたが、わかっていることがあれば教えてください。 ①地面に近い雪ほど先に降ったため、地面の熱(0℃)の影響を受ける時間が長くなり、とけている。 ②下の層ほど、雪の重量の圧力が強くかかるため、氷(固体)の水分子間の水素結合の切断が起こり液体化している。(はるのはなさん /島根県・14歳)
積もった雪が、その内部構造の変化を伴いながら融けていくということ、とても面白いことに気づきましたね。
積雪は、積もった直後はふわふわの新雪の状態ですが、時間が経過するとその内部はどんどん変化していきます。これは、積もった雪粒が、融けたり凍ったり、さらには昇華(雪粒が直接水蒸気に変わる)したり成長したり(*注)して、降り落ちた最初の状態からどんどん変化してしまうからです。その変化のしかたは、雪が降ったり止んだりという積もる過程、積もってからの気温の変化、雪の深さごとの温度の変化など、さまざまな要因で影響されます。その結果として、積雪の中に異なる性質(雪質)をもつ雪が生成され、層状の構造を作るのです。
このような変化を引き起こす元になっている原因の一つである、積雪内部の温度分布を考えてみましょう。気温の低い(氷点下の)地方では、積雪の表面の温度は0℃以下になっています。一方、地面と接する底の部分は、地熱のために雪が融け出していて、雪の融ける温度である0℃になっています。すなわち、積雪の内部では、表面から底に向かってだんだん温度が高くなっている(温度分布がある)ことになります。このような温度分布があると、積雪の中の雪粒は、その形や大きさが急激に変化します。一方、気温が比較的高い(氷点下ではない)地方では、積雪の中にこのような温度分布は生じません。積雪全体の温度が0℃となっていて、積雪全体が徐々に融け出していると考えられます。
このことを基本として、ご質問に回答しましょう。
まず①の質問は、気温の低い地方での積雪では、当てはまると思います。ただし、地面の温度が0℃という言い方は必ずしも正確ではありません。地面から熱が流れてくるために、地面と接している積雪の底では雪が融け出しています。このために、積雪の底では温度が0℃(雪の融ける温度)になっているのです。
②の質問については、氷に圧力が加わると融点が低くなる(すなわち、氷が融ける)ということはよく知られています。しかし、圧力の大きさに対する融点の低下は、ごくわずかです。例えば、南極大陸は2000mを超える厚さの氷(氷床)で覆われています。その氷床の底でも、氷の融点低下は、せいぜい1.5℃程度です。積雪についても、積雪の重さにより底での圧力が高くなり、融点が低下するのはそのとおりです。しかし、私達がふだん目にする積雪では、どんなに大雪でもせいぜい数mの高さですので、圧力による融点の低下はごくわずかです。したがって、この効果は考える必要はありません。
(*注)これは、少し難しいので詳しくは説明していませんが、積雪の中にある雪の粒は、周囲より温度の高い部分が昇華して水蒸気となり、その水蒸気が周囲より温度の低い部分に凝華するということを繰り返して、どんどん形や大きさが変化していきます。この現象は、積雪の中に温度分布があると顕著に起こります。
(回答掲載日:2023年6月8日)
雪 #雪融け#雪の不思議雪が解けた後の砂のようなもの
1月に雪がたくさん積もって、すごくきれいで嬉しかったです。でも、雪かきでたくさん集めた雪が1週間くらい残って、全部解けた後に砂のようなものがたくさんあってタイル張りの地面が汚くなってしまいました。もともと雪の中に入っていたのでしょうか。(はるのゆきさん /島根県・11歳)
あんなに白くてきれいな雪が融けたあとというのは、確かに黒いものがいっぱい残っていて、きれいとは言えないですね。これは、積もった雪の中に何かが含まれていたということになります。その何かは、空から降ってきた雪そのものにすでに含まれていたものと、雪が積もってから紛れ込んだものの両方がありそうです。
まず、空から降ってくる雪は、周囲の空気中に含まれているちりやほこりを表面にくっつけて降ってきます。雪が降ったあと、空気がきれいになった感じがすると思いますが、このためですね。雪がたくさん積もると、このちりやほこりの量も多くなるので、雪が融けたあとに黒っぽいものが残るということになります。
さらに、雪が積もったあとも、積雪の表面には、大気中から砂粒や土ぼこりなどいろいろなものが降り落ちてきます。積雪内部では、バクテリアなどが繁殖することもあります。このような理由で、積もった雪は、時間とともにどんどん汚くなっていきます。このため、雪が融けきったときには、汚い黒いものが残ってしまうのです。
もちろん、車が通る道路の脇とか、人が歩く歩道などでは、さらに真っ黒に汚れた雪をよく見かけますね。これは、車の走行や人間の活動にともなって、雪の中に泥や砂などが入り込むために起きます。このようなひどい汚れは、人間の活動の結果として起きるのだと言えそうですね。
(回答掲載日:2023年3月10日)
雪 #雪の不思議足跡や木の周りなどの雪が早く溶けるのはなぜ?
先月大雪で30cmくらいの積雪がありました。朝ついた足跡が、夕方に見ると足跡の部分だけはやく雪がとけていました。また、木や草が1本飛び出している場所なども、その周辺から早く雪が解けています。足跡で雪が圧縮されていても、周りと雪の量は同じだし、気温も同じなのに、そこだけ早く溶ける理由が知りたいです。(はるのはなさん /島根県・14歳)
同じように積もった雪でも、融けるときには、融け方やそれにかかる時間が、場所によって異なりますね。雪が融けるには、さまざまなことが関係していますので、その理由を一つだけ述べることは、なかなか困難です。ご質問についても、いくつもの理由が考えられますが、以下の回答は一つの可能な答えとお考え下さい。
まず、基本的なことから始めましょう。雪は小さな氷の粒が集まってできています。しかし、ある分量の雪が融けるために必要な熱の量は、同じ重さの氷の固まりが融けるときに必要な熱の量と同じはずですね。しかし、同じ場所に置いた雪と氷では、雪のほうが明らかに早く融けてしまいます。すなわち、雪や氷が融けるためには、必要な熱の量の違いだけではなく、それらに熱がどのようにして伝わるか、の違いが大事になります。
このことを頭において、ご質問の答えを考えてみましょう。朝に降った雪を踏んで足跡をつけると、雪が圧縮されて固くなります。この固くなるということだけでは、逆に融けにくくなりそうですが、鳥取県のように比較的気温が高いと、踏み固められた雪は積もった雪の下にある水分を吸い上げて、黒っぽく見えるのではないかと思います。こうなると、雪は、少し暖かい水を含むことになりますので、周囲よりも早く融けても不思議ではなさそうですね。さらに、踏み固められた雪に水分が染み込むと、黒っぽくなりますので、そこに太陽の光が当たると熱を吸収しやすくなります。このことも、より早く融けるという理由の一つとも考えられます。このように、雪が融けるときに必要な熱が、どこからどのように来るのかを考えると、融ける早さの違いを自分で説明できると思います。
最後に、木や草が1本飛び出している場所などでも、周囲の雪は早く融けるようだということ、確かにそうですね。これは、木や草は、地面から暖かい水を吸い上げているので、その幹の温度が周囲より高くなっているからと考えられます。すなわち、踏み固めた雪と同じで、吸い上げた水が暖かいということがその理由ですね。さらには、太陽からの熱は、木や草の黒っぽいものには吸収されやすく、それによっても幹の温度が上昇します。これも、幹の周囲の雪が早く融け出す理由になりそうですね。私は、雪の融け方を調べたことはありませんが、このような現象は「根開き」と呼んで、春先の雪融け時には顕著に見られるとのことです。
(回答掲載日:2023年3月10日)
雪 #雪融け#雪の不思議雪は白〜い🌨️
雪は白く見えていますが、触ってみると、透明です。海もそうです。なぜですか?(とっちゃん❣️ さん / 東京都・9歳)
積もった雪は、空から降ってきた雪の粒が集まってできていますね。しかし、冷たい飲み物に入っている氷のかたまりを見ると、色はなくて透明ですね。雪も氷も同じものでできているのにとても不思議です。
では、夏の暑い日に食べるかき氷は、どのように作るか考えてみましょう。かき氷は、氷のかたまりをけずって作ります。最初の氷の、かたまりのときには、色はなくて透明ですが、削ってかき氷にすると、とたんにまっ白になります。氷を削ったからといって、氷に白く色がつくわけではありません。
積もった雪やかき氷が白いのは、小さな氷の粒がたくさん集まっているからなのです。氷は、光が当たるとキラキラ光ることでもわかるように、光を反射します。かたまりの氷のときは、この光の反射が弱く、氷の中を通過しますので、氷は透明に見えます。しかし、氷のつぶがたくさん集まっていると、それぞれのつぶが光をいろいろな方向に反射します。こうすると、全体として白く見えるようになるのです。難しいことばですが、これを「乱反射(らんはんしゃ)」といいます。
このような乱反射のために、ものが白く見えるという現象は、雪だけではなくいろいろなところで起こります。たとえば、雲が白く見えるのもそうです。雲は空中に浮かんだ無数の小さな水のつぶでできています。この、水のつぶひとつひとつは、やはり白くなく透明ですが、雲のように、これがたくさん集まると、光が乱反射されて、全体として白く見えるのです。
質問にある海については、どのようなときに見えることなのか分かりませんが、例えば波のてっぺんが白く見えることがありますね。そこに白いものが浮かんでいるのではなく、海水がかき回されて、水面が乱れてでこぼこになっていたり、泡がたくさんできていたりして、それらで光が乱反射されるためと考えられます。
(回答掲載日:2023年2月14日)
雪 #乱反射#光#雪の不思議雪はなんでやわらかいの?
雪はなんでやわらかいの?( かみはま ちはやさん / 石川県・6歳)
つもった雪はふわふわで、やわらかいですね。この雪は、空からふってきた雪のつぶがつもってできます。このため、雪は小さな氷のつぶがたくさんあつまったものです。この小さな氷のつぶは、おうちのれいとうこの中にある氷と同じで、とてもかたいですね。しかし、ひとつひとつのつぶがかたくても、雪のようにそれがふんわりつもっていると、とてもやわらかになるのです。
こうえんのすなばで、すなあそびをするときも、おなじようなことがおきています。すなのつぶは、とても小さいですが、石ころとおなじようにひとつひとつはとてもかたいですね。でも、それがたくさんあつまると、さらさらのやわらかいすなになります。ゆきがやわらかいのと、おなじですね。こんどすなばであそぶときには、雪とにているところや、雪とはちがっているところはどんなことか、かんがえてみてください。
(回答掲載日:2023年2月14日)
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